【感想・ネタバレ】放哉と山頭火 ──死を生きるのレビュー

あらすじ

学歴エリートの道を転げ落ち、業病を抱えて朝鮮、満州、京都、神戸、若狭、小豆島を転々、引きずる死の影を清澄に詩いあげる放哉。自裁せる母への哀切の思いを抱き、ひたひた、ただひたひたと各地を歩いて、生きて在ることの孤独と寂寥を詩う山頭火。二人が残した厖大な自由律句の中に、人生の真実を読み解く、アジア研究の碩学による省察の旅。文庫書き下ろし(詳細年譜付き)。

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ネタバレ

学歴エリートの道を転げ落ち、業病を抱えて朝 鮮、満州、京都、神戸、若狭、小豆島を転々、引 きずる死の影を清澄に詩いあげる放哉。自裁せる 母への哀切の思いを抱き、ひたひた、ただひたひ たと各地を歩いて、生きて在ることの孤独と寂寥 を詩う山頭火。二人が残した厖大な自由律句の中 に、人生の真実を読み解く、アジア研究の碩学に よる省察の旅。

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2015年10月10日

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放哉、舞鶴に来たことあるのか。
静の放哉、動の山頭火。自由ならざる死と孤独からの解放を詠った自由律俳人。
西田天香「懺悔の生活」。読まにゃ。

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2015年07月06日

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放哉も山頭火も独りでありながら側に誰かの支えがあったんだな。どちらも天才の孤高の物語ではない。それが良い。

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2025年05月27日

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自由律俳句を代表する俳人である、尾崎放哉と種田山頭火。本書を読むまでは、酒で身を持ち崩し死地を探し放浪していたと言う点で、似た者同志という認識しか持っていなかった。
現代風に言うと、2人とも社会不適合なのだと思うが、その背景はまるで異なっていた。幼少期からの不幸な出来事の連続がその後の人格形成にも影響を及ぼした山頭火に対し、放哉は東京帝大を出て一流企業に就職するエリートコースを歩みながらも、自らの酒癖の悪さでそのキャリアをふいにしてしまう。
山頭火がそんな放哉に憧れ、墓参にまで向かったというのがまた面白い。

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2024年12月06日

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常にポケットに鬱屈とした気持ちを抱えた二人。酒に溺れ、現世を憂いた二人は救済としての死を求め続ける。
それでも、拭えない寂寥感や淋しさが彼らを自由律俳句へと導いていったのだろう。
我々が今持つ憂鬱や、「ここではないどこか」を求める気持ちと、人生を通して戦い続けた彼らの人生。少しでもそういった気持ちに心当たりがあるあなたはぜひ読んでみてほしい。

年表ではなく本文に記載の好きな俳句を一つずつ。

放哉
 つくづく淋しい我が影よ動かしてみる

山頭火
 いつまで死ねないからだの爪をきる

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2021年03月29日

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時空の一瞬を切り取る単律句。
苦悩の代償としての放哉、山頭火。

わらやふるゆきつもる 井泉水

山頭火
鉄鉢の中へも霰 
秋風あるいてもあるいても
焼き捨てて日記の灰のこれだけか
大きな蝶を殺したり真夜中

放哉
咳をしても一人 
つくづく淋しい我が影よ動かして見る
板じきに夕餉の両ひざをそろへる
にくい顔思ひ出し石ころをける
肉がやせてくる太い骨である
春の山のうしろから烟が出だした

寂しさの中にある、かわいさ。
孤独と、だめな人生と、いとおしさ。

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2018年11月18日

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前半が放哉、後半が山頭火の生涯です。
後半の山頭火が霞むくらいの放哉の世捨て人っぷりと、クズっぷりは圧巻です。
アル中の転落人生、ただし恐ろしいほどの才能つき。
山頭火は絶望、出奔、放浪と酒びたりという分かりやすい人生ですが
放哉はエリート→酒癖でクビ→拾われる→酒で迷惑、の繰り返しです。
そしてそのつどヘルプの手紙を出しまくるという傍迷惑な人間です。
それをここまで詳細かつ客観的に書ける渡辺先生、どんな人かと思ったら経済学が専門のアカデミックな方でした。
山頭火……すごくお好きなんですね……

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2017年08月07日

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