あらすじ
スパイス、コーヒー、紅茶、砂糖、奴隷……これら世界史キーワードの陰には、常に暴力装置としての海賊がいた。彼らは私的な略奪にとどまらず、国家へ利益を還流し、スパイとして各国情報を収集・報告し、海軍の中心となって戦争に参加するなど、覇権国家誕生の原動力になった。さらに、国際貿易・金融、多国籍企業といった現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた。厄介な、ならず者集団であるいっぽう、冒険に漕ぎ出す英雄だった海賊たちの真実から、世界の歴史をとらえ直す。
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Posted by ブクログ
ヨーロッパ、殊イギリスの発展のウラ事情が書かれている本。歴史を紐解いてみると、いまの世界の形とその起源のギャップに驚かされる。
・海賊が王家と密接に繋がっていたこと
・略奪と貿易という2つの機能を海賊が果たしていたこと
・スパイス、コーヒー、お茶、砂糖と黒人奴隷、という貿易の大きな流れがあったのがメインの学び。
そこから派生して、
・奴隷貿易を含めた貿易でも受けたお金から、蒸気機関を発明したワットへの投資となっていた可能性というのは、今後の世界の動きというところで見ると、考えておかないといけないテーマだと思う。
・スパイス、コーヒー、お茶、砂糖と黒人奴隷、のどれもが、先進国ではない国々に起源があるということも、考えさせられる。ついつい今の世界のイメージでモノを見てしまうけれど、世界にはそれぞれの国の誇りがたくさんある。
・実はヨーロッパの新興国などに対する寄付文化や貢献活動は、過去のアジア諸国、西アフリカなどに対する罪に対する償いという側面もあるのだろうかと思ったり。
・イギリスがそもそも弱い国だったこと、スペインとポルトガルが大国だったこと、現状と反対で驚いてしまった。
・そしてイギリスという国が這い上がっていく、その始まりとしての16世紀は最高に面白い時代だっただろうと思った。やっていることが犯罪とは切っても切り離せないけれど、限られた資源でどうやって勝っていくかという考え方は、ビジネスでも大切なことで、ワクワクする。こんな昔から、国の外に飛び出していくひとたちがいたのも感激!スケールが小さくても、ドレークやホーキンズのように一旗上げてやる!という気持ちになった。