【感想・ネタバレ】天皇と東大(2) 激突する右翼と左翼のレビュー

あらすじ

なぜ日本人は、あのバカげたとしかいいようがない戦争を行ったのか。
日本が大破局への道を歩き始めた昭和戦前期、歴史の大転換を中心的に動かしたのは、天皇という存在だった。
その大転換が起きた主たる舞台は東大だった。
天皇イデオロギーと反天皇イデオロギーとの相克が最も激しく起きた舞台も東大だった。
「東大という覗き窓」を通して、近代国家成立の前史から、大日本帝国の終わりまでを見渡した著者、畢生の大作。

<第2巻の主な内容>
大正デモクラシーの旗手・吉野作造/“右翼イデオローグ”上杉慎吉教授と大物元老/元老・山県有朋の学者亡国論/東大新右翼のホープ・岸信介/新人会きっての武闘派・田中清玄/三・一五共産党大検挙の波紋/河上肇とスパイM/血盟団と安岡正篤/昭和維新の最先端にいた帝大生・四元義隆/国家改造運動のカリスマ・井上日召/血盟団事件 幻の“紀元節テロ計画”/共産党「赤化運動」激化と「一人一殺」/権藤成卿と血盟団グループの壊滅/日本中を右傾化させた五・一五事件と神兵隊事件

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Posted by ブクログ

ネタバレ

河合栄治郎、矢内原忠雄、大内兵衛、土方成美ら東大経済の俊英たちが、昭和10年代に次々に東大を去り、東大経済が崩壊の危機にあった時代! 東大に対するイメージが随分目が開かれたように思います。京大の滝川事件に相当する大学自治を巡る政府との衝突はむしろ東大の方が多そうです。法学部においても美濃部達吉、蝋山政道、田中耕太郎、南原繁らの系譜は凄いです。田中耕太郎が平賀譲軍艦総長の右腕として河合栄治郎処分の黒幕として活躍したという話しは意外でややがっかりでしたが。そして戦後、南原総長がフィヒテの「ドイツ国民に告ぐ」に匹敵する東大での演説が国民全てにとって明るい希望になった!一方、文学部の皇国史観の権威・平泉澄を初めとした日本、軍部を煽った学者たちも多くいた事には残念です。立花が最後に近いところで、「国民は騙されていたわけではなく、今の時代の我々が想像する以上に軍国主義的な考え方を心から信じていた」という言葉は確かに重いものがあります。北朝鮮を笑うことはできないですし、日本の現在の方向を示唆しています。

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2013年08月21日

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