【感想・ネタバレ】ささやかで大きな嘘 上のレビュー

あらすじ

最初は子供同士のトラブルだった……。海辺の公立幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵り言葉と保護者の乱闘の音。そして保護者の一人が死亡。事故か? 殺人か? ……事の起こりは六カ月前、シングルマザーのジェーンの息子ジギーにいじめの疑いがかかった。本人はきっぱり否定するが、保護者たちは騒然。ジギーをいじめっ子と決めつける者、ジギーの言葉を信じる者に分かれ、険悪な雰囲気に。ジェーンは園で知り合った二人の友人とともに事態に立ち向かう。31カ国で翻訳、英米で150万部突破の傑作ミステリ登場。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 オーストラリアの名門幼稚園を巡る一大騒ぎ。園ママたちの友情と反目、飛び交う噂、そして隠されていた秘密……。男性読者が余り興味を惹かれない要素がてんこ盛り。それもかなり軽めの筆致で描かれているので、アラフィフ親父はお呼びでない感があり、実際読み始めた当初はどうしようかと思った。
 
だが、読み進めていけば、その軽い筆致と相反し、書かれている内容は意外にヘヴィだと判明する。離婚から数年を経て年頃の娘との関係に悩む母、表面には見えない夫との関係に苦しむ妻、幼い息子との転居を機に一夜の出来事を克服しようとするシングルマザー。主要な三人のキャラクターには共感せざる負えないし、これが女性読者なら、なおのことだろう。北欧ミステリと違って、内容に反したカジュアルな書きっぷりは逆に新鮮だし、深刻過ぎない描写が読んでいる間に救いを与えてもいる。エンディングの後味が良いのも、エンターテインメント作品としては盤石。
 
ミステリ的には、園内恒例行事の“トリビアクイズ保護者懇親会”で殺人が起こったらしいことが冒頭で示唆され、そこから半年前に遡って物語がスタートし、クリスティでいうところの『ゼロ時間へ』向かって進行するというスタイルが面白い。

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2018年11月09日

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