あらすじ
七体の文学クローンが生みだす謎の物質「青脂」。母なる大地と交合するカルト教団が一九五四年のモスクワにこれを送りこみ、スターリン、ヒトラー、フルシチョフらの大争奪戦が始まる。
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Posted by ブクログ
想像していた内容と良い意味で違った本。ロシアの作家や歴史的な人物が登場したり、パロディが成されていたりする。それに加え、SF要素がある。初めのうちはもう何が何だか分からない。登場人物たちも新ロシア語で話しているし。しかし、読み進めていくうちに不思議と何を言っているかが感覚で理解できるようになります。それに1954年が舞台になると普通の言葉で話すようになるので、言葉だけは理解できるようになります。物語中で起こることは、私の理解の範疇を超えていましたが。
2068年の作家たちのクローンによる作品は、その作家っぽく書かれていて、作者のの手腕が光っていると思います。
ところで、結局「青脂」とは何だったのだろう。どうして青い脂はスターリンの脳を肥大化させるような力を持っていたのだろう。スターリンが2068年まで生きながらえているのも、もしかして青脂の力? 青い脂は作家が作品を執筆することで生成されるということだったから、文学によって生まれる目に見えないものを可視化した物質なのか? このような疑問は解決されぬまま終わります。
色々考えられる作品ですが、序盤を読み進めるのが苦しかったので、個人的にはしばらく再読したくありません。