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Posted by ブクログ
なんとなく難しいイメージがあったのだけれど、
タイトルに「入門」と書いてある通り、
大学での講義をもとにしてあるのでわりかし読みやすい。
「錯誤行為」
まず気付くことは、
フロイトは非常に科学的な人間であるということ。
反証例をことあるごとに提示し、
それをひとつひとつ検証していくのは、
ある側面においてはくどくもあるのだけれど、
科学者としては正しい姿勢なのだろうと思う。
有名な「無意識」「欲動」というワードは、
本書の冒頭ですでに登場している。
精神分析には一般解はない、
ということを肝に命じておかなければなぁ。
「夢」
夢は眠りを妨げる、
潜在思想(無意識)の活動を和らげている、
という解釈は新鮮。
人生の1/4~1/3を占める、
眠っている時間について熟考することは、
目覚めている時には決して顕在化しない、
無意識を探るうえでの大きなヒントになるのだろう。
わたしが何の気なしに夢の日記を綴るのも、
こういう直感によるところが大きいのかもわからない。
フロイトの論理的な推理は、
プラトンの描くソクラテスを彷彿とさせる。
対話的な語り口も似ている。
とても面白い推理小説を読んでいるようでもある。
「神経症総論」
夢の分析は神経症の分析にまで広げられる。
「外傷(トラウマ)」「抑圧」「抵抗」といった、
概念の説明はこの部分になる。
幼児期の記憶がほとんどないのは、
こういった無意識的な操作が行われているから、
というのはとても面白い指摘。
ほとんどの原因が
「リビドー(性の欲動)」に帰せられるのは、
少々納得しがたいところではあるけれど。