【感想・ネタバレ】なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力のレビュー

あらすじ

「問題を解決することと、問題を見つけることは、まったく異なった能力である」――シドニー・フィンケルシュタイン(『名経営者が、なぜ失敗するのか?』著者)
◆ 問題を解決する前に「発見」せよ ◆
問題を解決するには、まず「問題」がわかっていなければならない。
企業をはじめ、多くの組織において問題は隠れてしまい、いくら問題解決法を知っていても、
「解決すべき問題」が何か、わかっていないことが問題になっている。
問題が起こり、大事故・大惨事に発展してから解決策を見出すより、
問題になりそうなことを早くに発見し、まだ軽微なうちに手を打つことのほうが価値がある。
しかし、手遅れになってからやっと危機に気づいたり、見当違いの問題を解決しようとしている場合さえある。
現実の世界では、リーダーはまず問題を発見しなければならない。
解決すべき問題が何かを把握する。真の問題を見極めることが最も難しい課題である。
◆ 優れたリーダーが実践する、問題発見7つのスキル ◆
優れたリーダーは、危機を未然に防ぐべく、問題を発見する能力を身につけている。
本書では、150人以上の経営者へのインタビューと、
ビジネス・政治・軍事・スポーツ・医療など数々のケーススタディを分析。
優れた問題発見者となるために、リーダーがマスターすべき7つのスキルと能力を示す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

軽めの内容を予想して読み始めたが、教科書的・網羅的な書き方で非常に役に立つ内容だった。折に触れ、読み返してみる価値がある本。

・問題の指摘はそれが間違った警報であっても学習の機会になりうる。コストの削減や顧客満足度の向上につながる場合も多い。また、問題を見つける能力も時間とともに進歩していくので、間違った警報を出したことを後悔させるようなことをすればその代償は高くつく。

効果的に問題を見つけるために
1)フィルターを避ける
組織のトップは通常、下からの情報を取捨選択するゲートキーパーを置いているが、時には自分の目で見る。耳障りな情報でも歓迎するような雰囲気を作る
・自分の耳で聞く
・さまざまな意見を探して聞く
・若い人とのつながりを持つ
・周辺部にも足をのばす
・利害関係者でない人と話す

2)人類学者になる
ただ人の話を聞くだけでなく、人の行動を注意してみる

3)パターンを探す
過去との類似点を見る

4)点を結びつける
大きな危機に先立って、組織のさまざまな部署で小さな問題が起きていることが多い

5)価値のある失敗を奨励する
許される過ちと許されない過ちの違いを部下が理解できるように指導する

6)話し方と聞き方を教える

7)ゲームの録画を見る

直感とは基本的にパターンを認識することであり、往々にして現在の状況と過去の状況の類似性を見つけることである。

統合的思考能力(相反する、調和しないアイディアを統合する)の持ち主に特有な四つの点(ロジャー・マーティン)
1)状況における「それほど明らかではないが、関連性がありそうな要因」を探す
2)単純に直線的な原因と結果の関係を考えない。ほとんどの結果は複数の原因によって生じる
3)問題を全体として考える
4)単純な二者択一的な選択をしない

既知のこと、不明瞭なこと、推定したことの三つを区別するための7つの質問(ニュースタットとメイ)
1)この状況における事実は何か
2)曖昧な、あるいは不明瞭なことは何か
3)明確な想定と暗黙の想定と考えられることは何か
4)事実と想定を混同していないか
5)偏見のない考え方を持った外部の人は、自分の想定をどのように評価するだろうか
6)重要な想定が間違っていることがわかれば、自分の結論も変わるだろうか
7)重要な想定の正しさまたは間違いを立証するために、データを収集したり、簡単な実験をしたり、あるいは一定の分析をしたりすることができるだろうか

・ストレスが高まるにつれて、上下関係や権威の意識が高まるため、緊急時には一種の集団的無知ともいうべき上司に対する盲目的な従属が生じやすい。

・不都合なことを発見しても、急いで過失を探し、責任を追及するようなことはすべきでない。問題を一歩離れたところから見て、なぜミスが起きたのか、もっとシステム上の問題があるのではないか、と考える。

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2011年11月30日

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