あらすじ
高齢者医療費の増大、TPP参加と皆保険制度等、日本の医療は嵐のなかにある。また、医療者・政府・患者等、関係者の利害対立も激しさを増している。これまでは“カンと度胸”で決定されてきた医療政策も、いまやデータの裏付け・検証や理論に基づく施策が求められている。本書は、医療政策の課題、学問的裏付け、決定過程の実態、諸外国の例、今後の展望について解説し、新たな学問としての医療政策学の必要性を説く。
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Posted by ブクログ
本書では、我が国の医療政策や問題について、諸外国の医療制度の紹介も踏まえながら分析し、今後の方向性が提言されている。
本書を通して理解できたことは、日本の医療分野には多くのプレーヤーが存在し、各々の主張が異なるため、医療政策が混迷を深めているということである。ここで言うプレーヤーとは、医師であり患者であり、保険者である国である。財源を重要視し医療費の削減に踏み込むのか、医療費が増大してでも医療の高度化を進めるのか、あるいは医療をビジネスとして産業化していくのか、プレーヤーによってそのスタンスは異なる。その結果が、例えば混合診療の解禁問題に揺れている現実へ繋がっているのだという印象を受けた。
医療費の増大を防ぐ手法としてのケアモデル、医療の専門化の弊害を取り除くためのチーム医療、さまざまな学者と学問を集約する医療政策学の確立など、今後の方向性を示している内容もあったが、日本の医療政策はどの方向に向かって舵を切るべきかについて、十分な提言がなされていないような気がした。その点が消化不良である。