【感想・ネタバレ】近代日本とアジア ──明治・思想の実像のレビュー

あらすじ

近代日本の対外論は、「アジア主義」対「脱亜論」という図式によって描かれてきた。前者は欧米のアジア侵略に東アジア諸国とともに対抗しようとする立場であり、後者は欧米列強の一員としてアジア進出に参加すべしという主張だ。福沢諭吉、山県有朋、陸羯南、青木周蔵ら、少なからぬ政治家・思想家が、この二つの対外思想の間で揺れ動いたと理解される。だが、そうした論理の使い分けは、第一次世界大戦後に欧米の中心がイギリスからアメリカに移り、アジアにおける中国の存在感が増すにつれ、通用しなくなっていく──。日本外交を規定する構造とその変化を明らかにした記念碑的論考。

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Posted by ブクログ

著者は「日本自身が持つ固有の価値で日本の朝鮮や満州への進出を肯定することができないとすれば、その膨張の肯定は欧米の動向、中国の動向、朝鮮および満州自身の動向、という日本の外部の動向、およびその動向を正当化する「言葉」によってしかなしえない。」と結論付けている。現在のアジアを眺めれば、多くの国の主張や動向は、そのような他国のことにはお構いなしに、先ずは自国の内情に大きく影響されているように思うのであるが、いかがか。いや、やはり当該問題に関係する国々の動向に大きく影響されるし、国によって内情も異なるか。

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2013年11月02日

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