あらすじ
2015年、新国立競技場問題に続き、選び直されたデザイン案に「コピペ」疑惑が浮上、さらには傾斜マンション事件が発生するなど、建築業界の威信を揺るがす問題が立て続けに起こった。しかし、これらは氷山の一角。いま、この業界の裏で何が起こっているのだろうか? 「どや顔」をした公共施設で税金をムダにしないために、危険なマンションを買わないために、寿命の短い持ち家を建てないために。知っておきたい非常識な実態。
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建築の世界が、設計、施工の両面から詳しく、わかりやすく解説されている。ニュースで取り上げられた新国立競技場やマンションの杭打ち不良の問題についても、業界が抱える仕事の発注や進め方の構造とからめてよく理解できた。さらに建築の歴史を概略で把握できるような内容も盛り込まれていてとても興味深かった。すごく勉強になった。
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建築業界は、木材とも関係の深い、隣の業界だったので、関心を持ってずっと見ていたが、今ひとつ業界構造がわからなかったというのが正直なところであった。それが、この本を読んで、氷解。
ゼネラルコントラクター。脱構築建築・・・暴走してしまう業界というのは必ずあるのだなぁ。
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「どや建築」がパワーワード過ぎる。この業界に来てから、なぜこんなにも建築を巡る論説は難解で、時として意味不明なのかと思っていたが、謎が解けた。家を建てる予定の人も必読
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非常識な建築業界 「どや建築」という病。森山高至先生の著書。日本の建築業界がいかに非常識で歪んでいるかについて単刀直入に説明している良書。どんな業界でも非常識なところはあるけれど、建築業界の非常識さは際立っているのかも。
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建築業界を学んで、IT業界を学ぼう企画として読んだ。
建築はデザインでコンペが行われる。料理と違って素人が評価しづらい。(おいしい、まずいは素人でも分かるが、デザインの良し悪しは分かりづらい)
→ITのコンペはプレゼンかと思いますが、ソフトウェアは見えないものなので、良し悪しはプレゼンの出来次第という意味では、あんまり変わらないかも。
建築家の野心は、一般人の感覚とはズレたところで大きく膨らんでいます。「雨をよけるという屋根の機能はそのままに、でも屋根に見えないようにするにはどうすればよいか。」そんなことばかり考えているようなのです。何なんでしょうね、この感覚。
→やばいw ITにはないだろうな、その感覚。
現場監督はOJTで育てる文化だったが、最近は派遣監督も多いとのこと。
→ITは社員がPMや上流工程をやって、派遣は設計、開発という構図が多く、派遣PMはあんまりなさそう。OJTでPMを育てるっていうのはどうだろう。PM補佐みたいな役割を定義して、次期PMを育てるというのは良いかも。
下請をリスト化してとにかく安いところへ発注
→それはいくらなんでもバッドノウハウでしょう。スキルと値段の両輪で評価しないとダメかも。うちの会社の場合、リスト化されてないので、まずはそこからかも。
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東京都知事選挙は終わったけど、新国立競技場って、オリンピックまでに完成するんだっけ?
世間を騒がした新国立競技場建設問題の発端は、技術的にも予算的にも実現不可能なザハ・ハディド氏の案を受け入れてしまったことだ。そもそもこのザハ氏、以前から「アンビルトの女王」と呼ばれ、絵に描いた餅のような建築物を設計してしまう有名人だったらしい。また、このザハ氏も例外ではなく、最近の建築業界では居住面や管理面を無視し、見た目の奇抜さだけを追いかけて、存在感のみを自慢する建築物が増えている。
著者はこうした自慢気な建物を「どや顔」ならぬ「どや建築」と名付ける。見事なネーミングだ。そんなどや建築を作ってしまう、非常識な建築業界を紹介する。
本書を読んで、どや建築が作られる一番の原因は、どや建築家の存在ではなく、役所が主催するコンペが問題だと思う。国立競技場のような大規模建築計画は、コンペを経て決定されるが、そのコンペ出席者は建築知識もない、責任もとらない素人ばかりだ。当然、見た目のカッコよさが注目され、長期的な維持管理や収益、周囲との調和などは2の次になる。
そんな建築業界の弊害を明らかにしてくれたという点で、今回の新国立競技場問題は評価されるべきか。これをきっかけに建築業界のどや建築ブームがなくなってしまうことを望む。
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槇さんのヒルサイドテラス、丹下さんの代々木体育館は機能、芸術性共に最高作品だと思います。
建築業界は一部の方の非常識な行動、自己満足に汚されているだけで、全うな方もたくさんいるはずです。
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建築界の批判本と思って手に取ったが、建築を愛する方の提言書と感じながら読んだ。
日本の建築設計の歴史、変遷がよくわかり、人文科学的にも建築設計について考えることができた。
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新国立競技場問題を2年前からブログで取り上げ、ザハ・ハディドによる案に疑問を呈していた建築士。その説明は素人にもとてもわかりやすくエンターテインメント性に富んだもので大変楽しく読ませて貰った。結局予算が限りなく膨張したザハ案は白紙撤回され、その慧眼ぶりが立証されたのだが、そんな著者が日本の建築業界が抱える重大な問題点の数々を鋭く指摘する。
10年前に世田谷に購入した小洒落た狭小住宅は、雨漏りが止まらず断熱性能もひどいもので、まったく呆れたものだったけれど、その原因となる建築業界の仕組みがよく分かった。現場の声に耳を塞ぐ業界はどこもダメになっていく。その典型的な例が示されている。
一般市民や為政者など建築の素人がどうしたら建築を正しく評価できるようになるのか。印象に残った逸話がある。「韓非子」の故事に、伯楽という名馬の目利きがいるのだが「伯楽は愛する者には駄馬の鑑定法を教え、憎む者には名馬の鑑定法を教えた」という。名馬というのは滅多に出会えるものではなく、一方駄馬はいくらでもいるのだから、普通の人にとっては駄馬を避ける事のほうがずっと役に立つ、ということらしい。同様に建築に対しても、すごく前衛的なデザインの建築の善し悪しを見るのではなく、その建築の目的に沿って要素を整理し、判断していくという地味で実直な方法を提案している。
特に街並みの景観や公共施設においてそうした判断基準を共有し、建築と一般社会との健全な関係を築き上げることが大切なのだろう。
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有名なセンセの公共施設 トイレが遠くて漏れそう••
見栄えはいいけど 使いづらい でも某casaなる雑誌では絶賛 なぜ?!みたいな 建築って住みやすさ使いやすさ そんなんで決まらないぜドヤ!!な公共施設が多い謎が解けました。ドヤ
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建築業界に勤める身としては、こんなに悪く言わなくたっていいじゃん!と思ってしまうような業界についてのブラックな事実が記されている。
当本は全5章で構成されており、特に第2章の非常識な建築史は、自分も学生時代に抱いていた、『なぜ建築家はこんなにも特異な形をした建築を作るのだろう?』という謎を解き明かしてくれた。
少々悲観的だが、これから建築業界を生きる人間として知らなければならないことが書かれており、非常に参考になった。
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変な形の公共の建物ができる理由や、一流の建築家の設計なのに雨漏りしたりといった欠陥建築ができる理由がよくわかる。
しかし、味のある古い建築を次から次へと壊して、不細工な建物を建ててしまう風潮は何とかならないものか。
専門家会議とか審議会とか、役所が設定する会議が機能していない理由もなんとなく分かっていたがよく整理されている。大企業の会議も似たようなもんか。”お約束”で進められるものが多い。
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著者の森山氏は私と同世代、共感できるところもあった。特に建築学科の設計の評価の仕方など。たしかに変哲のないデザインはだめだという風習があった。そして無理やり環境との調和、エコロジーをとりいれないといけない等。国立競技場のザハ氏の経歴もわかっておもしろい。「どや建築」に対抗する「負ける建築」の隈氏に期待か。
後半部は日本の労働問題にも触れ、組織内の技術の継承がされないことで現場監督が育たないなど、日本の会社組織のほとんどは目先の利益に固執してしまっている。今後も悪循環が続くのだろうか。
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★建築家への無邪気な信頼★建築は総合芸術であり、デザインや構造、電気、調理、冷暖房と気密、植物、法制度、経営など理解すべき内容が広範にもかかわらず、建築家と名乗る人はすべてが可能だと漠然と思われているし、建築家の側も思わせている。建築士という資格とは別に、建築家という言ったもの勝ちの名称が蔓延していることがまさにその証左だろう。日本でのそうした無邪気さと問題を丁寧に指摘する。自ら建築士としての経験があり、一歩引いた立場となったからこそ書ける内容でもある。
コンペで叩き台として設計案や模型を作るケースがあるのは知らなかった。条件から導くだけの案なので報われない仕事だが、一般の人に理解させるには確かに欠かせない。コンペでは審査員は自分の分野のことしか理解できないという指摘も納得。だから新国立競技場の問題で安藤忠雄が「コストのことは知らなかった」などと言い出すのだろう。新国立競技場の経緯を誰かきちんと総括していれば、ぜひ読みたい。
デザインは万人が意見を言えるが、逆に正解はない。だから建築家は哲学のようなよく分からない文脈を持ち出すのだろうし、磯崎新のように説明力で大家に駆け上がるような気が以前からしていた。著名建築家はみな高学歴なのもそのためではないか。オリジナリティーの呪縛も同じ理由だろう。もちろん実際に優れた建築も生じるので、一概に切り捨てられないのが難しいところだが。
著者の言っていることはすごく納得できるが、ただ世間には広がらないだろうな。業界の中にいる人とその周辺の人までしか届かないような気がする。一般の人はそこまで建築に関心がないだろうから。
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一般の人向けに分かりやすくしようとしてかなり端折っていますが、概ね建設業界の本当の問題点が書かれているように思う。
が、著者の最近の豊洲に関する言動は如何なものかと思う。世の中をあらぬ方向に扇動し、意図的に混迷を深めさせていると感じる。
この人が「ホンモノ」なのか判断がつかない。
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過剰なデザイン、下請け丸投げのゼネコン、偏った建築教育…。建築エコノミストが、現在の建築業界から数々の「非常識」が生みだされる原因を、「どや建築」などいくつかの視点で検証し、解説する。
タイトルは非常識,内容は常識。
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築地市場移転のころ,よくラジオでコメントしてて,その後選挙に出たりして,どんな人なんだろうと思っていた人の本。
新国立競技場の騒動(設計の問題)や,マンションの杭が固い地盤まで達してなくて傾いた問題(施工の問題)がどういう事情で起こったのか,そしてそれは他の工事でも起こりやすいことが,わかりやすく説明される。
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新国立競技場、耐震偽装など、最近、建築業界ネタを目にすることが増えましたね。
業界の中にいる人からしたら「やっぱりおきたか!そりゃ、いつかは起きるとみんな思っていただろうけど」ということらしい。
そんな、「建築業界の常識、一般には非常識」を具体的な事例を使いながら解説している一冊。2020年にむけて、建築・土木業界は慢性的な人不足になると言われています。そうなると、もっといろんな問題が起きてきそうですね。。。汗
だから、私たちも自己防衛のために少しは知っておいたほうがいいなと改めて感じました。(実は、僕も2年ほど建築デザインの大学に通っていたので少しは分かりますが、それでも知らないことは山ほどあるものですね!)
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「プログラマは大工」「SEは建築士」など、われわれの仕事はよく建築の仕事にたとえられたりします。
システムの全体構成を示す「アーキテクチャ」も、まさに建築のこと。
そんなわけで、建築という仕事がどういう仕事なのか、かねてから気になっていました。
そんな折に、新国立競技場問題から建築業界の構造的な問題を描いてみます、と銘打たれたこの本を見かけ、つい、買ってしまいました。
筆者の、建築(家)とはこうあるべき! という思いに、共感する部分・共感しない部分は人それぞれと思いますが、
ふむふむと思えるところはそれなりにある本でした。
新国立競技場問題や、建築という仕事に興味がある人だけでなく、
これから家建てようという人にとっても、参考になる本かもしれません??
Posted by ブクログ
ザハのあたりは、そんなもんだろって感じだけど、建築家達の独自文化が身近な公共建築物にも影響を与えてるのは、読んで見ると正しくその通り。残念なのは、どうしたら良いか?が、この本から読み取れなかった。
終章の施工業界の実態は、テレビでの発言機会が多い筆者は、声を荒げて世間に伝えて欲しい。
豊洲の問題も、テレビの人達が面白がって報道し傷が無いのに傷口を作って拡げるような事態を制止して欲しいところである。