【感想・ネタバレ】きょうの日はさようならのレビュー

あらすじ

2025年7月。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、いとこがいること、彼女と一緒に暮らすことを父から唐突に知らされる。ただでさえつまらない夏休み、面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。いとこの存在に、なんの楽しみも期待もない。退屈な日常はひたすら続いていく。けれど、彼女――今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生だった…。

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Posted by ブクログ

最近マイブームの一穂ミチ。
女子高生の話かあ・・と読み始めた時はノッテこなかったけど読み進めるうちに引き込まれた。作者の筆のうまさかなあ。
登場人物の明るさの背後にある悲しみが、なんとも切なかった。最後、サイドストーリーのような沖津くん目線の話もよかった。
思いがけず面白い一冊だった。

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

2025年、夏休み。
高校生の明日子と双子の弟の日々人は折り合いの悪い父親から、突然、同じ年のいとこがいることを知らされる。
いとこの名は堂上今日子。明日子の目には「純血種のJK」あるいは「女学生」に見える彼女は実は1978年生まれ。
彼女は、冷凍睡眠で30年間眠っていたのだったーーー。

毛色の変わったタイムスリップもののような読み心地。
タイムスリップものの小説や映画の名作がちらちらと頭に浮かぶ。

今日子と同じ時代を同じような年代で生きていた私には懐かしすぎる今日子の語る1995年。
まるであの頃の友達のはなしを聞いてるかのよう。
三十年近く前のはなしなのに、昨日のことのように感じる。
同時に、明日子たちの感覚もわかる気がする。
私はもう女子高生でなくおばさんだけれど、2025年の一年前、2024年を生きている。
今日子と明日子たち、両方の感覚がわかることで、不思議な感慨が起こる。

ラストは切なかったが、その後の短編『堂上今日子について、そしてさよならプレイガールちゃん』は、さらに切なくて半泣きで読んだ。

年齢を重ねたからこその読後感ではないかと思う。
あの頃も今も未来も大切にしたくなる作品です。

さてさてさんのレビューでこの作品を知ることができました。
ありがとうございました!



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2024年01月11日

Posted by ブクログ

ナツイチのよまにゃ栞クリーナーコンプきっかけで手に取った作家さんの作品。
一穂ミチさんの作品は初めてになります。
元々はBLの作家さんみたいです。
この作品は
①きょうの日はさよなら
②堂上今日子について
③さよならプレイガールちゃん
で構成されていました。
①きょうの日はさよなら がこの作品の主要部分になっています。
登場人物が少なくとても読みやすかったです。
登場人物は主役の堂上今日子、その従兄弟で双子の門司明日子と門司日々人。
明日子と日々人の父親のやっちゃん、今日子の初恋の相手である沖津くんくらいです。
1995年当時17歳高校生だった今日子が冷凍睡眠で2025年に眠りから覚めるという物語。
平成初期と現代の世の中を比較し落胆する。
現代の世の中は「リメイク」「続編」「何十周年」ばかりで真新しい物がなく何かがずれた異世界に来ちゃったみたい。と今日子は言う。
なぜ今日子が冷凍睡眠する事になり、なぜ今覚醒させられたのか?
今日子の身体は冷凍睡眠になぜ耐え得ることが出来たのか?
物語を読み進めると色々と明らかになってきます。
②堂上今日子について は今日子の初恋の相手沖津くん目線で描かれたお話。
1995年当時の2人、そして沖津君の自身の事など。
③さよならプレイガールちゃん は今日子が2025年に2度目の冷凍睡眠に入った後の物語。
その後の明日子と日々人の生活と今日子が残していったものについてのお話です。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めて鳥肌が立つ。
そうだった、高校生の頃はこんな生活だった。
あまりにリアル過ぎて怖くなる。
どうして覚えていられるんだろう。

物語は、思いもしない展開であっけなく終わりを見る感じ。
だけれども、あの頃の空気を感じたくなって、ついページを開いてしまう。

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2023年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 17歳の夏休み、双子の明日子と日々人は、父から唐突にいとこ・今日子の存在を知らされ、居候として明日から一緒に暮らすことを告げられる。おさげ頭にセーラー服姿の今日子、実は彼女は火事で生き残り低温保存の“冬眠”から目覚めたばかりの30年前の女子高生だったーー。スマホ世代とポケベル世代。言葉や文化に戸惑いながらも明るく前向きに生きようとする普通の女子高生・今日子を、二人は少しずつと好きになっていく。しかし今日子の過去には、本人すらも知らないある悲しい秘密があった…。時代を超えた若者たちが心で通じ合う、不思議で切ないひと夏の奇跡の物語。
 
 気がついたら、作中の人物たちと一緒に笑って、心配して、泣いていた。登場人物たち全員が愛おしい。こんな気持ちにさせてくれる作品は久しくなかったなぁ。
 朝起きたら、自分以外は30歳としをとっていて、自分だけ取り残されていたらどう思うだろう。孤独、喪失、絶望…今日子の置かれた状況をリアルに考えてみると、明日子や日々人の存在にどれだけ今日子が救われたかを感じることができる。
 反対に、明日子と日々人の二人が今日子との出会いによって成長し変わっていく様子も鮮やかに描かれている。不仲だった父親と和解していく場面では、スーパーファミコンが憎い役割を果たす。便利になりすぎた現代社会を客観的に見つめる今日子の言葉は、スマホ世代の二人に心に変化をもたらす。
 若者が成長する姿って、どうしてこんなに美しく輝いているのだろう。未熟さを隠すように膨張した自意識の殻が、一枚一枚剥がされ成熟へと向かっていく。一穂ミチさんはその過程を、なんとも鮮やかに切ない色のスポットライトを当てながら描き出す。

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

『スモール・ワールズ』で知った作家一穂ミチさんの長編小説。
フォロワーさんに教えていただきました。ありがとうございます。

時は2025年。高校二年生の夏休み。
明日子と双子の弟の日々人と父親が暮らす家にいとこの今日子が居候としてやってきます。
実は彼女は冷凍睡眠から目覚めたばかりの三十年前の女子高生でした。
家族は火事で全員亡くなり、ただ一人生き残ったのだと説明を受けますが…。

三十年前(二十八年前)の高校生を彷彿とさせるアイテムがたくさん登場します。
ポケベル、ソックタッチ、ガングロなどの言葉も飛び出してやっぱりあの頃の特徴といえば女子高生だな~と思いました。

そして今日子は二十八年前ちょっと好きになりかけていた沖津くんという同級生がいました。
明日子たちは沖津くんが今、何をしているか探し出してあげて、今日子は高校の制服姿で沖津くんの働いている姿を勤務先のデパートに見に行きます。だけどただそれだけです。

そしてまた、明日子たちは今日子の家族が亡くなった理由が火事ではなく無理心中だったことを知ってしまいます。今日子の家系には無理心中を図るような重大な秘密がありました。

一方沖津くんの方もセーラー服姿の今日子に気が付いて昔のことを懐かしく思い出します。だけどやっぱりただそれだけです。

そして日々人は今日子に本気で恋をします。でも今日子はまた、未来へと旅立ってしまいます。
ひと夏のちょっと不思議なキュンとする物語でしたが、たしかに堂上今日子はそこにいたのだと思いました。

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2021年07月13日

匿名

購入済み

不思議な話しでした。
冷凍されて30年後に目を覚ました少女。
今日子と同じ年代なので、今日子の記憶は懐かしく自分の昔を思い出したりしました。昔の不便さって、今となってはいいよな。と、思うけれど、どっちが幸せかはわからない。どの時代に生まれても、今を一生懸命生きるしかないんだろうな。今日子が次に目覚めてからの話も知りたいです。

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2024年11月08日

Posted by ブクログ

図書室。
夏に読めたら最高だったかな。ストーリーのオチは物足りなさもあったけど、発想と、感情を表すことばのひとつひとつがとても良かった。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

①語彙★☆☆☆☆
読みやすい語句を使いながらも、その場の状況や人物像が手に取るようにわかる。空想科学らしき内容も丁寧に描写されている。
②登場人物数★☆☆☆☆
2つの家族でストーリーが収まるコンパクトな仕様。名前も覚えやすく、関連した命名のため、すぐにインプットできた。
③1文感想
冷めきった1つの家族に今日子がやってきて、少しずつ変わっていくひとつの家族、そして徐々に明らかになる今日子の境遇が重なり、温かくもあるが、切ないひと夏の思い出が描かれていた。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

長い眠りから目覚めた30年前の女子高生と、2025年を生きる高校生の双子の姉弟とのひと夏の出来事。

30年前の女子高生って言ったら私じゃん!と思いながら、知らず知らずのうちに平成、令和と過ごして、時代の変化、生活の変化に順応している(つもり!?)けれど、目覚めたらこの世界って戸惑うよな…。

話し言葉ひとつとっても、そこに潜む無意識のような使い方に時代の変化を改めて意識した。

個人的に、最近高校生達が主人公の物語を読んでいることが多い。

すっかり過ぎてしまった若い頃のあの時を思い出したいのか、はたまたその年代の自身の子供の事を理解したいのか…。

いずれにしても、あの頃の1日ってとっても貴重だったな、って過ぎてから思うんだよ、とこの作品を通して少し切なくなりました。

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

さくさく読んでしまった 表紙もいい
登場人物お互いに影響し合ってるんだろうけど線が交わるというより漸近線とか接点というかんじのふれ方ふれなさ加減ですき 一穂ミチさん、暗く終わらないのが最高

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2024年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 軽い気持ちで手に取った本ですが滅茶苦茶面白かったです。ジュブナイルも侮れない。

 コールドスリープから目覚めた女の子との出逢いと、そこから始まる奇妙な共同生活が描かれる。まあよくある『インターステラー』的展開を踏襲しつつも世代間の感覚の擦れやギャップを濃やかに活写している点が興味深いですね。

 自分としては割と始めの方の、明日子の何気無い言い回しに鋭いメスを入れるような今日子の指摘が気に入ってます。相手を傷付けない為に為される婉曲な言い回し。然しその実それは相手にも傷付けられたくないが為の距離感でありバリアでもある。今を生きる若者にとって昔がどうだったかなんて知る由も無いけれど、どうやら世相や風潮はよりセンシティブになりつつあるという事は誰より肌で感じている。

 誰もが薄々感じているけど、敢えて言語化は為ない。それが世間という社交の場ではマナーだから。然し三十年前というマナーの埒外から来た人間にはそんなこと関係ない。何れは現代の風潮に染まるとしても。

 こういう繊細な機微を女子高生というキャラクターを使って表現するのは実に上手いアイディアだと思う。日本語は開闢以来現在進行形で凄まじい淘汰に晒され続けている。その微妙な変化に誰よりも敏感なのはいつだって女子高生なのだ。学者や研究者のような教養ある大人ではない。

 物語の終わり方に関しては何とも切なく、読者諸氏には受け入れ難く捉える向きもあろうかとは思う。然し最初から最後まで全編通して全く退屈することの無い佳作であったと、個人的には感じている。

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2024年06月25日

Posted by ブクログ

あなたは、『風呂から上がって、ベッドに転がって、眠った』先に目覚めたら、そこは三十年先の未来だったとしたらどうするでしょうか?

私たち人間には睡眠は欠かせないものです。どんなに忙しくったって不眠不休で生きていくことなど出来はしませんし、無理すれば体を壊すだけでなく、生活のクオリティ自体低下してしまいます。

OECDが世界33ヵ国を対象に実施した調査では日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、対象国の中でダントツに最下位という結果が出ています。とは言え、そんな日本人の中でも6時間で十分という人もいれば、8時間は必要ですという人もいます。必要な睡眠時間は人によって当然に異なります。とは言え、50時間必要です!いや、100時間必要です!という人はいないでしょう。寝だめという言葉があるとは言え翌日には誰もが目を覚ましますし、誰もがそれを前提として眠りにつくはずです。しかし、強制的に睡眠状態に置かれたとしたらそんな時間は本人の意思から離れてもしまいます。

さてここに、1995年という時代から『冷凍睡眠』に入っていた少女と出会う2025年の今を生きる双子の姉弟を描く物語があります。わずか三十年にも関わらずそこに時代の大きな変化を見るこの作品。それぞれの時代に良いところと悪いところを見るこの作品。そしてそれは、『外国人と話してるみたいだ。三十年、そんな大昔でもないのに』という差を埋めていく二人の少女の交流を見る物語です。

『大事な話があるので夜は家にいるように、と父親から携帯にメッセージ』を受けたのは主人公の門司明日子(もじ あすこ)。『話ってなんだと思う?』と訊く明日子に『知らね』とそっけなく返すのは双子の弟の日々人(ひびと)。そして『厚労省の外郭団体職員、という仕事を』している父親が帰宅し、三人で食卓を囲む中、『お前たちにいとこがいる』と『何の前置きもなく』父親が話し始めます。『今まで言わなかったけど、俺には姉がいて、姉には娘がいて、だからお前たちにいとこがいる』、『彼女の家族はもういないから、あしたからうちで引き取って一緒に暮らす』と続ける父親。それに『はあ?』と返す日々人は『いやなんだけど』、明日子も『いやなんですけど』と返します。それに『お前たちと歳も近いから仲良くなれるだろう』、『彼女の名前は今日子というんだ』と言う父親は『自分の携帯を操作する』と、『今送った文書は、秘密保持の同意文書だ。デジタル拇印を押してこっちに返信しなさい』と続けます。『今日子に関しては、俺の職務上の大きな秘密を含む。だから一切外に漏らしてはいけない決まりだ…』と続ける父親は『言うことを聞かなければどっちにしろ俺の権限で携帯は止める。決済機能も家のロック解除もリモコン機能も何もかもだ』と『やけに強い口調で命じ』るため、やむなく二人は携帯を操作します。『ちなみに、今日子は一九七八年生まれだ』と言う父親に『全然歳近くねーから!んなおばさんと仲良くなれるわけないじゃん!』といらだつ明日子に、『あくまで暦年齢の話だよ』と言う父親は『一九九五年、ちょうど三十年前。今日子の家が火事で全焼した。一家は今日子以外助からなかった。彼女自身、全身にひどい火傷を負って生死の境をさまよった』、『全身の皮膚や臓器の低体温治療にそれだけかかった』と説明します。『低体温で、いわば冬眠した人間の世界最長記録になる』と続ける父親に『で、その、今日子って人、これからうちでどうすんの?』と訊く明日子。それに『生きるんだ、ここで。二〇二五年を』と力強く語る父親。衝撃的な話を聞いた二人は部屋に戻ります。そして、日々人が見つけた『古い新聞記事のアーカイブ』を携帯で見る明日子は、『きょう未明、東京都S区の民家で火事があり…』と始まる1995年7月21日の『毎巷新聞』の記事を読みます。『どうやら噓じゃなく、この火事から生き残った少女があす、うちにやってくる』と思う明日子は『あしたが来なくて、いきなりあしたのあしたのあしたの…で三十年後だったらどうしよう』と今日子に起こったことに思いを馳せます。場面は変わり、『翌日の昼過ぎ、父が例のいとこを伴って帰ってき』ました。『きのう話した、今日子さんだ』と紹介する父親の後ろに一人の女の子が佇んでいます。『黒髪おさげのセーラー服、膝下までのソックス、今時めったにお目にかかれない「純血種」って感じのJK、いや語感的には「女学生」に近い』と今日子のことを見る明日子。『今日子さん、娘の明日子です』、『分からないことがあったら彼女に訊いてください…』と言うと父親は仕事に戻っていきました。そして、三十年の時を越えて現れた今日子と、明日子の日常を描く物語が始まりました。

“明日子と双子の弟・日々人は、歳の近い従姉がいること、彼女と一緒に暮らすことを父に知らされる。 夏休みに面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。けれど、従姉 ー 今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生で…”と内容紹介にうたわれるこの作品。タイムスリップ?ファンタジー?とも思える内容に頭が疑問符だらけになる一方で、漫画家の宮崎夏次系さんが描かれた表紙が醸し出す独特な雰囲気感にも囚われていきます。

そんなこの作品は1995年!に、ある一件で結果的に『冷凍睡眠』に入り、2025年!!に覚醒して主人公の明日子の家で一緒に暮らすことになった一人の少女の日常が描かれていくというかっ飛んだ内容が展開していきます。そのあまりのかっ飛びぶりに気持ちも高揚していきますが、三つの視点からこの作品の読みどころを見ていきたいと思います。

まず一つ目は1995年に眠りについた = 1995年を生きていた少女の視点が登場するところです。数多の小説の中には過去の時代を描いたものがあります。私はそういった小説で過去の時代の描写がなされていくのを読むのが大好きです。それぞれの作家さんがその時代を表すものをどこに求めるか?という点でその作家さんの個性が垣間見えてもくるからです。その点ではこの作品はもうレベルが違います。何せ1995年を生きていた人間が目覚めたら未来だったという世界を描いているため、もう生活のあらゆることに差分が生じます。数がありすぎますが幾つかご紹介しましょう。まずは今日子が明日子の前に現れて最初に交わす会話です。いきなりですが、それが『ナプキンって全然進化してないよね』という今日子の言葉です。

『進化はしてると思うよ?きっと細かいとこで頑張ってくれてる。羽根とか吸収力とか。でももっと劇的に何とかなってないのかなーって。人類ってまだ傘差してんだ、って思ったもん』。

『ナプキン』については私はよく分かりませんが、『傘』については全く同感です。世界中で、人類の歴史の分だけ対応が求められてきたにも関わらず、『傘』はもう少し進化してくれないかなあ、と思います。そんな今日子の語りに『普通のJKだこれ』と安心する明日子というのがこの場面です。次は、とくに今年の私たちには実感することです。『すっごい暑いよ東京!』と言う今日子に『きょう最高気温が三十二度だったっけ?普通だけど』と返す明日子という場面です。

『普通じゃないよ、七月でしょ、だって夏の暑さの目安は三十度だったよ。超えたら「きょうは暑いね」って言うの… 夏休みのしおりには「宿題は涼しい午前中にすませましょう」って書いてあった…』

2023年の夏はとにかく異常気象の極みだったと思います。『三十度』が『夏の暑さの目安』、『宿題は涼しい午前中に』という時代がこの国にあったのか?と、もう別世界に来てしまったようにも感じます。私たちはそんな1995年という時代の先の時の流れをずっと体験しながら生きているからまだしも、途中を飛ばして暑い夏が当たり前の時代に目覚めればそれは驚きだと思います。次は、部屋に籠ってばかりの弟の日々人のことを話題にする場面です。『部屋から出てくるし不登校でもないよ』と日々人のことを説明する明日子に今日子は引っかかりを覚えます。『二十世紀にはいなかった?』と問う明日子に今日子はこう答えます。

『でも「登校拒否」って言ってた。「登校拒否児」とかね。今は「不登校」って言うんだよね。痴呆症は認知症って呼ぶ、っていうのも習ったよ』。

明日子の家に来るまでに最低限の差分を学ぶ機会を得ていた今日子はそんな風に当時と今の言葉の変化を説明します。そして、その印象をこんな一言で感想にします。

『二十一世紀って、いろいろマイルド』

これは言い得て妙だと思います。かつての時代と比べて同じものを指す言葉があれもこれも…とオブラートに包まれたように言い方が変えられてしまった現代社会。たった三十年の差分にも関わらず解説がないと日本語が通じなくなっている側面が多々あることを改めて感じました。

次に二つ目は、上記で触れた1995年を三十年前と説明していることの違和感です。2023年の今から数えても1995年は28年前です。そして、そもそもこの作品が刊行されたのは2016年1月のことです。つまり、1995年から三十年先 = 2025年は、一穂ミチさんが作品を執筆された時点からなんと10年も先の未来!ということになってしまいます。『生きるんだ、ここで。二〇二五年を』と本文中にもハッキリと記されている通り、『冷凍睡眠』から目覚めた今日子が日常を送ることになるのは2025年の未来の話なのです。これには驚きです。なんとこの作品はSFの世界にも足を踏み入れていくのです。ということで、そんな未来世界の描写も見てみましょう。一穂さんは2015年という今から8年も前にこの未来を想像されたということになります。まずは、違和感がそこまではなさそうなものです。

『人間が何もしないぶん、ロボット掃除機が絶え間なく巡回してくれてはいる』

『ロボット掃除機』の有無はまだまだ家庭によって差異があるとは思いますが、そこまで違和感はないと思います。一方で違和感がバリバリ出てくる表現もあります。明日子が携帯の機能を語る場面です。

『未成年だから、たとえばエロ本とか買おうとしたら警告音が鳴るんだ。十八歳以下はコンドームとか妊娠判定薬とかも親に通知がいくようになってんの』

残念ながら?ここまで時代は進歩していませんね。駅の改札を通過したら通知が届くとかはありますが、十八歳以下とはいえこのような通知が届いたとして親はどんな顔をすれば良いのでしょうか?これは、来ない未来だと思います。最後は、気象ネタをご紹介しましょう。

『夏が行ってしまう。最高気温30度超えの日が下手すると十月まで続く』

去年までだったら、何だこれは?と思ったかもしれませんが、2023年の夏を経験した身にはなんだかとてもリアルです。2025年には現実になっているのではないかと感じる未来です。他にも未来世界の描写は多々ありますが、2015年に空想された一穂さんの微妙に外されている感がある2025年の描写は、読んでいてなんだか摩訶不思議な思いに囚われます。もちろん、今は2023年なので2025年がどうなっているかはわかりませんが、それでもこれはないだろうという微妙感漂う物語が不思議な感覚をもたらします。近未来を描くことのある意味での難しさを感じました。

そして三つ目は、過去(1995年)と現在(2025年)のそれぞれを日常として生きる者たちの交錯です。2025年を生きている高校生が1995年を生きている高校生と直接会話することは当然できません。もちろん小説世界ではさまざまな手法を用いてそれを実現することができます。それがタイムスリップです。タイムスリップという考え方を使えばもうなんでもありです。しかし、同時にそれはSFど真ん中な世界です。それに対してこの作品では、『冷凍睡眠』という考え方をもって、1995年を生きていた今日子に、三十年後の2025年の今へとまるでタイムスリップしたかのように登場する余地を与えています。もちろん、今の世であってもこのようなことは実現してはいませんし、毛色の違うSFと見ることもできます。そんな先に同じ日本なのに、同世代なのにここまでさまざまな価値観が異なるのか?というギャップを垣間見るこの作品の視点はとても新鮮です。そんな感覚が明日子のこんな言葉に集約されてもいます。

『外国人と話してるみたいだ。三十年、そんな大昔でもないのに、間が抜けているだけでこうもこまごまとつまずくものか。時代劇の世界に自分が迷い込んだら、挨拶も通じないんじゃないだろうか』。

そんな物語に登場する主人公・明日子は父親から今日子のことを聞いてこんな風に思います。

『今日子と明日子、自分たちが双子みたいだ。一緒に暮らすと言われてもまだ現実感がないし、正直面倒くさい』。

弟の日々人含め、名前にもどこか繋がりを感じさせる登場人物たち。物語では、どこか関連性を帯びた名前に一つの真実を見る物語が描かれていきます。今日子と明日子という本来出会わなかったはずの二人の少女がひと夏の奇跡の出会いを見る先にそれぞれに続いていく人生を思う物語。そこには、今を共に生きる喜びが故に切なさ漂う結末が読者の中にいつまでも余韻を残すのだと思いました。

『あしたが来なくて、いきなりあしたのあしたのあしたの…で三十年後だったらどうしよう』

三十年の眠りの先に突如現れた今日子。そんな存在にさまざまな思いを巡らせていく明日子が今日子がいる日常を過ごす中に自らの人生に隠されたまさかの真実を知ることになるこの作品。そこには、二つの時代をそれぞれ生きる者たちの新鮮な出会いが描かれていました。『ポケットベル』、『ソックタッチ』、そして『スーパーファミコン』と1995年という時代を懐かしく感じるこの作品。そんな先に2025年というまさかの未来を見るこの作品。

「今日の日はさようなら」という森山良子さんの楽曲の世界観と重なる物語の先に、切ない思いが込み上げる、そんな物語でした。

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2023年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

その先の話が気になるけど、続編出たらガッカリするから、この終わりは好き。
下校の歌本当にある歌なのかな。知りたいけどすぐ調べて出てきたらこの話に反するよな。
おばあちゃんとは言わず、おばちゃんになるまでに会えたら良いね。

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2023年11月02日

Posted by ブクログ

私は初読の作家の場合、代表作を読むようにしている。
なぜなら一作目が面白くないと、その作家の作品をほとんど読まないようになるから。今回の一穂ミチもはじめての作家だったが、最近評判の作品を3冊抱えていた。
初期の本作をまずは読んでみようと予感のようなものが働く。これがなかなか面白く期待を裏切らなかったことに安堵した。今日子の再目覚めからのその後も期待したい。

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2023年05月14日

Posted by ブクログ

SFっぽくもあり、サスペンスぽくもあり
恋愛もの家族愛
色んな要素が詰め込まれているのに最後は透明なブルーみたいな切なさと希望が残った。
面白かったです。

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2023年04月15日

Posted by ブクログ

宮崎夏次系さんがカバーを手掛けたということで、興味を持ち、読んでみた。

2025年の7月。
・17歳の明日子
・弟の日々人
・父
ぎこちない関係で暮らす3人。そこに30年前から来た高校生の今日子が来て、夏休みを過ごして、きょうの日はさようなら。

SFと「無敵のJK」という組み合わせが新鮮。悪人が登場しないのが好き。優しいSFって珍しいな〜。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1995年に女子高生だった今日子が30年の冷凍睡眠から覚めて、明日子・日々人の双子と父の家族に加わる夏休みの話。
今日子のキャラが軽快で良い。
今日子の過去を巡るミステリーの要素、どんでん返しもあり、一気に読みきった。
95年から見た近未来のジェネレーションギャップも面白い。
軽く読めて、ほろっと泣ける。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

冷凍睡眠から、30年ぶりに目覚めた「従姉妹」と過ごす奇妙な夏休み。

1995年と2025年。失われた家族の絆。そして、歳月の差を超えて、二人の女子高生はわかりあえるのか。

一穂ミチ作品、初読みでした。とても良かったです。

オレンジ文庫は、やはりかつてのコバルト文庫読者がメインターゲットなのか?

ミスチル、ポケペル、MD、マリオにスト2、北斗の拳、炸裂する1980年代後半〜1990年代ネタのオンパレードに、該当世代の方は感涙すること間違い無いかと思われます。

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2022年08月23日

Posted by ブクログ

1995年から30年間眠りについていた高校生の今日子。2025年の高校生、明日子と日々人と関わりながら日常を取り戻すかに思えたが、実はいろんな事情があり…。
今日子の時代にも共感できたし、2025年に馴染んでいく様も自然でよかった。
高校生の適応能力!
巻末のサイドストーリーもよくて
結末は想像するしかないのだけど、皆で再会してほしい。

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2022年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025年夏、1995年を生きていた従妹が眠りから目覚めて我が家にやってきた

JKの明日子は一瞬戸惑うものの、母は亡く、父は不在がちの家で普段は会話のない双子の弟・日々人と共に30年前のJK・今日子とそれなりに楽しく過ごしていたが…。

ある日過去や未来から見知らぬ人がやってくる、テーマとしては書かれがちなものの、30年前と同じこと、違うこと、どっちがいいの?と自問自答したり、昔の彼氏になりかけの人を見つけたり、と2人の女子高生+男子高生の冒険あり、ミステリあり、一穂さんの筆力が冴えてる作品。

最後がもうやっぱりすごい、ガツンと来ました。切ないなぁ。

発行が2016年。少し前に描かれた2025年、というのも楽しめました。

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2022年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やべえ切ない。でも良かった。
最初は若者ノリのわざとらしさとか90年代ageとかダルって思ったけど、最後の方はマジで今日子を好きになってしまった。
もう少し丁寧に進めてほしいと思うところがなくはなかったが、まあ夏休みのお話なのでね、儚いのもよしということで。
今日子……あまりにも悲しい。ずっと普通に振る舞ってたけど元は普通の高校生なんだし、傷ついて当たり前だよね。沖津くんに気づいてもらえない(と本人は思ってたけど)ところが切なかった。
いざ本人を目の前にしたら彼女が昔の堂上今日子ちゃんに戻っちゃったみたいで、でも時代の隔絶は確かにあって、好きな人は年をとっててもう結婚してて……
自分だけは変わらないまま。周りだけが変わっていく。
こんなのつらすぎるだろ。
おまけに病気って。
今日子の家族も悲しいな。元々は普通に仲良かったはずなのに。
自分の家族がいきなり死んじゃったらどうする?
私は怖くなった。
それでもなお気丈に振る舞うのも健気だった。
日々人の告白を断る(というか告白させてもらえない)のもかなり良かったな。彼女の……あけすけに見えて優しい思いやりのある性格を感じる。そういうところが沖津くんも好きだったんだろうな。
あ〜〜でも最後の……思考が分かるところ本当につらかったよ。
ずっと明るかったけど、怖くないわけないんだよな。冬眠できる肉体でも寒いものは寒いんだよな。
こわいし、ママ助けてって思っちゃうよな。だって普通の女子高生だもん。まだ16?17歳だよ……。
最後のどかんアドバイス泣いた。
全部ひらがななのもなんだか……。
かのじょのあたまからひっしにとけだしてきたさいごのことばみたいでせつないんだ。
でもいい演出だ。

日々人と明日子も可愛い。父親とまた少しずつでいいから仲良くできるといいな。
明日子の人生は切ないんだけど……明日子のおかげであの三人はまた親子をできるようになったんだよな。
三人で明日子のことを待ってるんだろうな。会話の端々に仲良いっていうか、気楽さの名残みたいなのが滲んでたし。

最後の短編マジで良くなかった?
ちゃんと覚えてたんじゃん。堂上今日子のこと。
あんな普通の青春してたのに……堂上今日子……。
沖津くんは普通に、今日子じゃない人と結婚してお父さんやってるけど……たしかに今日子のこと覚えてて……今日子がどこかで元気に生きててくれたらって……思って……。
生きてはいるよ、生きてはいるんだ……。

今度こそ本当に、堂上今日子のことを忘れるだろう。

これはもう沖津くんが高校生のころの沖津くんじゃなくて今の沖津さん(誰かのパパで夫)に戻ったってことなのかな。
彼は未来を生きていくもんな。

さようならを言うごとに、思い出している。

これ本当……。
少しずつ別れを重ねて……とは言ってるけど。
別れ……別れこそが彼女を思い出させるものなんだよな。
これで『きょうの日はさようなら』でしょ?天才か?
誰かに別れを告げるってことは、その人のことを思い出すことなのかな。その人のことを思い浮かべてさようならって、言うたびにその人は頭の中に何度でも現れるんだろうな。
きっといつかの未来、つまり今日子にとっては明日……今日子にとっても、何年後でも何十年後でも明日……に会えるといいな。さようならじゃなくて……また会えたねって言ってほしいな。

この本を読み終えたあとに今日の日はさようならを聞くと、めちゃくちゃな気持ちになる。

けどハッピーエンドを匂わせてくれる物語で良かった。悲しいけどいい話だった。
この小説は人からもらったので、タダでこんなええもん読んでええんか?という気持ちだな。

じゃーん、やったね!

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2022年07月09日

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とっても素敵なSF青春小説。

皆、キャラクターがいいし
とんでもないお話ではあるのだけれど
全く違和感がなかった。

「きょうの日はさようなら」を口ずさむと
今日子や明日子たちのこと思い出して
つい、ウルウルしてしまう。

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2022年01月15日

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30年間コールドスリープをして2025年に目覚めた少女と、従兄(双子姉弟)との心の交流の物語です。
なかなかにミステリアスで、かつ昭和生まれの感性を刺激するゲームや音楽や漫画が大盤振る舞いで、想像以上に楽しんで読みました。
直接的な名称は出ませんが、あれかなこれかなと想像して非常に楽しかったです。コールドスリープした少女は僕の4歳下で、1995年といえばルーズソックスやアムラー全盛の頃で、まだポケベルの頃なのでいきなりスマホやストリーミング全盛の中に頬り込まれたとしたら、彼女以上に馴染めず戸惑うこと間違いなしです。
そんな不安の描き方と、生まれた年代は違うけれど年齢の近い姉弟との交流の描き方もとても上手いと思いました。
この間インタビューウィズヴァンパイアを映画で見ましたが、同じ時代を語り合う事が出来ない寂しさというのを同様に感じました。コールドスリープして未来を見てみたいという人沢山いると思いますが、僕はやはり同じ時代を生きて死んでいく方がいいなあ。

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2021年11月04日

ネタバレ 購入済み

今日の日はさようなら

とある事情から、コールドスリープで眠りにつき
そのまま2025年へスキップした少女と、
そんな彼女と同居を始める姉と弟、父親、
そして少女自身の物語です。

すっきりとしたソーダ水のような
喉越しの良い文章は、作品の雰囲気や
キャラの年齢とも似合っていて楽しく読みました。
お話は、大きな一山が用意されていて
そこへ向かって収斂していくものでしたが、
家族未満から始まるぎこちない会話や、  
じわじわ親しくなる彼らの空気が心地よく、
もっと長く読みたいと感じました。

この先、もっと分厚い本も読んでみたい、
違ったテーマも楽しみだな、と、
追いかけていきたい作家さんになりました。

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2020年01月31日

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30年間の眠りから覚めた女子高生が現代の高校生姉弟と生活を始める話。

今日子の寂しさが想像できない。さっきまでいた友達が、目覚めたら誰もいない。家族も。
最後、なんとか気持ちの折り合いをつけようとしている今日子の本音が溢れていて辛い。

明日がいつも通り来ることを信じている時の今日子が、対比されていて今を生きているということが尊かった。

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2024年04月16日

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ネタバレ

2025年が舞台。出版は2016年なので、少し未来の話、ということになる。ちなみに私が読んだのは2023年。
ネットに接続するのにIDが必要だったり、決済が全て携帯でできたりと、リアルな未来予想図にワクワクする。
そして、1995年からやってきた女子高生・今日子との交流。望まぬ形でのタイムスリップで困惑するかと思いきや、意外とすんなり馴染んでいたのは、若さゆえの柔軟性か。
そんな彼女と生活を共にする双子の高校生たちの、順応性にも驚かされる。
今時の話し言葉や、検索したら何でもすぐに分かる利便性に、「それなに?」「それって必要?」と問いかけてくる今日子の感性に、何かをどこかに置いてきてしまったような寂しさを感じた。
ラストは淡々と流れていく。胸が痛む一方で、あっけらかんな別れに救われる。
願わくば、早く3人が再会できますように。

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2023年08月02日

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みんみんさん激推しの一穂ミチさん、初読。人気作は予約数が多くて、とりあえずこちらを。
2025年7月、近未来の双子の高校生の夏休み。父方の従姉妹という少女(48才)との一夏の同居生活が始まる。ある事件に巻き込まれて生死を彷徨っていた少女は、コールドスリープから目覚めたばかり。30年前の女子高生と現役高校生とのちょとズレてはいるけど、何かを補い合えるような、そんな三人の生活は、崩れかけていた家庭を修復していく。
この作品の出版が2016年ですので、小説の設定にだいぶ近づいていますね。そんなに大きくは変わらないですよ。確かに、テレビとパソコンは薄くなりました。それより、少女の高校生の時の思い出の方が、ガングロとかポケベル、ゲームセンター等懐かしい響きでした。
思いがけずSFタッチで、楽しめました。
他の作品も読みまーす。

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2022年09月19日

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『スモールワールズ』がとても良かったので…やっと2冊目の一穂さん。

舞台は2025年の夏休み。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、ある日突然、父から今日子といういとこがいること、そして彼女と一緒に暮らすことを告げられる。実は今日子は1978年生まれ。30年前の1995年、今日子が17歳の時に低体温治療のため仮死状態となり、2年前に長い眠りから目覚めたばかりだという…。

集英社のオレンジ文庫ということで、どちらかと言うと若い人向けかなぁと思いつつ読み始めたところ、低体温治療の仮死状態ってつまりはコールドスリープってやつよね…これってSF?どうなることやら…と心配になりましたが、やはりそこは一穂さん。17歳という繊細で多感な時期の、明日子と今日子と日々人のやりとりも良かったし、今日子の謎や家族の問題もあり、余韻を残す切ないラストに満足のいく内容でした。

今日子の高校生時代が…MD、ポケベル、ルーズソックス、ファミコン…などなど、若干私の高校生時代とはズレていますが懐かしいものばかり。30年前と現代との言葉の違いもおもしろかったです。

タイトルの元となっているであろう曲の歌詞が…読み終わった後に思い出してめっちゃ切なくなりました。しかもこの曲、描写としてはタイトルも歌詞もダイレクトには出てこないってのが、すごい。これもひとつのテクニックなんでしょうね。

最後に短編が2つあるんですが、今日子の同級生だった沖津くんの話とエピローグ的なものと、これも何気にすごく良かったです。

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2022年04月23日

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30年間眠らされていた女の子が現代にやってきた話。せっかく、現代に慣れて1ヶ月だが、病気は治せる事になってなく、また眠り続けることになる。双子の姉弟との出会い、そして別れ切ない話だった。

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2022年04月16日

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ネタバレ

現代に対しての皮肉?ディスり?がテーマかなーなんて思いながら、その面白さを感じながら読んでいたが、様子がガラッと変わり、その後、ガラガラっと変わり…ついていけなさそうになったが、どんなにいろいろ進んでも、人の気持ちの奥底は変わらないんだなーと思った。

何年か後、明るい未来が見たい。

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2022年04月10日

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ネタバレ

ある事情で、30年間冬眠状態にされていた今日子とのひと夏の生活。ファンタジーなのだからハッピーエンドを期待してしまう。今日子がすごく孤独なのではないか…と切なくなってしまった。不思議と読みやすい物語。

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2022年02月18日

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