あらすじ
「日本という国の森に、大正末年、昭和元年ぐらいから敗戦まで、魔法使いが杖をポンとたたいたのではないでしょうか。その森全体を魔法の森にしてしまった。発想された政策、戦略、あるいは国内の締めつけ、これらは全部変な、いびつなものでした。魔法の森からノモンハンが現れ、中国侵略も現れ、太平洋戦争も現れた。」
なぜ「昭和」は、滅亡に向ってころがっていったのか」。「昭和への道」「戦後日本という下司国家」のことなどが、いささかの諦念と鬱懐を抱きながら語られる。この国の行く末を案じた巨匠のもう一つの遺言である。
<注>電子版には巻頭カラーは収載されていません。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
カメラに向かって司馬さんが語ったものの文章化であって、小説やエッセイ以上に、司馬さんの生々しい思いが伝わってくる。解説でも述べられているが、「私は非力ですなぁ」という嘆きともとれる言葉によって、この本の内容がリアルに迫ってくる。
司馬さんに対して、日清・日露戦争と比べて太平洋戦争を否定的に扱いすぎる、という批判があるらしい。だから司馬さんは昭和を小説にできなかったのだ、と。
しかし、小説家が小説で伝えることのできないほど、屈折した、強烈な思い、印象・・・。だからこそ耳を傾けるべきなのではないだろうか。
それに、日本人であって、あの戦争を否定的に捉えない人など、いないと思う。
Posted by ブクログ
「明治という国家」と併せて読むことをお薦めします。
司馬さんは戦争に行っているので、アジア・太平洋戦争の愚かさを身を持って体験しています。その体験から、昭和の日本を語っています。