【感想・ネタバレ】「昭和」という国家のレビュー

あらすじ

「日本という国の森に、大正末年、昭和元年ぐらいから敗戦まで、魔法使いが杖をポンとたたいたのではないでしょうか。その森全体を魔法の森にしてしまった。発想された政策、戦略、あるいは国内の締めつけ、これらは全部変な、いびつなものでした。魔法の森からノモンハンが現れ、中国侵略も現れ、太平洋戦争も現れた。」
なぜ「昭和」は、滅亡に向ってころがっていったのか」。「昭和への道」「戦後日本という下司国家」のことなどが、いささかの諦念と鬱懐を抱きながら語られる。この国の行く末を案じた巨匠のもう一つの遺言である。

<注>電子版には巻頭カラーは収載されていません。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

カメラに向かって司馬さんが語ったものの文章化であって、小説やエッセイ以上に、司馬さんの生々しい思いが伝わってくる。解説でも述べられているが、「私は非力ですなぁ」という嘆きともとれる言葉によって、この本の内容がリアルに迫ってくる。
司馬さんに対して、日清・日露戦争と比べて太平洋戦争を否定的に扱いすぎる、という批判があるらしい。だから司馬さんは昭和を小説にできなかったのだ、と。
しかし、小説家が小説で伝えることのできないほど、屈折した、強烈な思い、印象・・・。だからこそ耳を傾けるべきなのではないだろうか。

それに、日本人であって、あの戦争を否定的に捉えない人など、いないと思う。

0
2009年10月29日

Posted by ブクログ

「明治という国家」と併せて読むことをお薦めします。
司馬さんは戦争に行っているので、アジア・太平洋戦争の愚かさを身を持って体験しています。その体験から、昭和の日本を語っています。

0
2025年08月22日

Posted by ブクログ

戦争と復興、その両方を抱えた時代が昭和である。
激動の幕開けは軍靴の響きとともに訪れ国民は一つの旗の下に動員された。
焼け跡から立ち上がったのは飢えと喪失を知る世代の底力だった。
高度経済成長は街を輝かせ暮らしを豊かにしたが心の中に戦争の影は残った。
司馬遼太郎は昭和をただの年代ではなく「国家の物語」として描く。
そこには力の誇示とその果ての空虚さそして再生の知恵が交錯している。

0
2025年08月15日

「学術・語学」ランキング