【感想・ネタバレ】シャープ崩壊--名門企業を壊したのは誰かのレビュー

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Posted by ブクログ

内部の派閥争いや意思決定のミスによってシャープがどう崩壊していったのか。について時系列で記述している。
特に片山社長から高橋社長について、社長を軸に語られている。
意思決定バイアスが会社に悪影響を及ぼした事例

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2023年10月04日

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創業者が去り、創業期を知るメンバーが去り、生え抜きのサラリーマン経営者達がトップに着き、自らの虚栄心を目的とした近視眼的な施策を続けた結果、崩壊した。ありふれた事柄だが、これが大きな規模で起こったというのが本書を読んだ印象だ。

持論だが、世間で最盛期と思われる施策は衰退を招くものが多いと思う。

「液晶のシャープ」しか知らない世代であるし、それ故に「強いシャープ」のイメージが強く、当時の凋落に際しては「まさか…」としか思えなかったが、少しだけ謎が解けたように思う(本書の内容が正しいかは分からないが)。

積読本だったが一気に読んでしまった。

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2022年02月27日

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2017/ 2/16非常にわかりやすく緊迫感のある描写。歴代社長の人災みたいなところがある。東芝然り。★5

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2019年09月01日

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未だに危機から脱しきれない株式会社シャープ。複数回のリストラ、本社売却、鴻海との提携を経たものの、明るい兆しは少しも見えない。ロボホンなんぞ作っとる場合か。

ここまで悪化する事態が長引いている理由は本書を読んでよくわかった。ズバリ、シャープには創業一族を除いて、まともな経営トップが現れていない。リーダー不在、そのことに尽きる。

「液晶のシャープ」と呼ばれた全盛期からすでにその徴候はあった。社長、副社長、前社長の3人が思い思いに経営し、投資する。それは3本の首からビームを出す怪獣キングギドラに例えられた。彼らキングギドラが互いに疲れて、退くも、その後はビームを出す能力すらないワンポイント社長が1年間在籍。そして、現在の社長、高橋興三。今のところの彼の業績は自分の仲良しグループだけを残し、役員から一般社員まで幅広くクビを切ったことだけだ。

崩壊するのも当然という現在進行中の組織を、責任者をはっきりと名指しで、記した取材録。著者が「日本経済新聞社」だからこそ書けた暴露本だ。

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2016年08月13日

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事実は小説より奇なり。

世界の亀山モデルと液晶薄型テレビがもてはやされてからまだ10年足らず。
人事抗争や堺工場への投資失敗などであれよあれよと言う間に苦境に立たされてしまった。

関連ニュースに対する理解が深まった気がするので、鴻海による出資契約もまとまった今、シャープがどうやって復活していくか、あるいはやっぱりダメなのか、引き続き注目していきたい。

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2019年02月04日

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・会社の柱は人事。
・過剰な投資は慎むべきである
・信頼のあるトップのもと、合議制にする。
・意思決定は素早く。

淡々と書かれていて、
シャープがなぜ堕ちていったのか
非常に良く分かる本です。

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2016年09月27日

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シャープが液晶への大型投資を始めるのは2000年代前半である。2004年1月に亀山第一工場が稼働する。続けて2006年8月には亀山第二工場を稼働させる。大型投資は、これで終わらず、2009年10月には堺工場を稼働させる。
この投資は、はじめはうまくいった。亀山第一工場稼働前の2003年度のシャープの連結営業利益は、1,217億円。それが、以降、1,510億円、1,637億円、1,865億円、1,837億円と成長していく。ところが、液晶の需要が落ち込んでいった、2011年度の営業利益はマイナス376億円、12年度はマイナス1,463億円。2013年度は一息つくが、14年度はマイナス481億円、15年度はマイナス1,620億円と落ち込んでいく。その後、シャープは台湾資本の鴻海に買収されてしまう。
「亀山ブランド」として、日本国内に製造拠点をつくり、液晶技術を囲い込み、台湾・韓国勢に打ち勝っていくという、シャープの液晶事業の戦略はうまくいかなかった、ということである。
ただ、本書は、この戦略がうまくいかなかった原因は突き詰めて分析していない。むしろ、経営陣の内紛を描き、シャープがこのように凋落したのは、液晶に関する戦略的判断の間違いと同時に、経営陣が一枚岩になれなかったためである、としている。それはそれで正しい分析であろうが、もう少し戦略分析の部分を詳しく読みたかった。

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2022年10月19日

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保身、メンツ、自己正当化などドロドロに渦巻く大企業の凋落ぶりが見てとれる。
何を大切にどこを向いて仕事をするかを見誤ると、シャープのような豪華客船でも沈みゆくことがよく判った。
結果として鴻海に買ってもらって良かったのだと思う。

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2022年08月25日

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経済誌かなんかの書評で読んで知ってから積読。
2016年にシャープが鴻海に買収された直前まで、シャープの転落の様子を日経の番記者が描く。
大叔父がシャープの電器屋だったし、仕事でも多少絡んだこともあるので、比較的好きな家電メーカーではあったシャープ。でも、書かれている内容はまるで日曜劇場のドラマに出てくるようなドロドロ話。こりゃダメだな。
途中出てくるJDIや東芝が今でも迷走しているのを見ると、鴻海に買われてよかったんだろうなと思う。確かに日本人としては微妙な気もするけど、海外で仕事をしている身からすると、資本の国籍で今更選り好みしてもって気もするし。

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2022年04月03日

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シャープ関連のニュースを見る時、どうしてこのような状況になったかの背景がわかる。池井戸潤の小説のよう。
これが悪いとネチネチと愚痴を言うこと、粗探しをして怒ることは日本企業得意だけど、じゃあどうすれば成果が上がるの?効率良くなるの?という部分、施策を考える部分は本当に下手くそだ。現実を見ないで根性論に持っていきがち・・・それでは企業は良くならないでしょって思う。

シャープの経営に関しては、液晶事業に大型投資をしてしまったこと、工場を日本国内に作り垂直統合してしまったことが、最大の敗因であり、言い換えるとそこが取り返しのつかない失敗だったのだろうな。。。と。

ビジネスだからこそ、大きくするという考えは必須だと思うけど、今の世の中国内にのみフォーカスを当てて、日本しか見てないと、海外で大きな変化(ここでは中国、韓国との価格競争)に対応できない、つまり競り勝てないと終わりなんだなってことが良く分かる。
失敗としては、良い事例として評価されるだろう。

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2019年02月09日

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日経新聞の取材陣による、経営者にスポットをあてた、シャープ崩壊までのルポ。
淡々と述べられているので、事実関係を把握するためには、お勧めの書である。
そして、決して誰が悪いというものでもなく、ある意味歴史の必然かもしれないと感じた次第。
鴻海の傘下に落ち着いたこれからのシャープの行く末が楽しみです。
本書に記載されている様に、ウルトラCで今は日本電産に在籍している片山氏が復帰したりして。

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2017年05月07日

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流石日経新聞というべき、骨太のシャープ崩壊のドキュメント。
メーカーの立場から言わさせていただければ、液晶やプラズマなどのパネル投資をSamsungを引き合いに煽った新聞が何を批評するか?と思わんでも無いですし、為替は読めんよなーとも思うけど、プラズマで死んだパナソニックが復活している以上、シャープの経営に瑕疵があったのも確かなのでせふ。

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2016年12月14日

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ホンハイ出資前のH28年2月に出された本。
社長がこんなに血縁関係多い人がいたことに少し驚いた。
太陽電池事業の赤字の要因が、割高なシリコンの長期調達契約ということに驚いた、いくらシリコン不足だったとはいえ、ヘッジ率を抑えなかったのか?と思う(結果論かもしれませんが)
しかもトップが赤字事業の要因をつかめてないなんて…。

読んでいると、ガバナンスの問題も大きかったように思います。

あと、調子が良かった時代は、天理の研究所が頑張ったことが書かれており、女性が3割在籍、男女徹底平等、机も手裏剣状に配置など、コミュを促す仕組みあり。

シャープペンシル、電卓、両開き冷蔵庫、オーブンレンジ、液晶ビューカム

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2016年12月06日

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ネタバレ

こんなん書いてええんかー、って内容多数。
信憑性不明。

・シャープとサムソンが結んだ資本提携の内容に複写機事業売却に関する優先交渉権の件が。。。

・2013年大型増資(新株発行)は東京オリンピックの神風によるもの。東京オリンピック開催決定による株式相場の上昇が無ければ銀行が首を縦に振らなかった。へー。

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2016年08月11日

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シャープと言えば、シャープペンシルを発明いた会社として有名かと思いますが、液晶事業が大当たりして「液晶のシャープ」と言われるようになるまではソニーやパナソニックの後塵を拝する1.5流の家電メーカーというのがボクの印象です。
しかしながら、液晶テレビ以外にも、電卓(1964年)、オーブンレンジなど世界初の製品を世に送り出してきた企業だったりしています。米電気電子学会(IEEE)から技術分野の歴史的な業績をたたえる「IEEEマイルストーン」に電卓、太陽電池、14インチ液晶モニターの3つの製品が選ばれていて、この賞を3度も受賞するのは日本企業として初めての快挙だそうです。
シャープは、世間(ていうかボク)のブランドイメージとは裏腹に、技術力、研究開発力を元来備えていた会社だったようです(液晶ビューカム(1992年)やヘルシオといったヒットもとばしてるし)。
さらに財務基盤も盤石でした(過去形だけど)。シャープの財務体質は、第二次世界大戦後の一時期を除けば健全で、無借金経営が続いていて、90年代前半の自己資本比率はおよそ50%。財務指標は極めて優良です。

それでは、技術もあり財務基盤も盤石なシャープの凋落を招いたのは何だったのかっていうことですが、それはシャープのブランド力を世に周知させた液晶事業への過剰投資が発端でした。町田社長(4代目社長)時代の亀山工場への投資もかなり大きな投資でしたが、片山社長(5代目社長)時代の堺工場への超巨額投資の失敗、その後の社内の権力抗争とそれに伴う戦略なき経営によって、シャープは抜き差しならない状態に陥っていきます。
具体的には2009年に堺工場が稼働するも、地デジ特需の終焉と円高が相まって、2011年には液晶事業の収益が悪化し、2012年には巨額の赤字を計上して経営陣は引責辞任。リーダーシップのない軽い御輿を社長を祀り上げ、院政の覇権を争う内向きの権力闘争に夢中になり、危機を脱する為の貴重な時間を無駄に浪費してしまいました。
正直アホ過ぎます。国策による地デジ特需は利益の先喰いだってことはまともな知能がれば誰だってすぐ分かるのに、液晶パネル(テレビ)に集中投資してしまった愚は弁解のしようがないと思います(「液晶の次も液晶です」とか言ってたし)。あっ、ちなみに日本からのテレビの輸出は1985年以降は微々たるものだったようです。

ついでに地デジ特需の折、パネル受給が逼迫するなかで、自社製テレビへの供給を優先し、外販に回すパネルの量を制限してソニーや東芝を激怒させたという、どこの途上国よという感じの振る舞いにはあきれて何も言えません。取引先より会社の都合を優先し、商談中でも上司から呼び出しがあると席を立つのも半ば常識というエキセントリックな社風で、下請け企業に対しては執拗に部品の値下げを迫り、横柄な態度で接するシャープの悪評は、地元の関西地域ではよく知られていたそうで、取引先を「おまえ」呼ばわりし、怒鳴り散らすのは当たり前という「下請けいじめ」の常連だったようです(下請法に抵触しないのか?)。これが一部上場企業のすることかと思うとガッカリです(なので、経営危機に陥っても内資系企業はどこも助けてくれなかった)。

こんなあきれた社風を改善するためか、高橋社長(7代目社長)は社長就任早々に過去の権力者達と決別し、権力を社長に集中させて、ホンダのワイガヤを模倣しり、「さん」付け運動等を実施して企業風土改革をはかりました(このご時世で「さん」付け運動始めるとか、どんだけ社内風土が周回遅れしてるんだよって思います)。しかしながら、業績がちょっと回復すると危機感が喪失してちょっと調子に乗ってしまいます。で、結局、再び赤字に転落し、挙げ句の果てには自己資本比率は10%を下回り、有利子負債は1兆円規模になってしまいます。で、従業員を人切りし、業績悪化の責任は仲の良くないボードメンバーに押しつけ、自身とそのお仲間(仲良し3人組)はちゃっかり残留します、メインバンクの傀儡として(まぁ、企業風土改革って一番難しいよね。一朝一夕できるわけがない)。
ついでにこの高橋社長が面白いのは、3千人超の希望退職者が会社を去った翌日に「人が重要だ」という内容の社長訓辞を出す正に目の付けどころが斜め上なセンスです。
創業者の早川徳次は社員を家族のように大切にしたと言い、「和は力なり、共に信じて結束を」を地でいく経営をしてきたようですが、現経営陣は部下や一般社員に詰め腹を切らせ、自身は銀行の言いなりになり保身に汲々としているようにしか見えません。一番無能なのは、破綻必死の状況になるまで無策であったトップ・マネジメントだというのに。

さて、ここまでシャープの転落ぶりをなぞってきて何か思い出しませんか?

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

平家物語の冒頭にそっくりじゃね?

ってオレは力強く思いました。

シャープと言えば、「目の付けどころが、シャープでしょ。」のスローガンが長らく使われてきましたが(2010年から「目指してる、未来がちがう。」に変わったけど)、ネットの世界では「目の付けどころが斜め上」などと揶揄されたりしています。だって、

デジタル複合機用プラズマクラスターイオン発生装置とか
「ともだち家電」シリーズとか
健康コックピットとか
極めつけは、ロボット型スマートフォン「RoBoHon」とか

誰がターゲットだよ?

って思いません?

シャープは、
経営危機によって独創的な家電商品を生み出す余裕が現場から消えた。
消費者ニーズを最優先して商品を開発するという良さがなくなった。
自由闊達さがなくなった。
なんて言われているようですが、斜め上ばかり見ているようでは経営再建は夢のまた夢でしょう。

結局はあだ花だった液晶事業のかりそめの成功に浮かれ、
傲慢で不遜になり、
身の丈に合わない金の使い方をして、
失敗すると社内抗争に明け暮れて、
責任は部下にとらせ、
今までのツケが回ってきて、誰も助けてくれないとか
シャープの凋落は必然だったんじゃね?って思います。最終赤字が2500億になって債務超過になりそうだとか報道されてるけど、自業自得感でいっぱいです。

それでは最後にシャープの最も痛々しい話を一つ。
シャープのナンバー2のの長谷川祥典専務(コンシューマーエレクトロニクスカンパニー社長)は、シーテック(映像、情報、通信の国際展示会)でスティーブ•ジョブズのone more thingを真似してモバイル型ロボット電話RoBoHon(ロボホン)のプレゼンをしたそうです。実際見た訳じゃないけど、どんだけ罰ゲームなんだよって思いました。痛々し過ぎますよ。そもそも誰得なの?誰が欲しいの?税込みで20万超えてるんですけど。

ドリフのいかりや長介ばりに

ダメだこりゃ

そう思いました。

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2016年05月28日

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カネボウ、ソニー、東芝、三菱自動車などシャープを含め名門企業の凋落は何が起因か興味深い。シャープは、トップの器でない人間が権力を持ち、奢りとプライドから誤った判断をし、保身と責任回避でかじ取りを過ったことが最大の原因。どこも上に立つ人間の能力と器の大きさが重要で、自身の小組織にも当てはまる。それ以外にも、上に立つ者はエンロール力・リスクテイク力・細心配慮力を身に着けなければと痛感する。

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2017年05月17日

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ネタバレ

実に興味深い内容ですねぇ。
技術力のあるシャープ。しかし、営業力が弱く長年二流とされてきた同社が液晶テレビで一躍超一流企業となり、そして人事抗争により地に落ちる。
マジでドラマにしてほしいような内容です。

設備投資はキャッシュフローの中で済ませ、売上高の1割を超えない、というのがシャープの基本的な財務のルールだったそうな。しかし、そこは経営という仕事の難しいところ。失敗したから「身の丈にあった経営ができなかった」と言うが、成功してたら「イチかばちかの勝負に出た」となるんだろうし。
まぁ、でも俗に言われているように1本足打法的経営は無理があったんでしょうね。同じ産業が延々花形であることは世の中ありえませんからね。

やっぱり、、、、、ドラマ化きぼう♪小説でもいい、池井戸さんあたりに書いて欲しい。

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2016年03月28日

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シャープ売却の記事は毎日のように出ているけど、こうなるまでの過程がここに記されていた。個人的な意見として、日本が真のグローバル社会になるためにはホンハイへの売却は間違ってなかったと思う。弱い企業は強い企業に食われるのはビジネスの世界では当たり前だ。それが当たり前のように国境を越えて買われ、売られすることが本来のマーケットの形だ。一方で日本の技術が流出したことについては残念だが、間接的には高い技術力がマーケットと合致できなかった技術者たちの責任でもあると思う。これから、シャープがどうなるのかは分からないが、また復活し、強い日本の企業として世界で戦えるようになれば嬉しい。

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2016年03月23日

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ネタバレ

この本を読んだ2016年3月の時点で(本の出版は2016年2月)、シャープの行く末は鴻海に委ねられたが、偶発債務が出てきたことで、まだ確定していないという状況にある。本書は、シャープが経営に失敗して内部から崩れていく様子を取材によって明らかにしたものである。会社が傾いた原因は、一時は成功のシンボルとなっていた液晶事業の不振、ことに堺工場などの過剰投資、にあるが、その判断に至る経営層の駆け引きが描かれている。

もちろん、ここに書かれた人物評価は一面的なものではあるだろう。また、その行動評価は結果を見た後付けの評価であるかもしれない。それでも、その結果に対する責任は問われるべきではあるだろう。片山氏が社長に就いたのは、49歳の若さであったのは驚き。期待と不安は大きかっただろう。自分が学生のときの企業訪問で天理の研究所を紹介してもらったとき、TFTカラー液晶搭載の試作ノートパソコンの上でカラー動画が滑らかに動くのを見せられ、これからは液晶の時代だと説明してくれた方が言っていたのを思い出す。液晶の時代は確かに来たが、それが仇になり命取りとなったのは皮肉だ。そして悲しい。
ただ、似たような事例は海外でもあり、NOKIAやKODAKもそのよい例だろう。企業が成長を目指して何かに賭けるのはそのときには合理的な判断である場合もあるだろうし、古典となっているクリステンセンの『イノベーションのジレンマ』にあるように既存顧客と製品を重視するという合理的判断が破壊的イノベーションによって致命的となることもあるだろう。企業のライフサイクルはもしかしたら個人のライフサイクルよりもずっと短くなっていくのかもしれない。企業が行う賭けや判断に個人の人生を同じようにかつ受動的に賭けてしまうべきではないのだろう。別の本だが、最近読んだ東芝から出た竹内健氏の『10年後、生き残る理系の条件』などで語られる話ももっと一般的な話になっているんだろうな。富士通の人事から飛び出した城繁幸氏の『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』という本も読んだ方がいいのかもしれない。

第10世代のガラス基板を作れるのは今でも堺工場しかない、とか太陽電池用のシリコンを2008年に20年まで長期購入契約を結んだ後にシリコン市場が暴落した、など結果として大きな経営判断ミスが重なったが、成功と成長を積み重ねる中でシャープ経営陣の中でリスクに関する意識が弱くなっていったのかもしれない。設備投資はキャッシュフローの中で済ませ、売上高の1割を超えない、というのがシャープの基本的な財務のルールだったそうだ。結果論であることはわかっているし、当時に投資抑制の判断をすると批判や反発を浴びたであろうことは想像に難くないが、その受け継がれたルールを守っていればこのような破滅的なことにはならなかっただろう。そのルールの裏には、かつて行った人員整理をもう二度と行わないという昔のシャープの経営陣の想いがあることを考えるとなおさらである。

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2017年04月23日

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会社は誰のものかということを、考えさせられる本。
少なくとも、権力争いは良くないですね。
われのこととし、日々改めよう。

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2023年07月16日

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人事抗争をメインに書かれていますが、やはり巨額の投資が本質と思います。一度狂った歯車を修正することの難しさを、ひしひしと感じました。

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2021年08月07日

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ネタバレ

大きな成功体験が企業を、人々を変えてしまった。驕れるものは久しからずということか。
シャープ贔屓だったこと、自身に近い業界の話であることから手に取りました

さっと読む限り、4代町田社長、5代片山社長の責任が大きいと
勿論、経営者としての責任は重大で当時の液晶偏重過剰投資が致命の失策なんでしょうが…
(しかし、そもそも4代5代にて液晶で一山当てなければ、この時代に生き残れたんかね?)

そこからの人事抗争の話は一面的な見方なのではないのかな~
新聞社らしいコメント切り取りの浅薄な本にも感じさせてしまうね
結局のところ経営者の器を持つ者が現れなかった(居なかった)ということだろう

自由闊達に面白い製品を世に出していた在りし日のシャープを思うと、ただただ悲しいな

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2019年05月04日

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日経お得意の内実ドキュメンタリー記事をまとめて書籍化したもの。
いつもながら、よくもまあ実際その場にいたかのようなしたり顔の文章を書けるもんだ、と半ば感心、半ば呆れてしまうが。

今年(2016年)2月くらいまでの時点での出版なので、ちょうどホンハイの出資を受けて傘下に入るか、産業再生機構の支援を受けて実質国有化されるかの決断を迫られているタイミングで本は終わっている。
その後すったもんだの挙句、ようやく先日ホンハイからの株式代金払込みも完了して新経営体制がスタートしたのは衆知の通り。

副題に「名門企業を壊したのは誰か」とあるが、シャープが傾いた原因として、液晶事業への過剰投資とそれに続く経営陣の内紛、権力闘争に求めている。

近年の歴代社長のうち、町田氏、片山氏については、有能だが権力欲にとらわれた人物として描かれ、それに続く奥田氏、高橋氏は経営者の器ではないと言わんばかりの散々な書かれ方。
経営者の悪口に終始しているが、それで済ませてしまってよいのだろうか。

最後の方に、シャープの「元首脳」のこんなセリフが出てくる。
『シャープ社内の誰か優秀な人が突然出てきて、再生のシナリオを描いていくようなことにならないと、士気は下がるばかり』
こんな他人頼み、無い物ねだりの見解を吐いてしまうような人物しかいないようなら、そりゃダメだわな。

だいたい、この規模の会社で同族経営でもないのに、前社長の娘婿の兄や娘婿が社長を継いできている事実にちょっと引いてしまうし、固い財務体質や「目のつけどころがシャープでしょ」の革新性はあったとしても、結局は昭和の古い企業体質を引きずっていた印象をぬぐいきれない。
突き放した言い方になってしまうが、どのみちこうなるべき運命の会社だったのではと感じてしまう。

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2019年01月06日

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液晶パネルの大規模な外販にビジネスモデルを変えた時に、自社の需要を優先し、外部への供給責任を果たさなかったことが、業界での信用を失わせた。下請けへの対応等もあり、国内の同業者からの救いの手が差し出される事はなかった。事業戦略の失敗き加えて、会社としての品格が問われたのだと思う。

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2016年11月16日

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液晶などで業界で確固たる地位を手にしたSHARPの凋落や迷走を多数の関係者の取材で明らかにした一冊。

本書を読んで、SHARPの内情を深く知ることが出来ました。
シャープペンシル電卓、太陽電池、液晶モニターなど大衆の生活に変革をもたらす開発を行い、液晶モニターやカメラ付き携帯などその後も色々な商品を生み出した同社が液晶事業の成功による慢心、不毛な権力闘争、キングギドラ経営、サムスンと鴻海との関係など人間や他社との関係で堕ちていく様には色々と考えさせられるものがありました。
また、創業者の早川徳二氏の模倣される商品を作って次の製品にすぐ取りかかる精神や7代目高橋社長のJALを再建した稲盛さんの信奉など人となりの感じられるエピソードも多く書かれており、そのなかでも日本電産に転職した5代目社長の片山氏のエピソードが非常に印象に残りました。

強気な姿勢の経営が様々なところに波及して、現在があるということも本書で知ることができました。
戦後復興のなかでの情熱から創業した家電企業が一定の普及をしていくなかで、いかに存続していくことが難しいことであるかということや創業者の情熱を伝承していくことの難しさも感じました。
本書を読んで失った信頼が多く、一筋縄ではいきそうにない印象を感じましたが、鴻海傘下となり同社の今後が非常に気になります。

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2016年09月17日

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テレビドラマの原作本かと思うくらいいろいろな出来事があって、関係者としてはその当時の自分のことを思い返しながら、とても興味深く読めた。
企業を生かすも殺すも人次第なんだなと改めて感じた。

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2016年04月30日

Posted by ブクログ

大企業病といえるのか、サラリーマン社長の長老支配の典型的な崩壊パターンですなぁ。本当に日本のいわゆる大企業は、大丈夫なんだろうか?

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2016年04月21日

Posted by ブクログ

タイトル通り、シャープが買収されるまでのいきさつをまとめた本。日経新聞のシャープ関連の記事を時系列にまとめて、そこに記者の主観を入れて解説しているような感じを受けた。シャープがここまで不振に陥った原因を分かり易くまとめている感じ。

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2016年04月19日

Posted by ブクログ

平易で簡潔な本だったので一日で一気に読んだ。企業経営上、大変参考になるというか、つくづく冷や汗の出る本だった。まだ進行中の事態なので詳細な記述は避けるが、とにかく、1、経営は絶頂期のときに綻びが埋め込まれたり生じたりするので絶頂期の時にこそ経営全般の点検をすべし。2、1つの事業に過度に利益を寄せない、過剰に投資をしない。出来る限り事業の柱を複数本化させる。財政の健全を保つ。3、実り多くしてますます頭を垂れる稲穂になる。奢らない。という3点が企業や事業の大崩壊を防ぐ方法かなと深く思いました。他山の石としたい。「創業者の精神は語り付けても受け継げない」これも覚えておきたい。

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2016年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本経済新聞社によるもの。

感想。
昔のシャープの印象は、他の電機が苦戦している中、液晶絶好調で選択と集中ってこういうことだというもの。そこから今に至る経緯を簡潔に整理・説明してもらえたのはよかった。
中身は分析というよりは取材の組み合わせで、週刊誌チックな文章。あくまでいち読み物として捉えておきたい。

備忘録。
・シャープは人事抗争の末に悲劇が起きた。堺に工場に代表される液晶事業への巨額投資失敗、経営危機に陥った後の内紛劇化とか。
⇒人事抗争の記載は豊富で細かい。というかそればっかり。
・液晶に成功した後に、その次を目指すべきだったが、あまりの過剰投資に余裕がなくなった。
⇒本質はきっとここ。ここの記載は薄い。
・太陽電池の材料となるシリコンの安定調達を優先し、異例の長期調達契約を結んだが、その後価格が大きく下がり、結果的に長期間高値仕入れ。
・コンサル利用。最初PwCが資産査定や再建案、次にCVA、FMI、最後にBCG。
・15年1月には主力のみずほと三菱から人が派遣され再建計画づくり開始。
・主力2行が恐れていたのはシャープが法的整理を選ぶこと。だから扱いやすい高橋社長に残ってもらうのが都合が良かった。

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2016年04月10日

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