あらすじ
「私、きれいになりたいの」ある夜、美容外科クリニックを開業した庸子のもとを訪れたのは、高校時代に苛めぬいた吉江だった(「きれい」)。恋人の話を楽しげにする章吾。ずっと愛してきたのに、彼は私を親しい友人としか見てくれない(「誰にも渡さない」)。女が男を心から愛したとき、行き着く果てはどこなのか。愛と背中合わせの狂気、その恐怖と哀しみを描く10人の女たちの物語。
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Posted by ブクログ
短編恐怖小説10話。
恐い。途中で何度も読むのをためらった。
解説の篠田節子さんは、これは「恋愛小説集」だと書かれている。
立場が違うとそう読めるのかと、とても参考になった。
読んでいる最中は恐いが、後味が悪くないのは、作家の人間性なのだろう。
悪意で書いているのではなく、ところどころ善意が垣間見えるような気になる。
次に読むのは3年以上間を開けたい。
Posted by ブクログ
青の使者
きれい
耳鳴りにも似て
眼窩の蜜
誰にも渡さない
闇に挿す花
翠の呼び声
嗤う手
降りやまぬ
月光の果て
以上の短編集
この『めまい』と、『刹那に似てせつなく』が唯川恵作品の中でちょっと異種だと聞いた。
確かに後者はちょっとハードボイルドなサスペンスだなぁ~。恋愛小説ではないなとはおもったけれど、このめまいは恋愛小説からの狂気を表したものだと思った。
好きだ惚れたの小説の次のステージでした。
Posted by ブクログ
あー怖かった!
でもこうゆうの大好き、結局世の中一番怖いものは人間(女)ってことですね。
感想
・青の使者
普通にラスト怖すぎ!金歯!あ、でもあの男ざまみろって思った!
・きれい
ラストの描写も怖いんだけど、どっちかって言うと手術の細かい説明の方が怖かった。
・耳鳴りにも似て
このループ!!あーもうほんと怖いわ!!
・眼窩の蜜
あーもうほんと怖い!うちの姉妹は仲良しでよかったわ~
妹に何もかも奪われるっていうの、うちでは想像できんけど怖いわ。
てかそれより魚の目ん玉食べまくっとる描写のが怖いけどw
・翠の呼び声
これはね、正直、あのまま死なせてあげてほしかった・・・
勝手かもしれんけど、何もかも失った状況で、生きる希望を与えてほしくなかった・・・
むしろ生かせるところが唯川恵の残酷さなんか?
なんで猫来ちゃうんだよ!まあ猫来ないとお話にならんげんけどw
・降りやまぬ
なんか本心を隠したような書き方ってよくあるけど、
あたしは「あ~主人公はこうゆうこと思ってるんだな」って素直に信じちゃうから、裏が読めなくって、本当はそんな風に思ってたの?!って後で気づけばいいけど、最後までどっちが本心でどっちが強がりかわかんないまま終わることが多い。今回もよくわからなかった。ほんとは「なんか違う・・・」って気づいてたのかなあ
・月光の果て
なんやかんやでこの話だけ純愛だったと思う。
他は愛が狂気に変わってたけど、
これはひねくれたとこからの、まっすぐな愛に変わったという感じ?
とりあえず、私はグロテスクな描写と女のドロドロした心理描写が好きなんだとよくわかったw
Posted by ブクログ
ホラーと言うか、狂気じみたお話ばかりの短編集でした。
刺激的でとても面白かったです!
整形した女の話が面白かった。
怖いけど、続きが気になる!
すぐに読んでしまいました。
また機会があったら読みたいと思います。
Posted by ブクログ
ホラ〜!!です!!
全く知らず読んだ私は、もうびっくり!この人こういうのも書くんだ〜
本当、百聞は一見にしかずとかなんだか分からないけど悟ってしまいました。
でも現実離れしているホラーではないのよね。
なんか、こう、人の心に住む悪魔的な部分とか、勿論普通、実行にはしない殺意とか。。
そういう小さなスイッチみたいな切り替え。
スイッチを入れてしまうとこうなる。。みたいな。。
怖かったです!電車で読んでたのですが、
私の顔はきっと真っ青だっただろうな〜
もしかして、私の顔の方が怖かった??????
Posted by ブクログ
『私、綺麗になりたいの』。ある夜、美容外科クリニックを開業した庸子のもとを訪れたのは、高校時代に苛めぬいた吉江だった。(『きれい』)。 恋人の話を楽しげにする章吾。ずっと愛してきたのに、彼は私を親しい友人としてしか見てくれない。(『誰にも渡さない』)。 お勧めしたいのは、第1章目の、きれい。これ、ホント怖かった。非現実的なシーンなんだけれど、そこにある心理はとても現実的で、なんだかとっても、怖かった。愛がこんな形に姿を変えちゃうなんて、あり得ない!・・・とか思いつつ、何気に夢中になって読んじゃった本。本屋さんで、ぜひ第1章だけでも読んでみて下さい。不気味さにはまります、きっと。
Posted by ブクログ
恋愛小説のイメージが強い唯川恵さんだったが、今回はゾッとするような話が多かった。
どの話もちょうどいい長さで、読みやすかった。ところどころグロテスクな部分があって、ダメな人はダメだろうなと思った。
「降りやまぬ」が1番好きな話だった。梅雨のジメジメした静かな環境と不穏な雰囲気がずっと漂っていて、読んでいて心がザワザワした。カオルが10年もの月日をかけて澤子に復讐しにきたと言うのは驚くが、カオルは澤子の夫に恋愛感情を抱いたために奪ったのか、それともただ復讐のためだけに夫を奪ったのか気になった。
Posted by ブクログ
相変わらず女性の感情を描くのが上手な唯川先生の作品。
ただ、今回はちょっとホラー……というか、お化けより人間の方が怖いよね、という感じでした。
不倫をしている容子の恋人が突然失踪した。
どうしてそんな関係を持ってしまったのか容子にもよくわからないし、その相手を本当に愛しているのかどうかもわからない。
けれど、ずるずるとした関係は続いていた。
いなくなった恋人を探すために、容子は恋人の妻の下を訪れる……という話や。
「私、きれいになりたいの」
と、美容外科クリニックを開業した庸子の下に現れたのは、庸子が高校時代に苛め抜いた吉江だった……という話でした。
いやあ、どちらもいい予感はまったくしないですよね。
案の定、どちらもいい終わりをしません。
はっきり言って背筋が寒くなる。
少しネタバレになりますが。
不倫をしている容子は、恋人が新しく作った女のところに行っているのだと思って、その女を殺してしまうのだけれど、結局のところその恋人を殺したのは恋人の妻。
そして、きれいになりたいのと言ってきた吉江は、庸子に無理な日程で手術を急かせると、庸子の恋人を寝取ってしまう。
けれど実は吉江は末期がんに侵されていて、庸子の恋人と寝ながら、無残にも顔も身体も崩れ落ちていく……というホラーラスト。
そんな話があわせて十作品入っています。
女の怨念は怖いのだ……と思わされてしまいますが、嫌悪感はそんなにないです。
それよりも、むしろそこまで他人に対して何かしたい、と思うエネルギーがすごい。
それが負のものでも、正のものでも、エネルギーがあるっていうのは偉大なことですよね。