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Posted by ブクログ
とても良い作品でした。
あらゆる意味で、良かったですが、いちばんはやはり、ヒロインの性格かな。
主人公は大抵、健気なタイプが多いけれど、この王女(王妃)は、ただ健気なだけじゃなく、聡明さに裏打ちされています。
これは単なる私的好みですが、ただ、この男が好きだから尽くしたいという健気タイプも良いですが、やはり、知的な健気タイプが好きです。ただ色恋感情だけで突っ走るより、ちゃんと周囲のことや先のことまで考えられる健気タイプ。
ヒロインのエインセルは、まさにそういう知的で健気な女性です。
ヒーローの王様も賢王と呼ばれるだけあって、魅力的な人物ですが、私はエインセル王女の賢く優しく、それでいて、ひたむきなところに強く惹かれました。
彼女は完璧な女性のように一見、見えるのですが、ちょっと生真面目すぎて抜けている部分もあり、そううアンバランスなところもかえって魅力的です。
夫の国王がエインセルのその無垢な部分を良い意味でからっている場面は微笑ましい。
ただ、文中に「ふにゃ」などの擬音語、擬態語が少しだけですが、目立ちました。これが少し足を引っ張っているような気がなきにしもあらず。
イラストは美麗ですが、私はあまり好みではありませんでした。
若い作家さんで、こういう素晴らしい作品を書かれる人がどんどん出てきているのを知り、とても勉強にも励みにもなりました！
面白かったですが…
ヒロインは聡明な女性だけど真面目過ぎるのか、かなり頑固で、終盤までヒーローに、自分の置かれている立場を明かし助けを請うこともしないので、ちょっとヤキモキ。
も少し早く素直になればいいのになぁ、と思ってしまった。
若いながら、賢王と称賛される素敵なヒーローだけど、サボリ癖があったり、お触り魔(ヒロイン限定)だったりするのが面白い。
優しく、ヒロインの事をとても大事に思ってくれてて、彼女の口から全てを告げてくれるのを待ってるけど、ちょっと気長すぎる気もする。
ナイフを隠し持ってた時点で、何かしらの手は打っててもおかしくないと思うんだが…。
あとこの作家様の閨のシーンは、あまり艶っぽくないんだよなぁ、と個人的には感じてます。
むぎゅ、とか、宰相の誓約書の件とか、ちょっとした疑問点はあるけど、終盤、ヒーロー殺害を決意したあたりではウルッとしたし、お話としては飽きさせない展開で、キャラも好感がもてるし、面白かったです。
すごくいいんだけど…
本当に文章が読みやすく、ヒーローとヒロインのお互いの移りゆく心の葛藤が、わかりやすく表現されていて、まるでハーレークイーン小説のようです。様々な難問を思いやる二人の愛で乗り越え、ハッピーエンドで終わり読み応えがあるのですが…ここまで完璧でなく、ただ、私はTL小説風の方が好みかなぁ。なので星を一つ減らしました。
