あらすじ
SEALDs奥田愛基氏推薦!「遠い未来の話ではない。これが現代の「徴兵」のカタチ。自衛隊が良いとか悪いとか言う前に、まずこの現状について、私達は知らないといけない」。安倍政権が強引な手法で安保関連法案を成立させ、集団的自衛権の行使に付随する「徴兵制」導入への不安が高まる中、現憲法に反する強制的な兵役制度ではなく、グローバルに広がる経済格差の余波を受けた貧しい若者たちを軍隊(自衛隊)に志願させる「志願制」、すなわち「経済的徴兵制」が水面下で進行している。本書では自衛隊における経済的徴兵の歴史と現状の詳説に加え、海外派遣に伴う本当のリスクを明らかにし、貧困にあえぐ若者がカネと引き換えに戦場に立たされる、この構造的な“悪制”の裏側に迫る。【目次】はじめに/序章 「経済的徴兵制」の構図/第一章 徴兵制から「経済的徴兵制」へ――アメリカ・ドイツの場合/第二章 自衛隊入隊と経済格差/第三章 自衛隊「リクルート」史/第四章 「学校を開拓せよ!」――募集困難時代への対応/第五章 戦地へ行くリスク――イラクの教訓/第六章 「戦死」に備える精神教育/第七章 「政・財・軍」の強固なスクラム/おわりに
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2015年の安保法制反対運動のタイミングで書かれた一冊。10年前の著作だが、基本的な構図は現在も変わらないどころか、ロシア=ウクライナ戦争、イスラエルのガザでのジェノサイドなどを見ていても、軍=戦争が生命の格差を前提としていることがグローバルな規模であらわになっている。ジャーナリストとしての活動の中で得た内部資料もふくめ、戦争を前提とする社会、組織としての軍隊と政治との関わりを考えるさまざまな事例を提供している。
Posted by ブクログ
経済的徴兵制。布施祐仁先生の著書。世界には軍隊に行きたくなくても経済的な理由で軍隊に行かざるを得ない人が多い。それは徴兵制ではなくても徴兵制と変わらない。日本でも少しずつ経済的徴兵制に近い社会になっていくのかもと思うと暗い気持ちになります。
Posted by ブクログ
安保法案をめぐり、それに反対をする側からは、徴兵制の問題もよく指摘されてきた。本当にこの時代に徴兵制なんて復活するのだろうか…とずっと疑問だった。これまでの国家VS国家の通常戦とはちがい、今、起きているのは、武装勢力などによるゲリラ戦であることのほうがはるかに多いから。期間限定で徴兵されても対応できるわけはないのではないかと。本書を読んでみて、おそらく徴兵制は定められないだろう。これまでどおり、「志願制」でいくのだろうと思う。ただし、アメリカで問題になっているように、経済的弱者が「志願」する仕組みができあがるだろうということは想像にかたくない。そういう意味では、「志願制」=「経済的徴兵制」と言っていいのだろう。また、自衛隊への志願者をかき集めるためにものすごい費用が投入されてきた歴史が見えてきた。そのことは念頭になかったので、自衛隊への入隊は狭き門という認識は訂正せねばならないことがわかった。だからこそ、今、考えるべきことは、戦うということはどういうことなのか、本当の意味での「平和」貢献とは何なのかということなのかもしれない。また、「後方支援」というきれいな一言でまとめられてしまっているが、その具体的な内容は何なのかを知ることが大事なのではないかと思う。そして、何よりも今、自衛官として働いている人たちが様々な矛盾の中に立たされたまま、海外に派遣されていることが早急になんとかしなくてはいけないことだと思った。(とても乱暴だけれど、安保法制が必要だと考える人こそ、率先して自衛官になり、国家を「守る」べきなのでは?なんて思ってしまう今日この頃。)
Posted by ブクログ
少し前の国会答弁で立憲民主の議員が「経済的に厳しい子供たちが自衛隊に行く。豊かな子供たちは自衛隊にならない」との発言した事で、小泉防衛大臣が「配慮が欠ける発言だ」と抗議した件。最終的に発言した議員側が謝罪し、撤回するに至ったが、これをニュースで見た時は正直に驚いた。こうした発言が報道されて正に国の防衛の任に就く自衛官に伝わらない訳が無いし、聴く側がそれに対してどの様な感情を覚えるかなど容易に想像がつく。だからこそ敢えて自衛官たちに聴かせることによって何かメリットがあったのか、観ていて混乱する。まあ、防衛大臣でなくとも、身内からでも失礼だと叱責するぐらいがちょうど良かった様にも思える。一体何を伝えたかったのか、議員の狙いは国民に問題提起をする為に自らを犠牲にしたのでは無いかとさえ考えてしまう。
確かに本書を読むと、日本だけでなくアメリカをはじめとした世界各国で相対的に所得が低い若年層がそうした組織に身を投じるということはあると思う。経済的に志望する学業に進めない人や、経済的に困窮した人、一昔前ならバブル崩壊後で希望の職業につけなかった人が、そうした道を選ぶこともあっただろう。今ロシアがウクライナ侵攻から数年経過し、余りの軍人の死傷数から、戦争継続のために借金を帳消しにして若者をスカウトしているのも似た様な状況だろう。自衛隊出身の人気芸人が経済的な理由を入隊のきっかけ、と発言したことからも、そうした一面は垣間見れる。だが、必ずしも誰もがそれだけの理由では無いだろうし、自衛隊以外でも自分の希望通りの道を歩めず別の道を行くというのはあり得る話だ。本書はそうした経済的な境遇にある人を採用する自衛隊の実情について、「経済的徴兵」という言葉で問題提起する内容となっている。予め言っておくが、そうした言葉を使いながらも、それだけを理由にするわけでは無いし、様々な数値データを用いて、どの様な状況にあるかを冷静に分析していく内容である。
とは言え、やはり数値が示す様に経済的に充分な環境とは言い難い若者へのスカウトは事実としてあるし、スカウトの成功数を見てもそうした傾向がある事は否めない。そこには自衛官を目指す人数が経済の状況に大きく左右されることもわかる。経済が低迷し就職難となれば応募数は増加するし、逆に経済が好調なら減少するのは当たり前と言えば当たり前の話である。また、自衛隊の海外派遣という出来事は、自衛官に死の覚悟も強いなければならないから、そうした情勢も応募数には影響を及ぼす。今は経済が上向きで人手不足であるから、自衛隊もそれと同じ状況にある。部隊の定員割れは、思い描いた作戦遂行に支障を来たすのは目に見えているし、その時に本当に自衛隊の主任務である国を守る事が現実的かという問題にも直面している。戦争ができる国になる前に、自国を守れるかの事態に陥りかねないという事である。
日本国憲法18条、人身の自由とは「誰であっても、奴隷のように扱われたり、自分の意思に反して無理やり働かされたりすることはない」と定めている。流石にこの憲法下では、徴兵制の実現はないだろうが、ドイツの様に、有事にあっては国防のためには兵士にならざるを得ない時代が来るかもしれない。ウクライナではロシアの侵攻を受けて、一定年齢の男性の国外への移動が禁じられた。今、日本はそうした有事に直面していないが、高市総理の台湾有事の発言に見られる様に、国際情勢はいつそうした危険水域に達するかは判らない。だからこそ日常的に戦闘を生業とする人々がいるといないでは、自衛の力も段違いである。
ここでは答えは書かない。それは日本人なら、日本という国を存続させるためには、一人一人が自衛隊に頼るばかりではなく自らが何をすべきかを考える必要があると感じる。本書を読み、何を感じどうアクションするかは個人の自由であるが、事が起きてからでは遅い。今平和だからこそ、次の世代の平和のために何が必要か。改めて考える時期がきているのではないだろうか。