あらすじ
「目が合う」ということと「セックスをする」ということの間に大きな一線がなかった古代。「優雅な恋物語の世界」と思われがちな平安時代ですら、文学や絵巻物からは、強烈な「人間生理」とともに世界を認識していた日本人の姿が浮かび上がる。歌舞伎や浄瑠璃の洗練されたエロチック表現や、喜多川歌麿の錦絵に見られる独特な肉体観など、世界に類を見ない、性をめぐる日本の高度な文化はいかに生まれたのか? 西洋的なタブーとは異なる、国民の間で自然発生的に理解されていた「モラル」から紐解く、驚天動地の日本文化論。【目次】タブーはないが、モラルはある Introduction――現代の日本に性表現のタブーはあるのか?/第一章 それは「生理的なこと」だからしょうがない/第二章 「FUCK」という語のない文化/第三章 男の時代 ※カラー口絵は未収録となります。
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Posted by ブクログ
いろいろ雑な感じはあるが、
単純に面白かった‼︎
読みながらいろいろ笑ってしまった。
小柴垣草子は初見ながら
なんか予想外にリアルで笑えた。
つまり、性はそんなもんでいいんじゃないかと。
確かにそのものの動詞がないことも納得。
Posted by ブクログ
明治以前の日本社会には、性的モラル(道徳的規範、価値観)はあったが、性的タブー(許されない、非難されるべきこと)はなかった。
題材として、『古事記』『源氏物語』や絵巻物、春画などが取り上げられ、それらが今風の言葉で冗談交じりに解説される。
Posted by ブクログ
日本人は性におおらかだと思う
タブーはないがモラルはある
恥の文化が熟成されていく過程である
古代において子孫繁栄は願いであった
性が生理生活だった
政治組織が出来上がり直接表現する時代になっていく
言葉の解釈表現が現代的でわかりやすい
Posted by ブクログ
浮世絵の乳房の表現方法から,江戸時代の男はおっぱいは赤ちゃんが吸うもので性的な対象とみていなかったという説を唱えている.面白い視点だ.源氏物語に出てくる「女にて見ばや」という語句をベースに平安時代の男女関係を解説している第3章が面白かった.美男を見て"女だったらいいな.やっちゃうんだけど」と書く紫式部の茶目っ気もうなずけるが,男色が一般的だった時代があったことも驚きだ.西洋文化が入ってくる前の日本は性的におおらかだったことは確かだ."
Posted by ブクログ
「まぐあう」は「目交う」で視線が合うこと。昔は家族以外で、男女が顔を合わせることはなく、目が合うことは性交渉を意味した。p.39
闇の中で性交渉するのは平気だが、顔を見られるのは嫌という女。p.143
Posted by ブクログ
まぐわうって、目合うで、目が合うとそれは性交するという日本の古代に、タブー謎なかった。それは、ただの自然な生理で過ぎなかったわけで。
ただしフリーではなく、モラルやルールはあったというのを、古典や絵画から描き出す。
源氏物語なんか凄いな。これ、よく子供たち読ませようてって思う。当時の女流文革なんか、少女コミックスみたいなもんだってのは、いや、きっとその通りなんだろ思った。
そんな国に、性的差別なんかあったわけなかろう。
Posted by ブクログ
この人の本は今までにも何冊か読んできているが、扱うテーマが結構幅広い。強いて言えば共通しているのは「人間とはどういうものか」といった所か。本書では日本人の性に対する価値観を歴史から紐解いている。オープンになったと思われる現代よりも昔(弥生時代~江戸時代)の方がよほどオープンで、その根底には「そういうもんだ」という考えがあったようだ。
西洋の話も聖書で紹介している。日本で言えば古事記のようなものか。元の内容(?)学校で習うよりも遥かに、性的だけでなく人間の本能をありのままにえぐるような表現が多い。
社会性、といった方がいいか、それを人間が獲得していく中で、性への考え方、道徳観、表現の仕方は変わっていったようだ。
Posted by ブクログ
日本の古代には性的タブーというのはなかった。ただそこにモラルがあったというだけです…やっちゃいけないよというモラルがあるからそれをつい隠してしまう。そんなことをしているとロクなことにならないから、神様にお願いしてその隠していたことをオープンにして、祓ってもらってすっきりするーそれが大祓なるものを行っていた過去の日本だということになります。
それを考えると、我々はとんでもなく高度な文化地域にくらしてたんだなと思ってしまいます。タブーはないがモラルがあるという文化の高度性はすごいもんです。