あらすじ
食べ物を通じて人に出会い、出会った人と食事を共にする。ゲロ雑巾と揶揄されるエチオピア料理“インジェラ”の妖しい魅力にとりつかれ、メキシコで本場のタコスに舌鼓を打ち、ルーマニアでは現地の若者が作る卵焼きを食べる。自宅のテレビから得られる膨大な知識よりも、旅で得られるわずかな手触りにこそ真実がある。気鋭の開高賞作家が世界中を渡り歩いて綴ったノンフィクション。
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Posted by ブクログ
世界を巡り書いた食事の話。
美味しそうなものだけでなく明らかに不味そうなものや食べるときに遠慮しながら勧められた人に気遣って無理に食べたものなどもあるのがよい。
エチオピアのインジェラの ゲロみたいに酸っぱいぼろ雑巾 はどうかんがえても美味しくなさそうなのに興味をそそる。
ヨルダンで食べたサッポロ一番塩ラーメンの旨さなどの描写もよい。
自宅のテレビから得られる膨大な知識よりも、旅で得られるわずかな手触りにこそ真実がある。
Posted by ブクログ
旅といえば思いつくがまま行きたい場所に行き、宿と交渉したり、現地の人と食べて飲みコミュニケーションを取る、そんなイメージが浮かんでくるが、まさにそのイメージまんまの旅をしている中村さん。
旅人たちの間でゲロ雑巾と言われるエチオピア料理のインジェラに魅了され、スーダンではカビ臭くて土の味がする水を渇望し、アルメニアでは浴びるように自家製ウォッカを飲まされ...想像絶する世界にいる。
食べるということは生きるためでもあるが、人とコミュニケーションを取るためのものでもあるんだなと改めて思った。
旅と食べ物といえば小泉武夫が出てくる。
彼の著書にもモンゴルの遊牧民のゲルで主人たちと沢山の酒や肉を飲み食いする話があるが、あれは小泉先生が男性だったからこその振る舞いだったんだな
ゲル内の社交場は男尊女卑で筆者を含め女性の旅人はいない者とされていた。
それを冷静に受け止め観察している著書も凄い。
Posted by ブクログ
バックパッカーであり、ライターである著者が世界の僻地辺境へ行って現地で食べたものと、それを食べることになった過程、その周囲にいた人たちの生活、その人たちとのやり取りを淡々とした文章で描く。バックパッカーものは、ふわふわした印象を持つものが多いんだけど、かなり冷静に客観視しながら書いている感じ。旅もその聡明な感じのする姿勢などにもあこがれる。とてもではないが、口にいれることのないような、日本で言えば衛生的でないもの・・・・。エジプトのあの水の壺から水を飲むだなんて・・・・。でも現地で昔から使われている知恵で、いつも冷たいのだ・・・。グリーンティーとか、雑巾みたいな、なにかとか。おもしろすぎる。