あらすじ
兄の目を覆い隠し、己の欲望の猛るままに体を貫いた。あれから何度も何度も交わっている。兄との道ならぬ愛は、閉塞感を極めてゆく。夏の盛り、竹蔵は兄夫婦と別荘で休暇を楽しむことになった。義理の兄である忍との関係を、露ほども疑っていない義姉から女性を紹介される。竹蔵は彼女に対しすげない態度を取ってしまい、そして……。その晩の出来事は、兄弟の運命を大きく変えてゆくのだった。義理の兄弟の禁断の愛と確執を描いた衝撃作、遂に完結。
※『薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】』も配信中です。重複購入にご注意ください。
レストランオーナーの弟×エリートの兄。
義理の兄・忍を密かに想い続けていた竹蔵は、忍の息子にそそのかされ、妻のふりをして兄を犯してしまいます。深く後悔し、兄と距離を置く弟。しかし、弟の経営するレストランにやってきた兄は、自ら目隠しをし、弟を誘います。
いかにも堅物そうな兄が目隠しという免罪符を得て、弟とのセックスに溺れる姿は淫靡そのもの…!さすが中村明日美子先生だぜ…と唸ってしまいました。
社会的地位のある同性同士、そして兄弟という重い枷を背負いながらも、獣のように求め合う2人……言葉もなく、心の触れ合いすらないのに、互いを求める感情だけが痛いほど迸っていて、胸が苦しくなりました。
「エッチ」というより「官能的」という言葉の似合う作品。比類なき明日美子ワールドにぜひ浸ってください♡
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
兄さんが一番真人間にみえる後半戦。
時系列がバラバラなのがジワジワくるね。雑誌掲載だったらじれったかったかもというくらいこれは二冊一気読み推奨。
嗚呼お兄様がお美しいかぎりで…。兄弟、親子、不倫、なんかもう全て背徳。でもお互い執着心があってラブラブ(に私はみえた)だから萌えMAXです。中村先生って昔はもっとこう理不尽でキチな(讃えてます)作品描いてた方だから身構えてたんだけど(笑)
以下ネタバレー。
もう実の兄弟でもなんら問題ないというかむしろ美味しいんですけどというか実の息子とはいいのですかというwBL中毒末期。蜜月一週間…。いや最期のお兄様の笑顔だけでもうもう…。これから攻めはどうなるんかな。
精神的な痛みを
もうずっとこの作品が気になっていました。何度も買おうと思いましたが、結局買わずじまい。しかし、何度も自分が読みたいジャンルのBLを調べるとおすすめに上がってくるのがこの薫りの継承でした。
まず、本当に読まなかった後悔。兄弟もののBL作品しかもメリバという私にとって至高のジャンルです。なんでもっと早く読まなかったんだと思わされました。
ふたりの最後は涙無しでは見れませんでした。切なくて切なくて。お兄さんの心情を推測すると本当に胸が痛くなります。冷たい目が、最後にあんな優しい目になっていてそれを目の当たりにした竹蔵があんな抜け殻になってしまうのも無理はないですね。ただただ、やるせない気持ちが残ります。作中では描かれなかったのに、最後の笑顔本当に胸に刺さります。
『薫りの継承』という題だけあって、まあそうなるだろうなと思っていましたが、要くんもやはり、、、、、という感じの結末でした。
Posted by ブクログ
結末にはそうだよなと納得してしまった。奥さんの反応はごもっともだが、それすらもこの兄弟の関係の妖しさを際だたせる。書き下ろしの息子も兄のような虚無感の漂う美しさを持っていて、それ故に穏やかに過ごせるようになって欲しいと思ってしまった。最初から最後まで魅せられた本です。
Posted by ブクログ
中村明日美子的耽美もの完結編。
耽美といえば、だいたいこんな収束方法が当たり前だった昔を思い出しました…
ハピエンなんか禁断愛にとっては軽すぎて、許せなかったかつての乙女心…
でも、すっかりBL体質になった今現在、これは衝撃的過ぎでした。切ないし、悲しいし、憔悴しきった竹蔵の姿を見るとますます辛い気持ちにさせられました。
昔のように美化して受けとめることができるといいんだけど。
でも、ハピエンがお約束になってるBLの中に投下されると改めていい刺激にはなりました。萌えながらドエロ読んだはずなのに、なぜか背筋伸びた気が…!
エロといえば、濡れ場が芸術的にきれいでしたね。アングルとか、身体の描き方とか、絡み方とか、全部エロくてナマナマしくて圧倒されました。
あと、オンナの嫉妬も描かれていて怖かったです。
竹蔵の禁を犯す執着愛には切なさを感じたけど、茉莉子のはただの執着と妬みしか伝わってこなくてぞっとさせられました…
目隠しを外したことで忍の気持ちが明らかにされていて、あのシーンは印象的です。せっかく二人の気持ちがひとつになれたのに…
禁忌愛をまっとうできなかったのは、忍がきっと優しい人間だったからですね。
あの眼帯男がボロボロになってまた登場していてびっくり…!人の気持ちを見透かすような言動で揺さぶってくる人物。
要の成長も見る事ができました。これこそ継承ですね。
要のその後もぜひ見てみたいです!
ひさびさに深くて重いエロスを堪能しました。
Posted by ブクログ
受けの究極のツンデレ。合間にみる攻めの獣のような獰猛さ。そして二人の事実関係。最初に読んだときは受け入れ辛いストーリーでもう2度と読まないだろうとか思っていたのに、ある時ふと引っかかるところを思い出し、上下巻を読み返してみて考察し直すという事を何回か繰り返している。深い。
Posted by ブクログ
今の時代となってはBLという言葉も世間に出回り、同性愛もむしろ認める方向に動いているけど、中村明日美子さんが描くような『耽美』の中では『同性愛』まして『近親』は本当に死にも近い禁忌なのだと思う。それがあのラスト。
兄が弟を遠ざけたのは、近づいたら『禁忌』を犯して全てが崩壊してしまうことを自覚してたからなのだろう。
目隠しをすることで、『弟だとわかっていなかった』と言い聞かせ、弟と交わることへの罪悪感をなくす。
あのラストが耽美らしい、とはわかっていても、やはり別の幸せの形があったのではないか?と思ってしまう(……のはハピエンBLに浸かりすぎたせいだろう)
弟はこれからどうなるのか、
救われるのか
弟×甥という展開も美味しいのでは……と思うのは単に私が叔父甥好きだからですねすみません
次はどの中村明日美子作品を読もうか…
レビューを見るとダブルミンツがハピエンそうかな……
Posted by ブクログ
▼あらすじ
禁断の愛、衝撃の終幕。
義理の兄と弟。禁忌の秘め事。
愛の終着点にあるのは、破滅か救済か。
兄の目を覆い隠し、己の欲望の猛るままに体を貫いた。
あれから何度も何度も交わっている。
兄との道ならぬ愛は、閉塞感を極めてゆく。
夏の盛り、竹蔵は兄夫婦と別荘で休暇を楽しむことになった。
義理の兄である忍との関係を、露ほども疑っていない義姉から女性を紹介される。竹蔵は彼女に対してすげない態度を取ってしまい、そして……。
その晩の出来事は、兄弟の運命を大きく変えてゆくのだった。
義理の兄弟の禁断の愛と確執を描いた衝撃作、遂に完結。
***
上下巻をセットで購入したので、続けて下巻を読みました。
“禁断の愛、衝撃の終幕”という帯の煽り文と、作品から漂う危険な薫りにこういう結末になるであろう事は薄々予想は出来ていましたが、それでも、「ああ、やっぱりそうなるのか…」と落胆せずにはいられませんでした。
悪い方へと加速するストーリーと深まっていく行為の濃密さに最後まで目が離せず、ドキドキしながら一気に最後まで読みましたが、ストンと落とすようなあっさりとしたラストに思考が停止してしまい、事実を確認するように何度も何度も最後の部分を読み直してようやく色々な事を考えられるようなった感じです。
本を閉じた時なんてもう心臓がバクバクしていて、上巻を読んだ時とはまた違う、何て表現したらいいか分からない複雑な思いと興奮が入り混じってしばらく落ち着かなかったです。
私は死ネタやメリバが苦手なので、この結末も覚悟していたとはいえ、やっぱり個人的にはかなりショックで、どうしてと思わずにはいられませんでした。
それこそ『ダブルミンツ』のように、ずっとシリアス続きでバッドエンドを匂わせながらもラストは異国の地で…みたいな救いのある結末を少しでも期待してしまったので尚更、こういう風にしかならなかったのか、と…。
でも、仕方無かったんだろうな、って納得してしまう自分もいて。
私的には、忍の性格からして自殺なんだろうなと思っているのですが、それと同時にせめて事故であってほしいとも思ってます。
明日美子先生が一体どういうつもりで描いたのか聞きたい……。
手紙に綴られた忍の想いや最初にして最後になってしまった彼の笑顔などラストは切なくて切なくて胸が痛いぐらい締め付けられるのですが、不思議と後読感はそんなに悪くなく、それどころかもう一度最初から読み直そうと思ってしまうぐらい、もっともっとこの作品を深く知りたいとすら思いました。
構成も話の見せ方もまるで映画のようですし、結末を知った上で1から読み直したらまた違う発見があるかもしれません。
因みに下巻で一番印象に残ったシーンは、忍が竹蔵に目隠するシーンです。
もしかしてリバるのかと期待しましたが、誘い受けでした(笑)
でも、それはそれでオイシイな、と…(笑)
幾ら体を交えようとも決して愛を口にしない二人の微妙な距離感や汗だく汁だくになって交わる姿の艶かしさに読みながらどれだけドキドキした事か…。
あと、終盤に出て来るホームレスらしき眼帯の老人は一体何者なのかと疑問に思っていたのですが、後から上巻に出て来る眼帯の男だと気が付いて地味に衝撃を受けました…(笑)
あんなに身なりの整った紳士だったのに彼の身に一体何が起こったのか…。
色々と謎が多く、内容が内容なだけにおそらく読み手を選ぶ作品だとは思いますが、個人的には買って良かったと思える内容で満足です。
正直、同級生シリーズのような明るいものよりも、こういうダークなお話の方が私は好みです。それでも、死ネタやバッドエンドは遠慮したいですが…(笑)