あらすじ
日本酒の蔵元の跡取りである春哉が、研修旅行先のフランスで知り合ったシャトーオーナーの葛城。大人で、仕事への情熱を持つ葛城に様々なことを教わる春哉だったが、淡い恋心を自覚しかけた途端、帰国することに。蕩けるキスを交わし、互いに惹かれあっている二人。しかし日本とフランスの遠距離恋愛ではなかなか気持ちが伝わらなくて……。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
▼あらすじ
蔵元の跡取り・春哉が研修先のフランスで出会ったシャトーオーナーの葛城。二人は次第に惹かれあうが春哉は帰国しなくてはならず…。
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ワインを題材にしたお話も麻々原絵里依先生のイラストも大好きな上に、以前読んだ『いとしい背中』が面白かった記憶があるので迷わず購入しました。
実際に読むまで知らなかったのですが、『いとしい背中』と世界観がリンクしているらしく、紀藤さんと名生がちょこっとだけ登場します。
登場したのはほんの少しですが、『いとしい背中』が好きな自分には嬉しい誤算でした。勿論、未読でも問題なく楽しめます。
今回の攻めも『いとしい背中』同様にかなりハイスペックなキャラクターでして、ハンサムな上にフランスという異国の地でシャトーのオーナーを務め、ソムリエの資格を持つ上に語学にも堪能という、これぞスーパー攻め様と言うに相応しいキャラクターです。
しかも、とっても紳士で春哉(受)と良い感じになった途端、日本人とは思えないくらい激甘な台詞をサラッと吐きます(笑)
『いとしい背中』を読んだ時も、攻めがあまりにもハイスペック過ぎて現実味がないと思いましたが、今回も似たような感じでした。
否定的な意味で言っているのではなく、良い意味で言ってます。
包容力があって、優しくて、行動も言動も常に紳士的なんだけど、受けが傷付けられたら本気で怒る。キメる時はキメる。
読んでて何度もキュンとしましたし、自分の中では理想的な攻めキャラでした。
やっぱり御堂先生の書く紳士は良い…!(笑)
でも、反対に受けの方は…自分の中で少し引っ掛かってしまう部分がちらほらあって、残念ながら評価を下げる要因の一つになってしまいました。
葛城が大切に育てている葡萄を雹から守ろうとするシーンは凄く良かったですし、感動すらしたのですが、それ以降の行動がちょっと謎で…。
葛城にキスされても嫌がらないのに、春哉は自分の気持ちに気が付いておらず、肝心なところで葛城の想いに応えられなくてそのまま帰国してしまうんですね。
この時点でもう既に葛城が可哀想なんですが、そのあと追い打ちをかけるように春哉は自分の都合で葛城からのメールを無視し始めるんですよ…。
春哉が無視し続けた事によって、それまで頻繁に届いていたメールも徐々に鳴りを潜めるのですがそうしたら今度は「俺の事はもうどうでもいいんだ…」って勝手に思い込み始めてこれには流石にイラッとしました。
悲観的になるのは良いけどその原因作ってるの自分じゃん…っていう。
攻めが自分の中で凄く良かっただけに、少し残念に思いました。
あと、細かい話になってしまうのですが、本文に送り仮名の間違いや受けの外見を間違って描写している(茶髪なのに黒髪)部分など、気になるミスが全部で3ヶ所くらいあったので、そこもマイナスポイントでした。
とは言え攻めは最初から最後までブレずに素敵だし、葡萄畑などの風景描写も丁寧に描かれている為、読んでいて楽しかったのは間違いありません。
麻々原絵里依先生のイラストも相変わらず素敵でしたし、途中で多少引っ掛かる部分はあってもワインと紳士が好きならまず楽しめる作品だと思います。