あらすじ
天文学の最先端が、SFの世界観に近づいてきた!
1995年の系外惑星(太陽系の外の惑星)発見以降、惑星学のフィールドは太陽系から銀河系へとドラスティックに変化し続けている。太陽系と系外惑星の異なる点や、惑星や惑星系の生まれ方といった基本的知識から、系外惑星探査の最前線まで、惑星科学分野の泰斗である著者が易しく網羅的に描く、驚きと興奮に満ちた一冊。
[内容]
はじめに──惑星の謎を解けば宇宙がわかる
第1章 SFに追いついた天文学──惑星探査の現状
第2章 人と惑星──コペルニクス的転換が起こるまで
第3章 太陽系の誕生
第4章 惑星系はこうして生まれる
第5章 惑星の新しい定義とは
第6章 銀河系惑星学を拓いた二大発見
第7章 生命を宿す星はあるのか
おわりに
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Posted by ブクログ
よくある話しかと思いきや、様々な興味深い脇道を通って、生命探索への途を指し示す。講演を元にしただけあって、かなり読みやすい。惑星学が惑星科学に。そして銀河系惑星学へとパラダイム転換を遂げる過程に知的な興奮を覚えた。包括的な惑星にかんする知識が得られる。
・1日を24時間に区切り、7日で1週間という単位をつくり、日曜から土曜までの名前を付けたのは、紀元7世紀に新バビロニア王国を建国したカルデア人。
・太陽の勢力圏は、重力ではなく、磁力が優勢な領域。そちらのほうが広い。
・降着円盤の材料を全て使い切って星が完成するのではなく、重力と内側からの圧力が釣り合い、静水圧平衡の状態になったときが恒星の誕生。
・落下問題:ガス抵抗を考えると、粒子がメートルからキロメールのサイズになることは謎。ガス惑星も。
・地球は岩石惑星としては、花崗岩の惑星。これは水が豊富にあったから。他は玄武岩。
・カイパーベルトを起源とする短周期彗星である、ハートレー彗星の水を調べたところ、そこに含まれる水素同位体の比率が地球の水と近いことが判明した。2011年。
・大半の短周期彗星の軌道傾斜角が0度に近いのは、球殻状のオールトの雲が起源ではなく、円盤状のエッジワース=カイパーベルトが起源。
・褐色矮星は水素よりも低温で核融合起こす、重水素を燃料にする天体。
・惑星と褐色矮星の境界はあいまい。
・天体衝突後に降る大量の酸性雨が恐竜絶滅の原因。