あらすじ
フジテレビ「とくダネ!」アナウンサーが覚悟を決めて書いたテレビ報道の裏側
震災報道の真実。
被災地ノンフィクションの決定版!
私たちは「余計な人間」ではないか?
ボランティアをしたほうが役立つのではないか?
被災者に水や食料をあげたほうがいいのではないか?
取材車で行方不明者捜しを手伝った方がいいのではないか?
いや、それならば、何のために僕はここにいるのか…。
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何度も目頭が熱くなった。
笠井さんの人柄がうかがえる素敵な本でした。
私も震災当日、仙台空港で働いている父親と連絡が取れず、東京から仙台の実家に車で26時間かけて帰った経験があります。
その時、仙台に帰るまでの間には車載テレビから、仙台の海岸に200~300体の遺体が打ち上げられている・・とか、津波で大船渡の町が壊滅して水没した・・とか、そんなことを聞いて自分の耳を疑ったことを思い出しました。
父は仙台空港に避難して幸い無事でしたが、避難が遅れて仙台空港の前まで来た人達が、あとちょっとというところで間に合わず、目の前で流されていくのを目の当たりにしてショックを受け、思い出すと眠れない日々が続いたそうです。
翌日、まだ津波の水が引かない仙台空港から腰まで水に浸かりながら自力で脱出してきた父と家で再会出来たときの喜びは言葉では言い表せないほどのものでした。
その後、余震の続く仙台にはいれず、ライフラインも断絶されていた実家から父を連れ、車で東京まで戻りましたが、震災から1ヶ月は笠井さんの映る番組を食い入るように父と見て、見覚えのある地名と見違えるほどの景色に時には涙したりしました。
笠井さんが宮城県の多賀城で、薫ちゃんという男の子の母親の遺体を見つけるところに遭遇したエピソードを実際にテレビで見ていました。
変わり果てたあの地は私も父もよくいっていた場所で、遺体が見つかるまでの間は、「あ!ほら!あそこの薬局が映ってるよ!」なんてのんきに見ていましたが、遺体発見で涙している笠井さんを見て、私も父も同じように泣きました。
あの時を思い出して、また、この本を読んで涙が出ました。
あの時の気持ちを思い出せるこの本に出会えて本当に良かったと思いました。
また読み返したいと思える1冊です。
Posted by ブクログ
報道関係者の人たちがどんなことを考えて、被災地に入っていたかがわかった本。そこまで理由付けしなければならないのかという思いもあったが、でも「なぜここにいるのか」を問い続ける笠井アナウンサーの姿勢はとても共感が持てました。
震災後すぐ被災地入りしたこと、お風呂にも入らなかったことなど、とてもよい姿勢だと思いました。また、震災後の生々しい様子もよくわかった。被災者の略奪行為や、避難所の細かな様子(避難所でいちばん生活が厳しそうなのが小学校の体育館という話や、学校のカーテンがなかったと思ったらそれを使って毛布にしていたとか、避難所格差の原因は情報格差など)など、実体験に基づいた話なので、とても話に説得力があった。
Posted by ブクログ
【56冊目】元々笠井アナウンサーが好きだったのですが、仙台からの帰りに笠井さんが書いた本が店頭に並んでいたので買ってしまいました。
結局、東京の地下鉄の中で、目に涙をいっぱいに浮かべて読むはめになりました。ぜひ、みなさんに読んでほしい。
この本の特徴は、徹底して笠井さん目線で書いてあること。いち早く現地入りした笠井さんが被災地で見たこと、聞いたこと、感じたことが書いてあります。
決してお涙頂戴ものではありません。かなり厳しいことも書いてあります。
報道の人に対して、「どうして悲惨な現場に出向きながら、あなたたちは傍観者を決め込めるの?!」と思った時期が私にもありました。でも、そうじゃなかった。
この本には、笠井さんの取材者としてのプロ意識と、人間としての気持ちの揺れ動きの葛藤が描かれています。それは、今後、同じような報道を見る時のヒントを与えてくれるに違いないはず。
そして、何より、笠井さんと被災者の出会い。その一つ一つのエピソードが心に残りました。
「明けない夜はない」
ぜひ、本書の中で、この言葉に出会ってほしい。
※唯一、残念だったのは、誤字脱字が多いこと。これは筆者のせいではなく、出版社のせいです。ただ、内容の凄味には一切影響しませんが。
Posted by ブクログ
フジテレビ笠井アナによる、東日本大震災における所感をまとめた本。自分の取材姿勢を自問自答しながらも、職務を遂行する様子は、変にジャーナリスト然として大所高所から御託を並べられるより余程好感が持てます。
個人的にはフジテレビの韓流押しには不満がありますが、笠井アナの人柄がしのばれる作品であり、賛否を巻き起こすことを覚悟の上で記録を残してくれたことに敬意を表したいと思います。
Posted by ブクログ
被災地取材の厳しさ、倫理的ジレンマが生々しく、でも、笠井アナの語り口は親しみやすく読むことができた。
同じ東北でも、人的被害が少ない地域では、東日本大震災の持つ意味合いは全く違うものになることを実感している今日この頃。私は内陸部に住み、津波も原発事故もリアルに体験してはいないが、あの時のこと、その後出会った被災者らの話は忘れない。今も、生活再建に、精神的に、困難を抱えている人がいる。忘れない。
Posted by ブクログ
営業していない真っ暗な店内から泥だらけの食料を笑顔で“運び出す”自分たち。異常な行為だと分かっていても、飢えていたからみんな何も躊躇っていなかった。あの日の店内の光景はたぶん一生忘れない。
Posted by ブクログ
先日、自分の目で見る決心がやっと固まり、石巻へ行ってきた。
桜満開の日和山の下には、鳥の声しか聞こえない静寂につつまれた時間の止まった街があった。言葉には出来ない感覚だった。
その帰り、偶然、仙台駅の本屋でこの本を見つけた。報道をする人がどんな感覚で、あの街をみたのか?が知りたくなり、読んでみた。
震災当時、テレビで繰り広げられるリポートを見て、何が起こっているのか?を世間に知らせることは大事。情報は途切れてはいけない物。だとは思いながらも、「そこまでやるのか?」「行くのに食料ぐらいは当然積んでいるよな?」と、やや非難の目で見ていた。
その後、偶然、震災当時のマスコミの方の葛藤がわかるドキュメントを見て、ものすごい狭間に立っている人たちなんだとわかった。
そして、今回の笠井さんの本。
マスコミの方々がどんな風に被災地ですごしたのか?どんな風に葛藤していたのかがすごいわかった。
私が想像していた以上に葛藤されている姿。葛藤の連続で成り立っている職業という感じを受けた。
自己弁護に走っているという評論も見かけたが、そうやっていかないと耐えられない現実を見てきたのだと思う。だから、私は自己弁護とは思わない。
この本の中で登場する何人かの被災者の方の言葉に、被災者ではない私が勇気づけられた。自分も自分なりに頑張って生きなきゃなと思う。
辛い話も目に入ってくるけど、私はこの本に出会えて良かった。
Posted by ブクログ
[2012.その6]フジテレビの笠井信輔アナの東日本大震災の被災地取材での苦悩が綴られている。
就活でも何度も聞かれた質問「被災地にいってリポートするとすれば、何をどんな風にリポートしますか?」、「被災地の取材で大切にしなければならないことはなんですか?」正直そんなこと分からなかった。この本をよんで笠井アナもこの問いに苦しんでいたのがよくわかったし、被災地取材に関わらず、取材し視聴者に伝えるということについてもっともっと考えないといけないと感じた。
Posted by ブクログ
この本を読んで良かった、知ることができて良かったな、と思う。
震災の時、テレビでマスコミの人たちを見ては「後ろに瓦礫を片付けている人がいるんだから手伝えばいいのに」と簡単に思っていたけれど、何も知らなかったんだなあと思い知らされた。
笠井アナが自分の行動を決して正当化していないのも、人柄だなと思う。
印税は全額寄付されるし、多くの人にぜひ一冊買って読んで欲しい。
Posted by ブクログ
フジテレビ・笠井アナウンサーの東日本大震災 体感記。
朝の「とくダネ」で見た内容がほとんどでしたが
改めて文字になったものを読み返すと
その場面がまざまざと蘇ってきて
辛い部分もありました。
震災から10カ月経ち ともすれば忘れがちになる今
この本を読んで よかったです。
Posted by ブクログ
現地での体験は、やはり体験した人でしか語ることは、できないが、少しでも当時の感情や状況がイメージできた。テレビマンとして、本にできなかった内容も数多くあったり、さまさまな制約があると思うが、本にしたのはすばらしいと思う。