【感想・ネタバレ】消えた修道士 下のレビュー

あらすじ

イムラックの大修道院の院長セグディーは、困り果てていた。修道院で大切に保管していた聖アルバの聖遺物が消え失せたのだ。管理担当の修道士まで失踪してしまった。そのような時、国王と大族長暗殺未遂事件の調査のためにフィデルマたちが修道院にやって来た。救いの神とばかり院長は調査を依頼する。聖遺物はモアン王国の大切な宝。暗殺未遂事件の犯人の一人が元修道士であったことから、二つの事件の結びつきを感じたフィデルマは院長の依頼を引き受ける。モアン王国の平和と威信がかかる難事件を、フィデルマは見事解決することができるのか。美貌の修道女が名探偵。好評シリーズ、長編第7弾。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

666年アイルランド、モアン王国。王都キャシェルにてフィデルマの兄王コルグーと、敵対していたオー・フィジェンティの族長との和平交渉が行われることになった。だが、王が族長を伴ってキャシェルに足を踏み入れた途端、二人を暗殺者の矢が襲う。一命はとりとめたものの、犯人の身元をめぐって再び両者は緊張関係に。暗殺未遂に使われた弓矢の出所を探すことになったフィデルマとエイダルフは、その途中立ち寄ったイムラックで修道院から聖アルバの聖遺物と一人の修道士が消える事件が起きたと知る。二つの事件の関連を疑いはじめた矢先、イムラックの町を謎の武装集団が襲う。王国に内紛を起こそうとする真犯人の巨大な陰謀とは。〈修道女フィデルマシリーズ〉長篇邦訳第7作目。


前作『翳深き谷』がざっくり言って「カトリック対古代ケルトの土着信仰」の話だったのに対し、今回はケルト・カトリック内での内輪揉め。しかも「ケルト教会の始祖を聖アルバとするか、聖パトリックとするか」という派閥争いが王族の〈正統〉をめぐる争いとなり、ひいてはアイルランドの統一および中央集権化という大きな野望の話になっていく。だからこそ、王の権威を支える教会の聖遺物が盗まれることは大事件になるのだ。
今回面白いのは、フィデルマもアイルランド特有の聖人信仰や樹木崇拝を熱っぽく語る場面があること。占いには懐疑的だが天文学には敬意を表し、オーガナハト一族の神樹に「トーテムか!それって、異教徒の愚かしい迷信です」とコメントするエイダルフを「"楔形の十字架"だって、トーテムですわ」とやりこめたり。特に上巻ではキリスト教がアイルランドに布教する際、いかにケルトの神と習合してきたかがうかがえる問答が交わされ、興味深い。
ミステリー部分ではミスリードのためにエイダルフが異様に忘れっぽくなっているのが残念。謎の構造に対して長尺すぎるのでは。その代わり、エイダルフには医術で頼りにされたり、ピッキング技術を自慢する見せ場(笑)があったのはよかったけど。

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2021年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここで……ここで、読者を放り出さないでぇ~~~!(@@;)
次の巻を……次の巻は、いつですかっ!?

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2015年11月21日

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