あらすじ
人それぞれに音楽を聞き演奏して楽しむ。しかしさらに深く音楽の世界へわけ入るには、音楽の基礎的な規則を知る必要がある。本書は、作曲家としての豊かな体験にもとづいて音楽の基礎を一般向けに解説したユニークな音楽入門。静寂と音との関係から、調性・和声・対位法までを現代音楽や民族音楽を視野に入れつつ詳述する。
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芥川也寸志『音楽の基礎』(岩波新書2011年5月第59刷)の感想。
簡潔明瞭にして味わい深く、時に人間的な暖かみを覗かせる文章が快い。198頁の新書でありながら、いわゆるクラシック音楽の流れに於ける基礎は押さえられているのではなかろうか。知識と信念に裏打ちされた断定的な文体には充分な説得力があり、理解しやすい。音楽エッセイとして読んでも楽しめる、確かにこれは名著であろう。
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序盤の「無音がそもそも美しいので、音楽は無音より美しくなければならない」みたいなところが1番面白かった。 全体的にクラシック前提の内容な感じだったので、クラシックにある程度詳しくなってから読むともっと面白いかもしれない。 ところどころ著者の好き嫌いが隠しきれてないのも面白い。
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ジャンルを問わず西洋音楽およびその派生する音楽を愛好する方には一度は読んでみて欲しい本。
静寂と音から入り、音楽について再考できた。
ちょっと難しいかも。
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静寂は、音楽の基礎。
書いた音を消し去るということは、とりも直さずふたたび静寂に戻ることであり、その行為は、元の静寂のほうがより美しいことを、みずから認めた結果にほかならない。
リズムは音楽の要だ。
音楽の基礎であり、音楽に命を吹き込み、音楽を超えた存在である。
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はじめに「静寂」について書かれているのがとても印象的だった。
全体的な内容については、一読した後、自分で演奏する中で納得できることが多かった。これからもさらに理解を深められる気がする。
基本的な内容からまとめられているとはいえ、音楽知識ゼロの人には勧めずらいかなと思う。新書の形なので、次々事柄が出てくるから。
楽譜は読めて、自分で何らかの音楽をやっている人にはおススメ。
考えながら音楽したい人はぜひ読むと良いのでは…
【その他】
譜例あり
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音楽の基礎が無くても、大学のサークルや退職後に音楽を始める人は多く居る。そんな無知な我々にでも、音楽の基礎の基礎を比較的わかりやすく教えてくれる良書です
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音楽の素材(静寂、音)に始まり、記譜法、音名、音階、調整といった音楽の原則や、リズム、旋律、速度などの音楽の形成を、名曲や名作曲家のエピソードを交えつつ紹介する。所々に表れる、著者の世界観が秀逸だと思う。基礎音楽理論入門のための良書。
うるさくなく、それでいて所々でニヤリとさせてくれるいい読書だった。理論の話では、歌謡形式や、拍子とリズムの話が面白かった。それ以外にも、あまり覚えようとして読んではいないのに、この本を読みはじめてからピアノを弾いたら、どうもいつもと響きが違うように・視点が変わったように感じた。
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1971年出版ながら、内容の素晴らしさは色あせない。音楽理論の基礎を広くカバーし、そして深く理解できる。音楽に触れている人なら読んでおきたい。芥川也寸志氏の名著。
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"基礎"とはいえとても難しいことばかりで、あまり理解できなかった.西洋音楽だけでなく、日本のものもかなり詳しく取り上げてあって、音楽全般的な見方で書いてあることを嬉しく思った.
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静寂と音楽の対比に始まり、「音楽」というものを構成する要素について努めて簡便に記されている。
初版が出版されたのは1971年であり、いわゆる現代音楽に対しての言及がライブ感溢れるものとなっている。
また、調性というものが意味をなさないような時代においてソヴィエトは例外であったという記述など世界史の観点でも興味深い箇所が散見される。
予備知識なしに読むにはかなり歯ごたえがある内容で、そういう意味では新書としてはもう一段の噛み砕きが望ましいかもしれない。
しかし、70年代当時であればこの内容でも理解できる人が大半だったのかもしれない。
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「八甲田山」や「八つ墓村」などをはじめ多くの映画音楽なども手がけた作曲家の芥川也寸志氏の音楽の基礎をまとめたもの。すでに古典の域に入っている感も否めませんが、新書サイズの楽典として、内容は濃く、一読の価値はあります。一応、一般向けに書かれているとなっていますが、ある程度は音楽の基礎がないと理解しづらい内容だと思います。中世から近代、そして現代の音楽やヨーロッパと日本など色々と対比された説明は面白く読みました。
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音楽に触れて、何となくしか感じられないことに思うところがあり。
楽譜で表せること、表せないこと。
生きる人が奏でるものなので、時代とともに変わり、これからも留まらない。
その中で、音楽が何によりできているのか、どのような要素があるのか、様々な角度から説明される。
音楽が共有され、再現されるために。
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音楽が存在するためには、まずある程度の静かな環境を必要とする。しかし、程度を越えた静けさ、真の静寂は、連続性の轟音を聞くのに似て、人間にとっては異状な精神的苦痛をともなう。たとえば、音を発しても、そのほとんどが床や壁、天井に吸収されてしまうような無響室に閉じ込められると、人間は自分の声さえ充分に聞くことができず、恐怖に似た非常に強い孤独感で、精神の異常をきたすことさえあるという。もちろん、このような真の静寂は、日常生活のなかには存在しない特殊な環境ではある。しかし、この事実は音楽における「無音の意味」あるいは、「次第に弱まりつつ休止へと向かう音の積極的な意味」を暗示している。つまり、休止はある場合、最強音にも勝る強烈な効果を発揮する。すべての音は、発せられた瞬間から、やがて静寂へと向かう性質をもっている。「音楽の鑑賞にとって、決定的に重要な時間は、演奏が終わった瞬間、つまり最初の静寂が訪れたときである。しがたって、音楽作品の価値もまた、静寂の手のなかにゆだねられることになる。」
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内容はタイトルの通りですね。記譜法から旋律や和声、形成まで基礎となる部分の説明でした。例としてバッハなどの作曲家の楽譜が載せてあり、分かりやすかったです。基礎を通して音楽とは何か?また音楽の行方など考えさせられることが多かったです。ただ、分かり易かったとはいえ、もう一度読む必要がありますね。私が覚えきれなかっただけですけどね(笑)。
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高校音楽の副読本。
当時はほとんど読まなかったが、最近小説に飽きてきたので何か別のジャンルを読みたくなって今回手を伸ばした。
本書は音楽の基礎理論を体系的に説明している。
例えば、音は高さ、長さ、強さ、音色の4要素から構成されており、高さはこうこう、長さはこうこう・・・といったように各用語の解説がなされる構成である。
音と音楽、リズムと拍子、高さと音程といった紛らわしい用語も実際は細かく区別されていることが分かり勉強になった。
あくまで入門書なのであまり突っ込んだことは書かれていないが、実際に音を聴いてみないと分からないんじゃないかと思う所もあり、途中から結構読むのが難しくなった。
が、良書であることは間違いないと思う。
ちなみに本書で一番感動したのは第一章の静寂についてだった。
ここに引用した文章はその中でも特に印象に残っている。
Posted by ブクログ
タイトル通り、音楽の基礎について説明してある。
内容も充実しているが、この手の本で気を付けなければならないのが、読み手がこの内容に「実感」を伴わせなければ意味がないということ(※だから「基礎」としてあるのだが)。
ただ、見落としがちな「音色」についての解説をしっかりと行っていることが個人的に評価できる。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
人それぞれに音楽を聞き演奏して楽しむ。
しかしさらに深く音楽の世界へわけ入るには、音楽の基礎的な規則を知る必要がある。
本書は、作曲家としての豊かな体験にもとづいて音楽の基礎を一般向けに解説したユニークな音楽入門。
静寂と音との関係から、調性・和声・対位法までを現代音楽や民族音楽を視野に入れつつ詳述する。
[ 目次 ]
1 音楽の素材(静寂音)
2 音楽の原則(記譜法音名 ほか)
3 音楽の形成(リズム旋律 ほか)
4 音楽の構成(音程和声 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
音楽にかんする基本的な知識をまとめている入門書です。
本書でとりあげられている内容は、いわゆる「楽典」と呼ばれる音楽理論の基礎の解説書とかさなるところも多いのですが、縦書きの入門書の利点を生かして、音楽にまつわる歴史的な話や、日本の伝統音楽をはじめとする民俗音楽、現代音楽などについても、ときおり叙述がおよんでいます。
かつての新書らしい、教養としての音楽の基礎を解説している本という印象です。音楽の基礎を学びたい読者には、いまではわかりやすい楽典も多く刊行されているので、あまり本書を手にとる意味はないかもしれません。
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英語の取り扱い説明書のように、音楽の取り扱い説明書が本書だ。
英語の文法を学ぶように、音の表現方法を網羅的に学べる本。
しかし、私には難しかった。
本書を理解できれば、楽譜が読めて音を表現する様々な技法にチャレンジできるのだと思う。
また、何かの折に、再読しよう。
Posted by ブクログ
作曲家で指揮者、たぶんこの世界では巨人の1人だと思われる著者(調べると芥川龍之介の三男だそうだ)による、音楽理論の教科書みたいな本。主に、音階とか調性とかリズムとか和音とか、楽典の話。あとは「現代では、ソヴィエトなどの保守的な傾向をもつ国の音楽作品をのぞいて、ふつうに使われる意味での調性、もしくは調性感というものは、すでに崩壊してしまっている。」(p.79)というくらいの時代に書かれた本であることも特徴。
楽典の話自体が(おれには)難しいので、基礎は基礎だろうけど、やっぱり難しい。ただ平板的な、教科書的な話の中に、音楽の捉え方に関する著者の姿勢や見解が述べられている部分が面白い。「たしかに技法の上では、昔には考えられなかった複雑な技術を、現代の作曲家たちは駆使している。しかしそれをもって、昔の作曲家たちより、いまの作曲家たちのほうが『音楽』を見ぬいているなどとうぬぼれることはとうていできないであろうし(略)少くとも『音楽』を現わすことがむずかしいということを知っていた程度において、よく『音楽』を知っていた、ということがいえないだろうか。」(p.47)という部分は、なんかすごい若いピアニストの人が「弾けないと思った楽譜はないです」みたいなことを「題名のない音楽会」で言ってたのを思い出し、音楽を知るとはどういうことなのか、ということを思った。あとは日本の楽器と西洋の楽器を比べて、「音楽に限らず、日本人は古来、単純なものから複雑なものを引き出すことに熱中し、ヨーロッパの人たちは、複雑さのなかから単純なものを引き出すことに情熱を傾けた」(p.89)ということだそうだ。それから音楽の要素の中でも「リズムはあらゆる音楽の出発点であると同時に、あらゆる音楽を支配している。リズムは音楽を生み、リズムを喪失した音楽は死ぬ。この意味において、リズムは音楽の基礎であり、音楽の生命であり、音楽を超えた存在である。」(p.88)という部分が、とても力強く聞こえて、印象的だった。おれは拍子と拍の違いもイマイチよく分かってないが、「ストラヴィンスキーが一九一三年に書いた『春の祭典』Le Sacre du Printempsには、一小節ごとに頻繁な拍子の交替が見られる。」(p.102)らしいから、ぜひ聞いてみなくては。あと面白いのは、「イタリヤ・オペラに出てくるテナーのアリアなどを聞くと、高い音をえんえんとのばして、おのれの肉体が人並みはずれていることを、聴衆に誇示する場面が必ず現れる。その場面だけを残して前後を切り捨ててしまえば、これはサーカスとあまり違わない。」(p.109)とか面白い。(その後で、けどそれがないと「イタリヤ・オペラの魅力は半減してしまうであろう。」と言ってるけど。)
音楽そのものの話では、まず音名の話で、よく音楽をやる人はドイツ語でBとかFとかいうけど、中国で使われていた音名で「黄鐘」とか「無射」とか聞いたこともないような音名がある(p.60)というのも面白かった。あとは今の長調と短調というのは、それぞれイオニア旋法、エオリア旋法、というらしい。「イオニア、エオリアの両旋法が、ヨーロッパ音楽の主流につながって存続していったのは、旋律的音楽から和声的音楽への移行にともなって、もっともそれに適した旋法であったからに他ならない。『線』の音楽から『面』の音楽への進化が、この二つの旋法に永井生命をあたえたことになる」(p.66)の部分、たぶんとても分かりやすいことを言っているんだろうけど、おれにはちんぷんかんぷん。誰かさらに基礎を説明して欲しい。音階の話は、やっぱりピアノで弾いてみないとよく分からないけど、ドビュッシーの全音音階で、ここから現代音楽の始まりと考えるそうだけど、そんなドビュッシーは、「第一次大戦中、パリ空襲のなかで死んでいった」(p.70)らしい。へえ。そして「第二次大戦後は、半音階が中心的な存在となる。」(同ということらしい。あとは、装飾音はおれが練習しているような曲でさえ出てくるけど、これにも弾き方がいくつかあるらしく、ただ楽譜を見てもおれにはよく分からない。誰かに弾いてもらわないと…。それから速度記号の話で「アレグレットを『アレグロよりもおそく、アンダンテよりもはやく』などと理解するのは間違っており、ややはやめの速度を示す語であるとともに、『アレグレットの気分で』という表情や気分をも示す語として理解すべきである(歩行にたとえれば、ゆっくりと散歩を楽しむ気分をアンダンテ、汗をかく駆け足の気分をアレグロとすれば、目的地に向って適度な、快的な速度で歩く気分をアレグレットとでもいえよう)。」(p.131)の部分はなるほどと思った。単に速度じゃない雰囲気を表してるのか、という。(そして「奇抜な表情記号」というのがあって、「その一つは『歯が痛いうぐいすのように』」(p.141)だそうだ。何でもありなのか。)それから「音楽に表情をあたえるために演奏者が行なう、わずかな部分的な速度の増減をさす言葉で、緩急法と訳されている。」(p.133)というのに「アゴーギク」という言葉があるらしい。これは色んな人の同じ曲の演奏を聴き比べる機会があって、そこでまず気づくことはこの「アゴーギク」のやり方や程度が違う、ということだった。
正直初心者のおれにはどの程度の基礎がどの程度網羅されているのかはよく分からないが、堅実な感じがするので、楽典の授業があったとしたらそれの教科書にでもなりそうな、逆に言えばもっと基本的な解説が欲しい、そういう本だった。(21/12/18)
Posted by ブクログ
人間の営みのひとつ音楽を俎上に載せ論じるならこうなるのでしょう。
他の人もレビューで言っているように、音楽が存する為の、静寂に関しての洞察が真っ先に語られているのは面白いです。
クラシックやオーケストラに明るい人、経験者なら時々出てくる楽曲例や作曲家のエピソードが一層楽しめるでしょう。
でも庶民にはハードルが高いなあ。
中盤からちんぷんかんぷんになる虞が大いにあります。
クラシック、和声、楽典を少々齧った程度の私がそう思うので、そういうのを何も知らずすらすら通読しようにも辛い部分があるかと。
全部が全部読まなくても、興味の持てそうなところ、ついていけるところをつまんで読めば良かろうと思います。
楽譜が読めるようになりたいならそのような本、音楽史が知りたいならそのような本、楽器が弾きたいならそのような本を別に求めましょう。
「音楽の基礎」を手堅く十分適当に書いた本です。
内容の薄い新書も増えましたが充実の良書。
Posted by ブクログ
著者は芥川龍之介の息子さんだそうです。
基礎、とタイトルにはあるものの、自分のような駆け出しアマチュアピアニストにはちょっと難しいかもしれません。
これから本格的に音楽理論を勉強したい、という人にはオススメできますが、楽譜が読めないと辛いと思います。
Posted by ブクログ
タイトルのごとく音楽を構成する基礎の基礎から話は始まりますが、図表が多く使われていて割と分かりやすくホイホイと読めます。
ただし音楽のほぼすべての構成要素に触れていくので、深いところには全くつっこまないし、難しい話をさらりと説明だけして終わるので身になった気はあまりしません。
また、著者の音楽に関する考え方も文章中に散見されるのですが、同意できるところもあれば明らかに間違っていると思われるものもあり、あまり参考にはなりませんでした。
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ブーレーズのハルサイ分析に批判的な感じですね。
私はブーレーズのハルサイが自演より好きなので、それは同意しかねる。
しかしとりあえずは、体系的にまとまってて面白く読めました。
Posted by ブクログ
クラッシクから現代音楽、邦楽にいたるまで、音楽の素材(静寂・音)、音楽の原則、音楽の形成、音楽の構成とミクロからマクロに展開する。俗説に対しては心理学の実験などをひいて、かなり説得的に展開している。第二章からは、記譜・音名・音階・調性(原則)、リズム・旋律・テンポ(形成)、音程・和声・対位法・形式(構成)という構成で、教科書的な基礎がしっかり学べる。しかし、第4章の音程と和声は難解で、ピアノかシンセサイザーで試してみないとよく分からない。譜例が100以上もあり実際の音楽に触れながら学べるのはよい点である。