あらすじ
大川で惨死体が上がった。吉宗配下の御庭番にして、採薬使の佐平次は探索を命じられる。その死体が握りしめていたのは、昇降図。一方、西の方でも蝗害の被害が報告されており……亨保の大飢饉の謎に迫る!!
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Posted by ブクログ
この作品は、今までに読んだどの作品とも違う趣がある。時代小説なのに、科学的な内容が多分に入っていて、それでも、ちゃんとチャンバラの場目もある。「採薬使」という役割があったということは、初めて知ったけど、非常に面白い存在だ。こんな面白い題材を、この一作品で終わらせているとは思えないので、続編を探してみよう。
Posted by ブクログ
設定は面白いが、内容は平凡。
序盤、採薬使の佐平次がごく自然に同心の手伝いをしていることの違和感があった。中盤でようやく御庭番的役割を担っていることの説明があったが遅い。トビイロウンカを使ったテロというテーマは非常に面白く、享保の大飢饉の実態や政治的思惑など興味深い点は多かった。
採薬使らの学者としての存在感も薄かった。ビードロの解明は理系であれば思いつくであろうし、今回の鍵となるウンカも植物に寄生するとはいえ虫であり、植物学者だから解決できたという展開を期待しただけに消化不良。採薬使全員が武芸者なのも違和感。文武、性格ともに完璧な主人公はやはり魅力に欠けると改めて感じた。やはりどこか不完全な部分があり、それを周囲に支えてもらう方が人間味があって感情移入できる。