あらすじ
下咽頭癌で声を失った「私」はある日、炎天下の路上で『歎異鈔』の一節「地獄は一定……」が耳の奥に響くのを聞いた。これを機に、仏教近代化の旗頭だった破格の念仏僧・暁烏敏の著書に接し、たちまち魅了される。ところが、発声教室で知り合った同病の湯浅よね子は、暁烏を称える「私」との筆談に、なぜか顔を曇らせて……。著者自らの苛烈な闘病を通して問う、信仰の赤裸々な姿。
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Posted by ブクログ
清沢満之(きよさわまんし)から興味を持ったが、無頼派の僧侶なのだろう。僧侶であろうが無かろうが、人間こんなものなのだろう。重い小説なのでおすすめしない。
Posted by ブクログ
えらいものを読んだなあ。
のどに鉛を突っ込まれたような気分だ。
暁烏敏。たしかに怪人である。
こんな人が歴史に埋もれていたのかと思う。
そしてそれに引き寄せられていく『無頼派」の「私」の心境はよくわかる。
それに対して、執拗に攻撃を加えてくる湯浅よね子。
形而上学的な空中戦になることを、いつも引きずりおろす唖という現実。
あっちからもこっちからも、何重にも攻撃されるような、おそろしい文章である。
メジャーとは言いかねる作者。伊藤整文学賞。
テーマは仏教で、しかも明治後半~昭和前半で有名だった人。
すまないけど、キャッチじゃない。
それにここまで破壊力が。いやはや、人生というのは奥が深い。
文学も、宗教も、人生も、こってりといただきました。
しかもこの本が、父の書棚から出てきたというのが、個人的にはすごく深い。
父よ・・・・