【感想・ネタバレ】立原正秋のレビュー

あらすじ

独自の美学に貫かれた華やかな作家活動の背後に、秘められた二重の生涯があった……。日韓の狭間に生きた五十四年間に、六つの名前を持ち、年譜さえも虚実とりまぜて自ら創作せざるを得なかった、孤独な苦闘の軌跡。生れながらの日本人以上に日本人になろうとした、人間・立原正秋の哀しいまでに必死な生と死を、克明かつ友愛をこめて照らしだした画期的評伝。第33回毎日芸術賞受賞。

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Posted by ブクログ

金胤奎という生まれながらの名前を長く隠しつづけ、日本人以上に日本人であろうとした立原正秋の、豪胆さの裏に存在していたルサンチマンを、細やかなまなざしで描き取った評伝です。

「解説」を執筆している尹学準は、本書について「度し難いインチキ野郎だと常日頃思っていたこの憐れな人間を、温かい懐に大きく包み込みながら、見事な作家論を展開していた」と述べています。これは非常に的確な評だと思いますが、同時に著者が立原のひととなりをみずからのうちに飲み込んでしまおうとしているような印象すら受けて、どことなく危うさを感じました。

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2018年03月25日

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