あらすじ
火宅と化したわが家を救ってくれたのは、「彼女」の眼差しだった。妻との間に生じ始めた亀裂、仕事で出会った女性との心ときめく逢瀬、やがて迎えた家庭の崩壊。その中で二匹の犬との言葉を超えた交情が得難い安らぎをもたらす。だが、別離の時が訪れて……初老を迎えた男の心の危機を繊細に、赤裸々に描き切った哀感極まる私小説。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
壊れていた夫婦の関係にやってきたのは、ラブラドールのななだった。
おてんばで活発な性格のななの存在に、
冷え切った夫婦の関係に変化をもたらせしてくれたのも束の間
大学教授である私は、1人の女性と親密な関係になっているのを妻に知られ、家を出ることになったのは
ななが来てから2年余りのことだった。
8年後に経済的な理由で別居生活を解消して
久しぶりに戻った家で再会した10歳になったななは
すっかり老犬になり、わずか3ヶ月後に亡くなった。
ななの死後、保護犬だったメイを妻が引き取り
再び犬との日々を、過ごした時間。
耳が聴こえないメイが、どんな環境でどんな人に飼われていたのか追跡してよみがえる、ななや、あの女性のこと。
犬っていうのはなんと純粋で無垢で健気なんだろう。
犬はいいんだけど、
夫婦の関係がジメジメしてて、なんだか犬も不便で、
暗い話でつらいわー。