【感想・ネタバレ】隠密包丁~本日も憂いなし~ 1のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年11月23日

『ハルの肴』に次ぐ、この『隠密包丁~本日も憂いなし~』も料理系
どうやら、本庄先生は食漫画で真価を発揮できるタイプの漫画家のご様子
しかし、得意なのは、何も料理の描写だけではないようだ
前作『ハルの肴』は、料理人としての成長、様々な事情を抱えている客とのコミュニケーション、親子の愛情など人間の内面が...続きを読む温かいストーリーの中で描かれていたが、こちらも、料理によって繋がれる人との絆が全面に押し出されている
また、単に料理人が優れた調理の腕で問題を解決するのでなく、主役の宮村惣右衛門が、タイトルからも察せる通り、隠密の顔を持っているとこが斬新だ。これで彼が料理人としてでだけでなく、隠密としても超一流であれば、展開がベタすぎて面白さも半減だったが、要所要所で今イチカッコがつかず、読み手の笑いを誘ってくれるので、惣右衛門の人柄に好感が持てる
昨今では聞く機会も減り、使う場も少なくなったが、鯔背って表現は彼のような男に使うのだろう
剣と料理、どちらも楽ではない道を同時に極めようとしているだけあり、惣右衛門の心は強く、しなやかで、真っ直ぐだ。当然、その好さに惹かれる女性も多く、これから、色々と大変だろうが、自慢の料理で円満に収めて欲しいものだ
どの話も面白く、読ませてくれるものばかりだが、個人的な味の好みで選ばせていただけるなら、やはり、[第6話]遠山裁きと牛の味噌漬けを推薦したい。牛肉を漬けこむ味噌に甘麹を加えるってアイディアは斬新だ。これまで多くの料理漫画を描き、多くのプロを取材し、多くの美味しい物に舌鼓を打ってきたであろう、本庄先生だからこそ、その美味しさを読み手に絵で伝えられるんだろう。加えて、罪を犯した以上、ハッピーエンドにするのは難しい。けれど、未来に希望がある事を感じさせてくれるラストにもグッと来た
この台詞を引用に選んだのは、宮村惣右衛門と言う名の男の、料理人としての矜持だけでなく、自分の信じ、歩みたい道をしっかりと着実に歩んでいきたい、そんな人間としての思いも感じ取る事が出来たので。料理に限らず、単純な作業ほど、結果の善し悪しを決める。基本を疎かにしてはいけない、そう言う事だ

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