あらすじ
剣峰成(つるみねなる)は退屈していた。都内屈指の進学校にもかかわらず、クラスメイトは凡庸な生徒ばかり。目指す高みには到底たどり着けそうにない……。そんな成の前に現れた少女、太刀杜(たちもり)からん。彼女との出会いをきっかけに、成は鷹司(たかつか)高校の真の姿を目の当たりにする。論理と論理をぶつけ合う学園裁判。殺人と暗号。連続密室爆破事件と犯人。若き才能が放つ、青春×本格ミステリの新機軸。
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Posted by ブクログ
ルヴォワールシリーズを読んでから,すっかり気に入ってしまった円居挽の作品。この作品は,鷹司高校という日本に二つしかない探偵養成学校が舞台。エリートが集まる鷹司学園に「特究生」として入学した剣峰成が主人公
世界観は,キングレオシリーズと同じ。キングレオこと天親獅子丸が所属する探偵公社や十格官が存在する世界。双龍会が存在するルヴォワールシリーズとは異なる世界設定である。
剣峰成は,早夜川家殺人事件で父親を殺した妹を庇って犯人になろうとして失敗。九哭将の1人である探偵,鬼貫重明に見抜かれてしまう。そもそも,剣峰成は,自分が「早夜川家の子どもではない。」という記憶を持っている謎めいた存在。厨二病っぽい剣峰成という少年の鷹司高校での活躍が描かれる。
全体の構成はプロローグとエピローグの間に,誰が特究生かを暴く星覧試合というイベントについて描かれる「学園裁判と名探偵」,早夜川家殺人事件の顛末を描き,剣峰成と鬼貫の出会い,剣峰が鷹司高校に入る経緯について描かれた「暗号と名探偵」,ザマボマーこと降矢木残月という爆弾魔との対決を描いた「密室と名探偵」の3編からなる。いずれも個々の短編としてのミステリとしての完成度はキングレオシリーズより上。剣峰成や太刀杜からんといった登場人物の魅力は天親獅子丸には及ばないので一長一短というところか。
「暗号と名探偵」は叙述トリックも仕込まれており,全体的に見て,円居挽らしい短編集だといえる。十分に楽しめるデキであり,円居挽が好きな作家という加点もあるので★4としたい。
〇 学園裁判と名探偵
「誰が特究生として鷹司学園に入学したのか。」を推理する「星覧試合」というイベントが開催される。星覧試合は、真実かどうかは関係なく,論理で「特究生が誰か。」を信じさせれば勝ちという、学園版双龍会のようなイベント。このイベントで生徒会長である大神五条が登場する。大神五条の得意技はビッグデータとガム・シャッフル。剣峰と太刀杜は,コンビで五条に挑み,五条こそが特究生で「証人保護プログラム」を受けてると指摘。見事,星覧試合で勝利する。
星覧試合のゲームとしてのルールのあいまいさは双龍会に近く、面白ければ何でもアリというイメージ。五条と剣峰が両方とも特究生であることが分かり,剣峰は早夜川家事件の容疑者であることが分かる。
意外性に欠けるが,星覧試合だけでなく図書室における生徒年鑑をめぐるいざこざや,剣峰と太刀杜対五条のポーカーの勝負まであって読み応えは十分。★4で。
〇 暗号と名探偵
暗号は「hdkb1815」というもの。この短編は、まるで「剣峰成が父である早夜川元を殺害し,その隠蔽工作をしている。」かのように描かれるが,これらが全て妹である鳴を庇うための工作であったことが分かる。
その工作を暴いたのは探偵である鬼貫重明。鬼貫はシャワーを浴びた人物と現場で隠蔽工作をした人物が別人であるという推理から、剣峰成が妹である鳴を庇っていると推理し、追い詰める。しかし,鳴がのった飛行機がザマボマーの手で爆破されてしまう。
円居挽らしい叙述トリックもある。剣峰成の生い立ちの謎が伏線として残る。この作品だけで見ても,十分に読ませるデキ。★4で。
〇 密室と名探偵
鬼貫,剣峰,太刀杜は町に買い物に行く。鬼貫だけ別行動をしているときに,ザマボマーこと降矢木残月に出会う。降矢木残月は太刀杜を眠らせ,剣峰を誘う。剣峰は古矢木と対峙している中で,降矢木が前向性健忘であることを知る。鬼貫は降矢木との対決の中で,4年前の連続密室爆破事件での真相にも気付く。爆破は2度あった。1度目の爆破で捜査員を行動不能にし,逃亡。2度目の爆破を行っていた。鬼貫は降矢木を逮捕。降矢木は剣峰に「ただ,百時間後,お前から貰った安らぎを失うことだけがひたすら怖いんだ。」という言葉を残す。
これもサスペンス的な雰囲気が面白い。密室爆破事件の降矢木の逃亡のトリックもなかなか。★4で。
Posted by ブクログ
今回も表紙買い。
探偵育成学校を題材に繰り広げられる
物語かと思ったら
ほとんどエピローグのような内容でした。
これ1巻目にするのはもったいない
相関関係とかよくわからない状況で
登場キャラの因縁の話をされてもなぁ…。
私は置いてきぼりになりました。