【感想・ネタバレ】シャーロック・ノート―学園裁判と密室の謎―(新潮文庫nex)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月18日

 ルヴォワールシリーズを読んでから,すっかり気に入ってしまった円居挽の作品。この作品は,鷹司高校という日本に二つしかない探偵養成学校が舞台。エリートが集まる鷹司学園に「特究生」として入学した剣峰成が主人公
 世界観は,キングレオシリーズと同じ。キングレオこと天親獅子丸が所属する探偵公社や十格官が存在...続きを読むする世界。双龍会が存在するルヴォワールシリーズとは異なる世界である。
 剣峰成は,早夜川家殺人事件で,父親を殺した妹を庇って犯人になろうとして失敗。九哭将の1人である探偵,鬼貫重明に見抜かれてしまう。そもそも,剣峰成は,自分が早夜川家の子どもではなかったという記憶を持っているという謎めいた存在。厨二病っぽい剣峰成という少年の鷹司高校での活躍が描かれる。
 全体の構成はプロローグとエピローグの中に,誰が特究生かを暴く星覧試合というイベントについて描かれる「学園裁判と名探偵」,早夜川家殺人事件の顛末を描き,剣峰成と鬼貫の出会い,剣峰が鷹司高校に入る経緯について描かれた「暗号と名探偵」,ザマボマーこと降矢木残月という爆弾魔との対決を描いた「密室と名探偵」の3編からなる。いずれも個々の短編としてのミステリとしての完成度はキングレオシリーズより上。剣峰成や太刀杜からんといった登場人物の魅力は天親獅子丸には及ばないので一長一短というところか。
 「暗号と名探偵」は,剣峰成を思わせる叙述トリックも仕込まれており,全体的に見て,円居挽らしい短編集だといえる。十分に楽しめるデキであり,円居挽が好きな作家という加点もあるので★4としたい。

〇 学園裁判と名探偵 ★★★★☆
 誰が特究生として特別に鷹司学園に入学したのかを推理する星覧試合というイベントが描かれる。星覧試合は真実かどうかは関係なく,論理で誰かが特究生だと信じさせれば勝ちという学園版双龍会のようなイベント。このイベントで生徒会長である大神五条。
 大神五条の得意技はビッグデータとガム・シャッフル。剣峰と太刀杜は,コンビで五条に挑み,五条こそが特究生で「証人保護プログラム」を受けてると指摘。見事,星覧試合で勝利する。
 星覧試合のゲームとしてのルールのあいまいさは双龍会に近い。面白ければ何でもアリというイメージ。五条と剣峰が両方とも特究生であることが分かり,剣峰は早夜川家事件の容疑者であることが分かる。
 意外性に欠けるが,星覧試合だけでなく図書室における生徒年鑑をめぐるいざこざや,剣峰と太刀杜対五条のポーカーの勝負まであって読み応えは十分。★4で。

〇 暗号と名探偵
 暗号は「hdkb1815」。まるで剣峰成が父である早夜川元を殺害し,その隠蔽工作をしているかのように描かれるが,これらが全て妹である鳴を庇うための工作であったことが分かる。 
 その工作を暴いたのは探偵である鬼貫重明。鬼貫はシャワーを浴びた人物と現場で隠蔽工作をした人物が別人るという推理から成が妹である鳴を庇っていると推理。成を追い詰める。しかし,鳴がのった飛行機がザマボマーの手で爆破されてしまう。
 円居挽らしい叙述トリックもある。成の生い立ちの謎が伏線として残る。この作品だけで見ても,十分に読ませるデキ。★4で。

〇 密室と名探偵
 鬼貫,剣峰,太刀杜は町に買い物に行く。鬼貫だけ別行動をしているときに,ザマボマーこと降矢木残月に出会う。降矢木残月は太刀杜を眠らせ,剣峰を誘う。剣峰は古矢木と対峙している中で,降矢木が前向性健忘であることを知る。鬼面は降矢木との対決の中で,4年前の連続密室爆破事件での真相にも気付く。爆破は2度あった。1度目の爆破で捜査員を行動不能にし,逃亡。2度目の爆破を行っていた。鬼貫は降矢木を逮捕。降矢木は剣峰に「ただ,百時間後,お前から貰った安らぎを失うことだけがひたすら怖いんだ」という言葉を残す。
 これもサスペンス的な雰囲気が面白い。密室爆破事件の降矢木の逃亡のトリックもなかなか。★4で。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月09日

今回も表紙買い。
探偵育成学校を題材に繰り広げられる
物語かと思ったら
ほとんどエピローグのような内容でした。
これ1巻目にするのはもったいない
相関関係とかよくわからない状況で
登場キャラの因縁の話をされてもなぁ…。
私は置いてきぼりになりました。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年02月07日

僕の目指すところは――。

思ったより主人公が歪んでいなくて安心した。成長する面があるのがいい。さすが新潮文庫nexだな、と思うこともあった。ノリがラノベ。登場人物もラノベ。悪くないけど。ただ、本当に導入編でキャラクター紹介に終わった感じも。

最初プロローグがどう本編とつながるかわからなくて戸惑っ...続きを読むた。妹が全部をつなぐのかと思いきや、そうでもなさそうか。亡くなっているし。いや、まだ再登場の可能性は残されているけれど。

0

「男性向けライトノベル」ランキング