【感想・ネタバレ】日本とドイツ ふたつの「戦後」のレビュー

あらすじ

日本とドイツは、物づくり大国・貿易立国として、ともに戦後めざましい復興を遂げた。だが戦後70年経った今、日独間には大きな違いが生じている。ドイツは高い競争力を背景にEUを牽引し、欧州のリーダーとなった。一方、日本は競争力を失い、貿易赤字が拡大、周辺国との関係も悪化して、原発事故以降のエネルギー政策も迷走状態にある。本書では、在ドイツ25年のジャーナリストの視点で、両国の歴史認識・経済・エネルギー政策などを論考。ドイツの戦後の歩みを知ることで日本が今後重視すべき問題を浮き彫りにする。【目次】まえがき/第一章 イスラム過激派の脅威とドイツ/第二章 ドイツ人はどのように過去と対決しているのか/第三章 歴史リスクを重視するドイツ、軽視する日本/第四章 ドイツ経済の奇跡/第五章 日独エネルギー政策の違い/日本への提言――あとがきにかえて

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Posted by ブクログ

過去の反省を引き継ぐ必要性? ドイツの戦犯への保証の潔さを筆者は常々褒めたたえ、靖国神社参拝する日本どーなのよ?を繰り返していたけど。危害を加えてしまった国に地続きに囲まれてるドイツと、島国日本とではやはり謝り方も違っていいんじゃないかとは思う。確かに社会的振りはあっても、成長してきた事実もある。歴史は知る必要があるとは強く思うけど。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

近隣国と歴史認識を共有できず、長時間労働が問題となっている日本。ナチス時代と向かい合い続けてEUのリーダーとなり、年間150日の休日を確保するドイツ。とはいえドイツを過大評価しすぎな感じも。

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2016年11月17日

Posted by ブクログ

第二次世界大戦、そしてアジア・太平洋戦争のそれぞれで敗戦国となったドイツと日本。昨年2024年のGDPで日本がドイツに抜かれたというニュースは多くの国民が、とうとうドイツにまで抜かれてしまったかと落胆の気持ちを抱いたかもしれない。だが、世界経済におけるプレゼンスは先の大戦に敗れ、どん底からスタートしたにも関わらず、両国が世界の頂点に近い位置付けにあることには変わらない。だがこの両国を比べた時、人口八千万のドイツと⒈2億の日本では、当然だが一人当たりの所得では大きく水をあけられている。同じ様に敗戦からスタートし、驚異的な経済復興・発展を遂げた両国の間にどの様な違いがあったのか。本書はドイツに25年近く住む筆者が、長年のドイツ在住で感じた国民の倫理観や、それに基づく政治や社会のあり方が基本的に異なっているという点から始まる。
先の大戦ではドイツはホロコーストにより、600万人のユダヤ人を殺害したと言われる。これは当時ヨーロッパに住んでいたユダヤ人の2/3にあたる規模であり、かつて世界文明が経験したことのない大虐殺である。一方日本もアジア各地を侵略し、特に中国に於いては南京大虐殺や都市の無差別爆撃など一般市民を巻き添えにした戦闘を展開していた。両国共にそれらは戦後に裁きを受け、何より被害国との間の大きな確執として、長きに亘って関係性を暗いものとする要因になっている。特に日本は韓国に対する従軍慰安婦問題が大きく取り沙汰されるが、世界に大きく喧伝する韓国側の立場に対して、日本の対応は消極的と言わざるを得ず、それが却って韓国側の外交手段を強化する一因となってきた。総理大臣が靖国神社を訪問すれば中国国内では日本製品の不買運動が起こり、大規模なデモが行われる。アジアの巨大な経済圏をリードする日中韓の関係性は常にこれら戦争中の負の遺産が清算できていないことによる不安定な状態を続けている。ドイツはこうした大戦中に自らが起こした罪に国民全員が真摯に向き合い、かつ今に至っても謝罪と賠償を続けている。その根幹には戦争を経験していない世代に対しても、過去に自らの国が起こした犯罪を教育により十分に浸透させている事が理由となっている。確かに我々戦争を知らない戦後世代は歴史の授業で日本の犯した罪について十分な勉強時間がとられたという記憶はない。世界史先行の私は日本史は僅か一年程度で振り返っただけでなく、明治維新以降の近代日本については授業時間が一コマしかなかったのを覚えている(その分は大学受験科目の強化に充てられた)。改めて大学生時代に国家試験を受ける教科不足で日本史をとった時、日本人でありながら、日本の歴史を知らない自分に驚いた。
この様に教育面で取り組み方の違うドイツと日本では、過去の戦争の清算の成果に大きな差があるだけでなく、国民の意識にも違いが出てくる。筆者は海外から見た日本について、この同じ様な歴史を辿りながらも成功したドイツと、未だ長い不景気から抜け出せない日本の違いをさまざまな観点で並べ、その原因を分析している。その一つが教育であるとしている。更に本書では法整備や政策の違いが生んだエネルギー政策の状況、EU内での立ち位置・姿勢、そして働き方の違いにまで、その分析の範囲を広げて論じている。
日本の置かれた状況とは、地政学的にも民族の考え方、倫理観などで異なる点が多く、そのまま真似する事は難しいかもしれない。だがドイツの取り組み方から学べる点も多く、何より国民が過去の行為をどれだけ反省しているか、という点について学ぶべきところは多いと感じる。過去を知らなければ現在位置がわからない。そして未来に向かって地に足のついた建設的な議論を行う事も難しい。本書は2015年頃のものであるから、当時のメルケル体制のドイツの取り組み結果が今なら分かる状況でもある。それらと答え合わせをしながら読み進めるのも面白い。

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

先の大戦の敗戦国。敗戦後は戦勝国による裁判で戦犯が裁かれた。
戦後は産業を基盤に復興を遂げ、アジアとヨーロッパで経済大国と
なった。

日本とドイツの共通点である。しかし、それぞれの国の在り方は
大きく異なる。ナチスという過去の汚点に今でも向き合い、歴史的に
犬猿の仲であったフランスはじめ周辺諸国と良好な関係を築き、
実質EUのリーダーとなったドイツ。

先の大戦中の罪を中国・韓国から攻め続けられているのに、国会
議員が積極的に戦犯を祀る靖国神社に参拝し、日本国首相である
安倍晋三は「未来志向の日韓関係」とか言っている。それは過去は
なかったことにしてこれからを考えましょうとってことなのか。

本書は歴史認識・エネルギー政策等、在ドイツ25年の著者が両国
の違いを解説している。国外から祖国を眺める視点は大切だとは
思う。だが、少々ドイツびいきになっているようにも感じるんだよね。

ただ、過去は過去、今は今とい日本の姿勢にも問題があることは
分かる。従軍慰安婦問題にしたって朝日新聞が長年誤報を放置
してきたからってまるっきりなかったことではないし、南京虐殺に
しても人数の問題ではなく戦闘員ではない一般市民を殺害した
ことに変わりはないんだよな。

まるっきりドイツの真似をしろとは思わないが、過去と対峙せずして
未来はないと思うんだけどどうなんだろうか。

尚、個人的に興味深かったのはドイツのメディアの在り方だ。公共
放送にしても政府の思惑を忖度しないっていいなぁ。要はドイツ版
NHKみたいな存在だよね。日本のNHKなんて自民党の御用メディア
になっちゃってるもんな。

尚、日本でも遅まきながら民間では過去に対峙する姿勢が出て
来た。今年、2015年に三菱マテリアルが中国人強制労働者に
対する賠償の意向を明らかにした。民間とは言え、一歩前進
なのだと思いたい。

「若者たちが過去のことについて無関心になるのは、当然のことだ。
彼らが、前の世代の犯罪について、重荷を背負わされることを拒否
するのは、ごく当然のことだ。若者たちには、父親や祖父がしたこと
について、責任はない。しかし彼らは同時に、自国の歴史の流れ
から外へ出ることは出来ないということも知るべきだ。そして若者
は、ドイツの歴史の美しい部分だけではなく、暗い部分についても
勉強しなくてはならない。それは、他の国の人々が、我々ドイツ人を
厳しく見る理由を知るためだ。そしてドイツ人は、過去の問題から
目をそむけるのはなく、たとえ不快で困難なものであっても、歴史
を自分自身につきつけていかなくてはならないのだ」

1989年に行われたヴィリー・ブラント元首相への著者のインタビュー
からの引用である。

安倍晋三にはまったく期待してないけど、将来、日本にもこんなこと
が言える政治家が出て来るだろうか。う~ん…。

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2017年08月21日

Posted by ブクログ

在ドイツ二五年のジャーナリストの視点で、ドイツと日本両国の歴史認識・経済・エネルギー政策などを論考。
一方にドイツ贔屓がすぎるとの批判もあるが、ここは謙虚に耳を傾けてもいい具体例が沢山引用されている。
ドイツに倣えの具体的内容の一端を知ることは無益ではないと思われる。

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2015年08月27日

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