あらすじ
京都美術館で開催中のエジプト展から、遺宝を盗もうとした男が謎の薬物中毒死。二年後、修学旅行中の女子中学生が旅館の屋上から墜死。彼女は「エジプト、ミイラ」と言い遺した……。第二、第三の謎の変死事件。背後に中学生売春問題!? エジプトと京都を舞台に、華麗に展開する国際的スケールの本格推理!
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時を経て最後は正義が勝利
エジプトでの父親の死が、時を経て、勤務先の学校での教え子の死を契機とする連続殺人に繋がっていく。丁寧な伏線と密室トリックなどが楽しめる作品です。エジプト好きにとっては、日本での描写が大半であることが少し物足りませんが、ミステリーとして楽しめる作品です。大物の陰謀に対し、最後には正義が勝つところもスッキリします。
Posted by ブクログ
アガサクリスティのエジプトものと並ぶとも劣らぬ物語だと思う。
カノピス容器というものがあることを知りませんでした。
エジプトに関する展覧会が会ったら,ぜひ見てみたいと思いました。
文化に対する興味を引き出すところが、アガサクリスティと山村美紗の共通点かもしれない。
ミステリの女王の面目躍如だと思った。
残念では、カッパノベルスの著者の言葉で「エジプトの秘宝」と「売春という古代エジプト王朝から存在した最も古い職業」
を紹介している。
また、「推理小説の三要素は、魅力的な謎,論理的な展開,意外な結末の3つだと言われる」
「社会的な問題提起というお釣りがくる」
と書かれている。
山村美紗の作品のよいところは三要素に加えて
1 著者の分身としての主人公の人間性
2 京都などの古い文化の紹介
3 調子のよい会話
の3つだと思う。社会的な問題提起は人間性の要素の1つかもしれない。