あらすじ
唯一の正解のない世界で
生きていくために。
「考える」こととは、なんだろうか。私たちは、ことあるごとに「自分で考えなさい」と言われ続けてきた。
しかし、何をもって「考える」といい、そのために具体的にどうしたらいいのかを教わったことは、ほとんどない。
本書では、司法試験界の「カリスマ塾長」として知られる著者が、考える力を身につけるための方法論について明かす。
法律家が普段から行っている考え方のアプローチや、日常生活の中で鍛える訓練など、
いまの時代を生き延びるために必要な「考える訓練」を伝える。
*目次より
●他人が考えたことを探すのは、「考える」ことではない
●「ひとつ」だけでなく、「必ず3つ」考える
●「仲のいい人」だけで周囲を固めてはいけない理由
●つねに「IRAC」にのっとって説明する
●「話し相手」がいるほうがアイデアはわく
●強く求めている人のところに「ひらめき」はやってくる
●問題解決の「棚上げ」のすすめ
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Posted by ブクログ
司法試験などの受験指導を行う伊藤塾の塾長が、有罪無罪の二元論的思考を行う法律家が使う考え方を教えてくれる。論理的に考えるとは、目的を持って、一定の結論を根拠とともに導くこと。IRAC(Issue:課題、Rule:規則、Application:あてはめること、Conclusion:結論)。視点をずらす(相手、第三者、虫、鳥、過去、未来)。共通する物差しで説明する。考えることは主体的行為。
論理的思考が使えることも大切だが、一方で感情、気持ちに寄り添うことも大切だと逆説的に教えられた。
16-58
Posted by ブクログ
1. 総論
思考を強化するための方法が豊富に紹介されており、参考になった。弁護士業務で言えばリサーチと考えることは違う。仕事に付加価値を生み出すのは考える力である。
2. 抽象論
・対立する2つのもの(考え、立場)を比べる。比べるとは共通点と相違点を見つけ出すこと。
・違う考えに触れて、心をざわつかせることが、考えるきっかけになる
・好きなものに関連するものの、関係性に注目し、横展開する
・目の前に小さなことに興味をもち、縦展開する
・あえて極振りしてみることで、本質を見つける。そのためにはキャッチコピーをつける
・具体的な経験(失敗等)を抽象化(法則やルール)する、或いは抽象的なもの(ルール)を具体化する。ここでも色々な共通点を集めていって、「統合」する
・なぜ?を三回繰り返す。とりあえず「なぜなら」と言ってみる。「わかっていないことをわかる」という知的正直さと、「わからないことを知りたい」という知的貪欲さは、いずれも考える訓練の上で大きな推進力となる
3. 日常生活の中で鍛える
・日常の些細な選択に「なぜ」と理由をつける
・未知のこと、ささいなことにも好奇心を持つ。なんでも楽しむ姿勢を持つ
・説明時等、理由を三つ考える習慣をつける
・本を読み比べ、共通点・相違点・なぜ、を考える
・会話時の相手の反応の変化に着目する
4. 考え方
・論理的に考えるとは、目的を持って、一定の結論を根拠とともに導くこと
・相手と共有できる物差し(根拠づけ)を見つけ、それを用いて話す
・日常生活でも、結論、根拠は何かを常に考える
5. 伝え方
・IRACで伝える。Issue(課題)、Rule(規則)、Application(あてはめること)、Conclusion(結論)
・二元論で伝える。プロコン、やる意味とやらない意味等
・文章、図や絵で可視化する。特にso whatで書いてみる。
6. 考えの精度を高める、想像力を働かせる
・集中して考えるために、優先順位を付け、他の問題は切り捨てる(寝かせる)。あえてやらないことをリストアップする。同時に色々考えずに、途中まで考えたら一旦紙に記録するか結論を出す。時間制限を設ける
・普段から素材集めをする。疑問に思ったことはこまめに調べる
・「ひとり対話」で思考を深める
・考えてばかりでなく、外れてもいいから一先ず決断を出す
・立ち位置を変えて考える(相手・第三者・知り合い)、鳥の目や魚の目で考える、物理的に視点を変える
・時間軸や空間軸を動かして考える
Posted by ブクログ
audio bookで聴読。
法スクールの伊藤塾の塾長。法律の世界は、特に「考える」ことを基本とする世界であるように思えるので、この著者の「考える訓練」というタイトルは興味深く読んでみた(聴いてみた)。
冒頭の「考えるということは、答えを探すこととは違うよ」という指摘になるほどと思った。
現代の情報時代、ネット社会においては、「考えよ」というとネットなどで答えを探しそれを結論とすることが考えることだと勘違いしていることが多いという。考えることはリサーチとは異なるという指摘だ。
誰しも生きていく中で、未知の問題に遭遇することは必ずある。そうしたときに、その問題解決は、結局のところ誰かがやってくれるわけではなく、自己解決せねばならない。その時に、自分の頭で考えて、自分で新しい答えを作り出す力というのが大事だという。
本来の意味での「考える」力を磨くために、どんなことを日ごろから意識し、どのように行動しておれば鍛えられるかのヒントが述べられている。
いくつかの記憶に残った著者の主張のポイント。
①イラツキ、ザワツキを大事にする。
自分と異なる考えに遭遇すると、イラツキ、ザワツキが生じるものだが、そういう時に避けるのではなく、自分と違う考えに触れてみることが大事。
②理由を3つ考えてみよ。
なぜ、なぜ、なぜ。人を説得するときには、理由が一つよりも三つあるほうが、説得の成功率は高まる。
③論理的と理論的は(言葉は似ているが)違う。
理論的は、何かの理論に当てはめること。
論理的は、自分の頭で考えたことの根拠と結論(AだからB)の関係性が明確であること。
④論理的であることの目的2つ
・他人を説得するため(=他人も理解できる→相手の立場にたつ)
・自分が納得するため
⑤IRAC
問題点(=I:イシュー)を、ルール(=R)に当てはめて(A:アプリケーション)、結論付ける(=C:コンクルージョン)。
⑥考えるのやめてみる
すぐに答えが出そうにないもの。一度寝かせてみることで、時間が解決することもある。
⑦決断する
考えるといっても時間は有限。前に進めるためには決断が必要。
⑧想像力を働かせる観点
・鳥の目/虫の目
・自分の視点/他人の視点/第三者の視点
・時間軸や空間軸を動かしてみる
⑨「思う」と「考える」は違う
「思う」というのは偶然、「考える」というのは目指すゴールがある。
などなど。