【感想・ネタバレ】スラップスティック 3のレビュー

あらすじ

いまだ不良がはびこる田舎町。中学生の兄・秋介(15才)は、“先輩” “立場”に関係なく売られたケンカは必ず買い、勝ち続け、弟・春人(9才)の日常もますます緊張を増していく。そんな兄弟に忍び寄る、地元最凶の暴走族「湊」の影、そして、静男にいちゃんとの別れの時―――!
著者が全身全霊を込めておくる、《ほぼほぼ実話》の衝撃作! <第一部>クライマックス!!

【収録エピソード】第13話/気に入らない気に入らない、第14話/最強の男、第15話/キノコラーメンと教訓、第16話/続・最強の男、第17話/別離、第18話/「家族」

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家庭は子どもにとって最小単位の社会である。その社会が荒れ果てていたら、どうすればいいのだろう。子どもにできることは何もなく、ただ環境に順応していくしかない。たとえ、その環境が異常だったとしても。

兄は不良で、母はどこかずれていて、自分は不出来。そして、家はプレハブ。極貧家庭で育ち、兄と母に振り回され、だんだんと変調をきたす春人。早く兄と母から逃げ出したくて、大人になることを望んでも、9歳の春人にはまだ長い道のりが必要だった。

《ほぼほぼ実話》と書いてある通り物語は淡々と進み、誇張表現を選ばない。同作者の『100万円の女たち』や『俺はまだ本気出してないだけ』と同様に、悲劇を悲劇として消化せず、一つの出来事として記述する。特に今作はその表現が光り、自分1人ではどうにもならない不条理に対して麻痺し始める春人の感覚とリンクする。セリフにも絵にも何も無駄がないことで漂う冷たい温度感は、彼の家族ないしは社会への不信感だろう。彼にしか描けない、強い作品だ。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

本巻で第一部終了、第二部は第一部から3年後の18歳と12歳になった秋介と春人の物語になるらしい。1巻のところでも書いたが、本巻で春人は東京に行ってマンガ家になりたいと思うシーンがあることから、春人が作者本人だと思われる。作者の「青野春秋」という名前も兄の「秋介」と自分の「春人」をから命名したのかな?第二部早く読みたい!!
あと、作者の別作品の「五反田物語」と現在ビッグコミックスピリッツに連載中の作品(題名忘れました)も面白い。「俺まだ」はあまり好きじゃなかったが、スラップスティックを読んだ後の今読み返してみたら、もしかしたら見方が変わるかも。

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2016年01月23日

Posted by ブクログ

母子家庭で暴力的な兄と虐待する母親の家庭で生活する主人公の少年。
たくましく生きてはいるけど、周りからの愛が少なくて心に傷を抱えている。
淡々とした絵でカラリとその心情を描いている。
あまり救いのない話ではあるが、余韻の残る作品。

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2016年04月23日

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