あらすじ
斡旋屋に島の水道工事のアルバイトとして送り込まれた若者が、島のヤギから搾乳しチーズを作るという、無謀な夢にとりつかれる。 湿気の多い南国でチーズを熟成させることの難しさ、島の複雑な人間関係と恐るべきタブー…… すべてを乗り越え「至高のチーズ」はできるのか? ミステリアスに鼓動する小さな島を舞台に、生きることの圧倒的な奥行きが浮かび上がらせる傑作長編小説!
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Posted by ブクログ
『あん』を読んでドリアン助川の作品の良さを感じたので新刊も読んだ。いろいろな事情を抱える男女3人が見知らぬ島で働き、命の大切さなどを学び、それぞれが成長していく姿を描いている。途中、残酷なシーンがあり泣いてしまったが私たち人間が生きていくためには命をいただく事は必要なので、受け止めるべきだと自分自身に言い聞かせた。ピンザを通して主人公や読者も成長をする作品だと感じた。
Posted by ブクログ
一気読みした。
最近、軽めの本が多かったから、しっかり読んだという満足感。
ただ、最後が物足りなかった。台風後の島の様子を書いてほしかった。書かれていないのが良さなのかもしれないけれど、手紙の内容とか先生のこととかいろいろ気になって……。
「命あれば」とよく言われえるけど、ほんと生きてさえいれば、やり直せるんだろうね。
「敗北は大事ですよ」というハシさんの言葉は重みがあった。
Posted by ブクログ
芯に迫る言葉はいくつも出てきたけれど、物語じたいはあまり目新しさはなかったように感じた。ラストで何か変わるかな、と期待しながら読み進めたけれどわりと予定通りだった気がする。チーズはたべたくなった。前の読んだ本でも感じたがこの作者は食べ物を書くのが上手い気がする。言葉の使い方が上手だからかなぁ。
Posted by ブクログ
とある島で暮らすことを決めた若者の話。
自身の弱さを知っているだけに、生きづらい人生を送ってきた主人公。島は閉鎖的な空間にありがちな住む人たちだけのしきたりがあり、人間関係があり、余程のことがない限りよそ者を歓迎することはないと思える。
そこで、死んだ父親の夢であったチーズを、かつての父の親友と完成させようと奔走する。そして、自身の欠落した部分を埋めていく。
島の自然やピンザ(ヤギ)などは生命力があふれていますが、島に突き出す急峻な山岳、山道の別れ道、断壁、森の原生林、海につながる洞窟など、位置関係や映像がうまくイメージできず。自分自身の想像力が足りないのか、疲れているのか・・・。
最後をあえて書かないことの選択は想像力の足りない私でも余韻を楽しめた。