あらすじ
いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。『サクリファイス』『タルト・タタンの夢』などで話題の著者が、海辺の町を舞台に、青年のひと夏の冒険と成長を描く、切なくてさわやかな青春ミステリー。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
滅茶苦茶面白かった。
近藤さんの作品の中で一番心が揺さぶられ、傑作だと思った。
私は白黒ハッキリする考えが好きである。
が、このミステリーに関しては、真実を知った時、どちらでもいいように思えた。本当に。
どちらが殺して心中に見せた、でも、いいと思った理由付けが本当に美味いと思った。
最終的には、真実をハッキリさせたのも良かった。
すごく良かった。
いやーやっぱり近藤さんの作品は最高です
Posted by ブクログ
・「どちらかがどちらかを殺して、一緒に死んだの」
・「あれは心中事件であり、もしかすると殺人事件だったかもしれない。でも、わたしと妹はあの日、父と母に捨てられたの」
・「心中だとしたら、わたしと夢ちゃんはふたりから捨てられたことになる。でも殺人ならば、どちらかはわたしたちを見捨てたわけではないと信じられる」
・華子は娘を守ろうとして、プリントを水没させた。夫が命よりも大事にしていた作品よりも、娘の未来を選んだ。
無理心中ではなく殺人事件だった。でもこれは娘を思って行ったもの。愛する娘を守るために母は犯罪者になったと思うと悲しい。それにしても夫はそこまでしてヌードを撮り見てもらいたかった理由がわたしには分からなかった。なぜヌードなのか、ヌードではなければふたりは死ぬことは無かったのに。
Posted by ブクログ
自分の祖父母の心中事件の真相を追う高校生。飛行機に乗って東京に行ったり、凄いなーって思った。アクティブ!そして真相を知ってしまったあとの対応が大人で感心しました。
近藤史恵さんの本はやっぱり好きだなー
Posted by ブクログ
近藤史恵さんも好きな作家さんの一人。
この本は27冊目。
四国の南側にある磯ノ森が舞台。
進学校1年生の大江光介は旅館で働く父、専業主婦である母の夢と三人暮らし。
古い自宅の表はシャッターが下りたまま。
祖父が写真展を営んでいたらしいこと、祖父母が海で心中したことは母から聞いていたが、それ以上のことは知らない。
ある日、母・夢の姉である芹とその娘双葉が東京から引っ越してくる。
祖父母の心中事件の真相を探ろうとする芹。
光介も祖父母のことを調べ出す。
そこで明らかになったこととは…