あらすじ
欧州経済の危機は終わらない――ユーロが抱える「構造矛盾」を看破し、欧州崩壊のシナリオを予見した名著!
平和と経済統合の理想から出発したユーロは、当初からの構造矛盾を克服できず、南欧諸国の経済危機を拡大させている。この経済・金融危機は全世界を震撼させる大恐慌へと発展する勢いだ。独仏伊など欧州各国の利害対立や、国際機関の行動、深まる危機の様相を明快に解説。
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Posted by ブクログ
ユーロの欠陥、財政統合されていないこと、とかみたいなありきたりなことが書いているだけじゃなく、ターゲット、ユーロ崩壊の場合の過程についても書かれてておもろかった。多分また読み返すだろうね。
Posted by ブクログ
前回のユーロ危機(ギリシャ危機)の直後に買ったままで放置していたが、またぞろ「ギリシャ危機」が再発したので、慌てて読み出したが、専門用語がバンバン出てくるし、新書にしては内容もかなり専門的。それなりの専門知識がないと、途中放棄したくなるので、それを覚悟で読んで下さい。例えば、ESM、ECB、BVG、CDU、EFSF、SPM、GIIPS、LTRO、SMP等々皆さんどれだけ答えられますか?
歯応えは十分過ぎて、刃毀れする程の感じで、読み応えのある本だと思いますが、新書ならもう少し易しく書いて欲しかったと思います。
内容は要するに、ユーロについては、
①「最適通貨圏の条件」を満たしていない地域に「共通通貨」が導入されたこと。
②「政治」もしくは「財政」の統合を実現しないままで「通貨」と「金融」の統合を実現したこと。
それは第2次大戦後の欧州の夢が、現実を追い越して走り出した事に起因しているのかも知れない。
彼らは政治的な意思を集結させ、一歩一歩改革を実現していった。こうして成功がさらなる成功を呼ぶプロセスが生まれた。そしてそのことをジョージ・ソロスが「欧州の統合拡大と、現在起こっているその崩壊とはともに一種のバブルだった」と指摘しているのには驚いた。まさに金融バブルの発生と全く同じプロセスだった。
現実には欧州中央銀行のドラギ総裁の奮闘で、辛うじて危機は逃れたが、当時の著者は、「ユーロ持続」と「ユーロ崩壊」のどちらの可能性が高いかと言えば、「崩壊」のシナリオがより現実的と言う。(2012年の時点。現在は撤回???)
問題国に対しては、不況の最中にドイツ主導の極度の緊縮財政を強行し、増々不況が深刻化し、財政状態もさほど改善することもなく、国民の不満が一点に集中する。何に集中するかと言えば、それは「ドイツ帝国」だと結ぶ。