【感想・ネタバレ】<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのかのレビュー

あらすじ

『ワンピース』『進撃の巨人』『奇生獣』『スターウォーズ』『半沢直樹』、そして宮崎アニメ。現実と異なる「世界」を「人間」より優先して描く大作エンタメはなぜ成立する?なぜ<面白さ>は伝わるのかを徹底解析!

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Posted by ブクログ

・「世界」とは、人間の周囲を構成する「環境」のこと。
「現実感」、すなわち「人間的現実」は、人間が具体的な「環境」を感覚で捉え、解釈することによって生み出される。
この「環境」を構成する要素として、「空間」「時間」「社会集団」が重要。
「現実感」を支える感覚を、「空間感覚」「時間感覚」「社会感覚」に分けて考える。

・文化人類学は、自らをセンサーと化して、ある社会の「人間的現実」を、五感と人間的知能を持って吸収するプロセス。

・トトロと「照葉樹林文化論」

・ポイントは、観客たちに馴染みのある当たり前の「人間的現実」を、いかに作品の「人間的現実」に接続するか。
宮崎は、観客たちに馴染みのある当たり前の「人間的経験」の中から、あまりに無意味なゆえに気づかれないまま放置された、「植生」という要素を系統的に抽出して作品世界の中に組み込む事でそれに成功した。
宮崎の提示した「オルタナティブな日本」は、その強烈な「体感性」ゆえに、多くの日本の「人間的現実」とリンクしていった。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

エンタメコンテンツを登場人物のキャラの掘り下げではなく、【世界観】から分析した本。
文化人類学者がどうエスノフラフィをしてきたのか、それをもって世の中を観察し世界観を構築するとはどういうことかがよくわかる。
なぜこのエンタメ(映画、漫画、小説)は面白いのか、を時間感覚やひとつのセリフからの世界の広がりなど多様な面から分析している。
エンタメの考え方の基礎となる良書。何度でも読み返して噛み砕きたい。

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2015年09月22日

Posted by ブクログ

<目次>
序章  エンタメの研究~文化人類学から考える
第1章 空間感覚の研究~『スター・ウォーズ』『となりのトトロ』『精霊の守り人』
 1.「宇宙空間」に挑戦する
 2.異世界をめぐる感覚論
第2章 時空感覚と社会空間の研究~『千と千尋の神隠し』『ワンピース』『進撃の巨人』
第3章 人間の世界の研究~『踊る大捜査線』『半沢直樹』そしてゾンビ
 1.社会的時空の「面白さ」
 2.社会的時空を描く
第4章 ”居住区館の外”の研究~『J・ホラー』と『寄生獣』
終章  私小説的な「世界観エンタメ」の研究~『エヴァンゲリオン』と『失踪日記』
おわりに

<内容>
文化人類学者にしてマンガ家の著者による、映画・マンガ・アニメ・小説・ドラマの「面白さ」の研究。学者なので表現が小難しい部分があるが、ホントにこうした絵回が好きなのだとよくわかる。特に文化人類学の研究の仕方が、小説や漫画などのフィールドとよくマッチしているという指摘は鋭い。エンタメが描こうとしている世界は、文化人類学と同じであり、そこに気づいてここの書かれているようにアプローチした作品は、ヒットしている、との指摘は目から鱗だった。

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2015年06月05日

Nao

購入済み

途中で離脱しました…

「〇〇」「●●」みたいに強調が多くて読み進めにくく、途中でやめてしまいました…。

自分の知らない作品を例に解説した部分はさすがにわからず…。
興味深いテーマなだけに、自分には読み進めることが難しかったのが残念です。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

人類が古代には土地を奪いあい、現代ではエネルギーを奪いあい…さて次は「時間」なのでは。というのが面白かった。
確かに、落語などの1時間、30分のお笑いが、テレビによって5分、3分と短縮され、さらに動画アプリなどで1分、20秒とわかりやすいインパクト重視のエンタメになっている現状を見るとこの先、どうなってしまうのだろうと心配のほうが大きい。

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「スターウォーズ」、ジブリ作品シリーズ、「精霊の守人」シリーズ、進撃の巨人、ワンピース、踊る大捜査線、始め、国内外問わず、エンタメ界を牽引するヒット作品の考察。どれも自分の好きな作品だったので興味深く読めた。
ワンピースの、外の世界に出ようとする設定と、進撃の巨人の、ウォールの中に何としても留まろうとする設定の比較など。
ワンピースは幾何学的に組み替えることによって、世界空間を平面方向に向けて東から西へ階層化している、との考察も面白い。
著者の興味の持たせ方が大変うまく、「寄生獣」が読みたくなった。
掘り下げていくと、こういったエンタメの設定って面白いんだよね。ネタは尽きることが無いと思う。これからも世の中に多くの素晴らしい作品が生まれますように。そして私もいつかそれにどんな形であれ、携われると良いな。
興味のない部分は飛ばしたけど。
・ワンピースの世界観のミソは、それぞれの島が他から切り離され、次にどんな島があるかわからないというところにある。
・中盤以降の盛り上がりの舞台となる「グランドライン」は、地磁気が乱れて方位磁石が使えないという設定。しかし個々の島は、ある種の神秘的な磁力のようなもので他の島と引き合っており、この磁力はそれぞれの島に一定時間留まることで「ログポーズ」に蓄積され、
次の島への航路が主人公達に差し出される。
・多くの巨匠達に共通するのは、彼らが謙虚な「アーティスト」だということ。

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2015年11月20日

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