あらすじ
砂礫に投げ出された体、傍らにある突撃銃AK47、残骸となった軍用ヘリUH‐1ヒューイ…一体、何が起こったのか? RASDのポリサリオ戦線に軍事訓練を施すため招聘された傭兵の檜垣耀二は、敵対するモロッコ秘密警察に拉致され、訊問を受けたらしく記憶を失っていた。機体に残されたアタッシェケースの中身……政治的にも軍事的にも機密情報とは見えぬ謎の書類を巡り、闘いが始まる。
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Posted by ブクログ
日本人傭兵 檜垣穣二シリーズ第3弾。
さすが笹本、日本人作家で冒険小説書かせたら屈指の出来。本作もスケール大きく、うんちく描写も素人に分かりやすいす、文章にリズムがあって、まずは安定の合格点。
ただ、ちょっと散漫な感じもするかな。主人公を記憶喪失にしてピンチ感を煽る手法を、禁じ手とは言わないけど、描写に記憶喪失前後の差が感じられず、その分展開に差をつけようとしているようだが、その結果、後半部分が非常に散漫になっている。
悪役も後半バタバタしすぎて、随分弱っちくなってしまっているし、ヒロイン、味方、コミカルリリーフに至るまで、動きにバタつきが感じられる。アクションや冒険描写にスピード感は大いに結構だが、バタつくとリズムが狂って読みづらくなる。名手笹本稜平らしくないなと思ったが、この作品でこの手の冒険小説に一区切りつけようとして焦ったのかも知れないな。