【感想・ネタバレ】現代講談 松下幸之助 その発想と思想に学ぶのレビュー

あらすじ

いまITビジネスの世界では、若い有能な経営者が続々と誕生しているが、世界的な企業になったソニーもホンダも、現在のITビジネス同様、創業当時は熱気盛んなベンチャーであったにちがいない。パナソニックのブランドで世界の電気業界のトップの一つに数え上げられる松下電器も、その例に漏れない。本書は、その松下電器の創業者である松下幸之助の生い立ちから、死を迎える直前まで情熱を傾けたPHP運動を始めとする警世家としての晩年までを、著者独自の解釈を織りまぜつつ描いた、いわば『渡部版松下幸之助一代記』である。本書で興味深いのは、いま多くの企業が「儲け一辺倒」に偏りがちなのに対して、馘首自由の時代にあって、不況時にもクビを切らなかったというような、日本的経営の原点がその創業当初から見られる点である。日本的経営は終わったといわれ、新しい経営が模索される中で、今一度、経営とは何かを考えさせられる興味深い一冊である。

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Posted by ブクログ

松下電器の創業者・松下幸之助の評伝。

著者は、松下幸之助が経営者として優れているだけでなく、「繁栄を通じての平和と幸福」(Peace and Happiness through Prosperity)という独創的な思想を築いた、日本が世界に誇るべき思想家だと言います。古今東西の多くの思想家や宗教家が「平和」と「幸福」を説いてきましたが、「繁栄」を通じてそれを実現するという思想は多くありません。そうした思想の先駆としては、我が国の石門心学などの例もあります。その意味でも、「PHP」の思想を現代に活かした松下幸之助という「思想家」は高く評価されなければならないと、著者は論じています。

ただ、著者自身の思想が前面に出すぎているような印象もあります。「PHP」の思想の意義を読者に伝えたいという意気込みも理解できるのですが、松下幸之助という類まれな人物の客観的な伝記に徹しても、十分にその魅力は伝わってくるはずではないかと、個人的には思いました。

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2014年02月26日

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