あらすじ
「私が友保阪嘉内、私が友保阪嘉内、我を棄てるな」と賢治に言わしめた盛岡高等農林学校時代のただ一人の友、保阪嘉内。才気煥発、明朗闊達な彼に強く魅かれ、大きな影響を受ける賢治。だが、二人の交流は賢治の国柱会への傾倒をめぐって変化し、やがて訣別してしまう。『銀河鉄道の夜』をはじめとする厖大な作品群の成り立ちと実生活の謎の数々を、二人の友愛を裏づける多くの資料をもとに解き明かす、画期的かつ衝撃的な賢治研究の新成果。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書は「宮沢賢治をもっとよく知りたい」と思っていた 自分には最適な本で、読んでとても良かったです。 難解な宮沢賢治作品を読み解くには必ず読んでおくべき本ではないでしょうか。 正直、自分は宮沢賢治作品は神聖化されすぎ ているきらいがあるし、 そういった気持ちでその作品を読んでいるので、 いまいち楽しめていませんでしたが、 この本をきっかけにフラットな気持ちで宮沢賢治作品を読み返してみたいと思います。
Posted by ブクログ
とても興味深く素晴らしかった。銀河鉄道の夜は本当に好きな作品で、数えきれないくらい読み返しているけれど、カンパネルラは賢治の妹だ、という説を聞くたびに違和感を感じていた。なぜなら、ジョバンニのカンパネルラの思いは、他の作品で見る妹への思いとは余りに違いすぎる気がしたから。
だから、この本の説には感覚的に賛成だし、すとんと納得できた感じがします。
この説が、本書に書かれているようにそんなに重要視されていないなら非常に残念なことだと思う。
本の中で「今後も研究を続けたい」と書いてあったので、他の作品を読みたくて調べてみたら、見つからず、亡くなったような情報も見つけて、非常に
ショックを受けました。
Posted by ブクログ
コレ、いい。
だれか、コレを原作にして、小説かマンガをかいて欲しいです。
そのとき、その作品が、やおいよりになってもいいや…とか、極道なことをちょっと思ったりもしました。
やおいの表現ていうのは、行為そのものが大事なんでなくて、それぐらい強い思いなんだということをわかりやすく表現するためのものなんだと思います。
この解釈が正しいかどうかは、僕らみたいな人間にとっては、実は、どうでもいいんです。
ただ、ここで書かれる宮沢 賢治は、今まで見たどの宮沢 賢治よりも、素敵で魅力的です。
等身大であり、悩む人でありながら、純粋で神聖なところも、ちっとも失われていない。
すばらしいです。その迷いが、いつまでも人を引きつけるという解釈も、とても好きです。
この手の評論の本って、情感にうったえるものよりも、知識が増えたという感じのものが多いのですが、これは、心にグッときました。
馬場 あきこの「鬼の研究」に匹敵する名著です。
Posted by ブクログ
「銀河鉄道の夜」を解く鍵は賢治と嘉内の友情にある。
保阪嘉内とは、盛岡高等農林学校の1年後輩で、
同人誌「アザリア」の同人であった人物だ。
その明朗闊達な彼に強く魅かれ、
大きな影響を受ける賢治だった。