あらすじ
トマス・クイックと名乗り、三十人以上を殺害したと自白して八件で有罪判決を受けた男。恐るべき事件の裏側には、驚愕の真相が隠されていた……ジャーナリスト、ハンネス・ロースタムは執念の調査の末、想像を絶する真実を暴き出す!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
トマスクイックと名乗り、30人以上の人間を殺し、遺体の一部を食べたと自白していたスウェーデン人の犯罪者を記者が掘り下げた話なのかな~、と思っていたら、実はそれがすべて冤罪だったという恐ろしい話。
第1部で、トマスクイックが犯罪を自白して有罪が次々と確定していった最後に、実は自分は殺していないんだ、と作者に話す部分を読んで、鳥肌が立ちました。これが随分と昔の話というのであればまだしも、2000年代に入ってからこんな大規模な冤罪が。
第2部は主に著者がひたすらトマスクイックの取り調べや判決について詳細に調べていくシーンが描写され、最後の第3部が、それまでの流れが覆っていくやりとりがまとめられています。
人生に一度だけ、自分は冤罪で市長をやめさせられたんだ、という人に会ったことがありますが、こういうことが実際に起きているんだな、と思い出させられました。
とにかく衝撃の次々と出てきて、かたずをのんでいる間に終わってしまった印象。厚みも重みもありますが、読む価値十分の一冊でした。