【感想・ネタバレ】狩人よ、故郷に帰れのレビュー

あらすじ

動物と植物の未分化な葉状生物フィトが繁茂する無名の惑星。この無害な土着生命を全滅させる惑星改造計画の一員クレイグに対し、研究者ミドリはフィトの異質な知性の驚異を説く。だが、フィトを駆除すべく禁断の遺伝子組み換え植物が導入され……テラフォーミングにまつわる倫理的問題に切りこんだ、先駆者にして不朽の宇宙生命SF。第46回星雲賞海外短編部門候補作。(本書は中村融編訳『黒い破壊者 宇宙生命SF傑作選』の収録作を単体で電子書籍化したものです)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

いいですねー!読み応え十分、SFならではのエレガントな短編集です。

地球人類以外の宇宙生物・宇宙生命をメインテーマに据えた日本オリジナルの短編集。雑誌掲載後に単行本されなかった幻の作品を敢えて取り上げるとの方針の下、なかなかお目にかかれない珍品が粒ぞろい。
いずれも1960~70年代のかなり古い作品ばかりです。が、21世紀の今読んでも、ほとんど古びていない確固たる世界観と生態系の構築。鴨の個人的な感触ですが、SFの本質とは「変容を描く文学」だと思っています。凡百の地球人類には想像もできないような、異質で、でもその存在を否定することはできないような世界の構築。そうした題材を描き出すキャンバスとして、生態系の構築はうってつけの題材なんですね。

SF者なら知らぬものはいないであろう、ヴァン・ヴォークトが生み出した怪物「ケアル」はまぁ別格としても、鴨的にはジャック・ヴァンスの構築した世界観のさすがの貫禄が印象的。徹底して地球人類の目線で淡々と描写しながらも、異星生物の未来への挑戦を詩情豊かに描き出したこの美しさ、並行して成立するSFサスペンスとしての完成度。華やかさやキャッチーさからは無縁ながらも、渋いカッコ良さに痺れましたね!これだから古いSF読みはやめられませんよ!

他の作品も読んで損はない佳作揃いですので、SF好きな方はぜひチャレンジして欲しいですねー。

0
2015年07月13日

Posted by ブクログ

the black destroyer, like a Panther and the other SF creature. l want to make an another black destroyers long story .

0
2017年02月21日

Posted by ブクログ

中村融編「宇宙生命SF傑作選」は、以下6篇収録。
・リチャード・マッケナ「狩人よ、故郷に帰れ」
・ジェイムズ・H・シュミッツ「おじいちゃん」
・ポール・アンダースン「キリエ」
・ロバート・F・ヤング「妖精の棲む樹」
・ジャック・ヴァンス「海への贈り物」
・A・E・ヴァン・ヴォークト「黒い破壊者」

宇宙生命を取り扱う作品ときくと、どうしても映画「エイリアン」のように、宇宙に進出した人類とグロテスクな容姿をした生命体との手に汗握る攻防…という作品が連想されます。しかし、本書でそのような作品はヴォークトの「黒い破壊者」のみ。それ以外は、編者があとがきで言及するように生態学(エコロジー)に焦点をあてた作品です。
そんなエコロジー的SF作品の中でも、とりわけ面白かったのは、ジャック・ヴァンスの「海への贈り物」。
地球から遠く離れたとある惑星。海で満たされたこの惑星を調査するクルー一行。ある日、突然、仲間のひとりが調査用のいかだから姿を消した…
地球外の知的生命体とのコンタクトを扱った作品を読むのは、本書が初めてというわけではありませんが、より緻密にコンタクトの過程を描いた作品として、本作は読み応え十分。潜在的な恐怖を感じる海を舞台にしたことも、不穏な空気を感じられて、ほどよい緊張を感じつつ読み進めることができました。

0
2015年11月15日

「SF・ファンタジー」ランキング