あらすじ
ロンドンの女優エステラ。彼女の絶大な人気は、娘ドロレスとの交流を綴った新聞の連載エッセイに支えられていた。体が不自由でウェールズに住んでいるという“愛しいあの子”。夫のアルはシカゴの大物ギャングで、妊娠中のエステラに暴力をふるった危険人物だが、服役中。エステラの未来は順風満帆に思われた。アルが病気のため特赦で出所し、死ぬまえにどうしても娘に会いたいと言い出すまでは……。そしてついに勃発した怪事件に挑む、チャッキー警部。巨匠の技が冴えわたる、本邦初訳の傑作ミステリ!
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Posted by ブクログ
クリスティに並び賞される(らしい)イギリスミステリー界の女王、クリスチアナ・ブラント晩年の傑作長編…というのは完全に聞いてきた話の受け売りで、この本を手に取ろうと思うまで、作者については全くの無知であった。
うん、確かにオモロい。20世紀の欧米ミステリーテイストに溢れた良い作品である。少々古臭い部分があるのは古典だから。例えば探偵役のチャッキーは今風にみるとカッチョ良くはないし、推理の冴えもちょっとなぁ…とは思うんだが、例えばホームズ、例えばポアロだって今風に見れば、人格破綻のイメージもあるわけで…。
トリック部分も今となっては「えー、そうなの!」と驚くほどではないものの、そこに至るまでの物語がきちんと書き込まれててそれを読むのが気持ち良かった。
古典ミステリーを読んで、ちょっと風雅を気取る時間も良いものだな。
Posted by ブクログ
某角川映画原作作品のように、最初は倒叙作品の演出(エステラ視点で固定)にして徐々に視点を切り替えていく形にした方がすっきりとまとまった気がする。クリスチアナ・ブランドは多くの登場人物がそれぞれ大騒ぎしている中に伏線とミスリードを上手く盛り込んでくるのが得意だと個人的に思っており、登場人物の少ない「薔薇の輪」は本領発揮があまり出来ていない。なおマスコミと芸能人に対する皮肉な視線はいつもの筆使い。スヴェンガーリについては「悪魔スヴェンガリ」という映画を例に挙げた方が分かり易かったような…本筋に全く関係ない所では、矢鱈に"まんいち"という言葉を使用していたのが気になる。