あらすじ
1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく……彼らにいったい何が? 少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作。「復刊ドットコム」で絶大な支持を得た傑作サスペンス、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
ジョナサンとリチャードの美しく怪しい関係性に心奪われ青春を感じるが、気がつけば1人また1人と心が壊されていく。独占欲の恐ろしさを巧みに描き、誰一人として幸せになれない結末は見事。
Posted by ブクログ
「きみに手出しするやつはだれだって、このぼくが殺してやるからな」
一日一度声に出して読みたい帯文。
もう冒頭から引き込まれまくり。
何より、登場人物の背景がそれぞれ詳述されていて、誰も彼も一筋縄ではいかない。
大人だろうと子供だろうと、容赦なく襲う理不尽と虚無、そして孤独。
そんなそれぞれの心のほころびに、リチャードとジョナサンの結びつきが入り込んでしまった。何たる悲劇。
リチャードがもっと魅力のない少年だったらよかったんだよね!!そうしたらきっと、ジョナサンもジェームズもここまで彼に入れ込まなかったと思うんだ(腐目線の感想)。
もう、リチャードがジョナサンにロックオンしてからの恐ろしさ。
リチャードは愛することと憎むことが一体となりすぎちゃったのかな。
愛されたい、憎みたい、甘えたい、壊したい、それらの異常な執着が相手を「庇護」するという形になってしまったのか……
ジョナサンをずっとずっと守りたいと、それだけは思っていたのではないか……
二人でこの世界を滅ぼして、楽園に行こうくらいは本気で思っていた気がする。
「力」は、召喚した少年たちが幼いがゆえに、さらに残酷になった。
それにしても残った少年たちのその後の人生を考えても、起こったことがあまりに悲惨過ぎ。
いや、圧巻の長編でした。
Posted by ブクログ
出会ってはいけない二人だった。
寄り添ってはいけない魂だった。
気弱で自信のないジョナサンと一匹狼でいつでも毅然としているリチャードが仲良くなっていじめっこを“めっ”する(滅する)感じのお話でした。
生徒からのいじめも読んでてつらかったが、先生のジョナサンへの当たりの強さも相当ひどい。だから、ざまあみろって思った。
まぁ、最後はジョナサンもリチャードも死ぬわけなのだが……きっとこれで良かったのだと思う、思いたい。片方だけ生き残っても苦しみしか残らない。
でも、二人とも良いキャラだったから霊応盤さえ無ければ違う関係を築けたのかなと思ったりもしたけど、どうなったにせよ破滅へ繋がりそう。
リチャードのようになりたいジョナサンと、ジョナサンを庇護したいリチャード、歪んだ共依存だ。
ジョナサンに関しては、誰とも親しくしないリチャードが自分にだけは微笑んで言葉をかけてくれることに優越感を持っていただろうな。
脳内お花畑人間なので、次の人生でもまた友人関係になって、今度はしわくちゃのお爺ちゃんになるまで寄り添っていてもらいたい。
Posted by ブクログ
久し振りのたのしい読書
寄宿学校というだけで好物(笑)
友情と同性愛といじめと霊的なものがテーマかな
あとアイドリング憎しみ?
すこ楽しかったので
またあとで感想たします
Posted by ブクログ
友人におすすめ頂いた作品。
読み応えもあり面白かった。
一番初めに思ったのは『気弱』の認識の違い。このぐらいなら普通では…?と思ってしまった。
二人が知り合って親密度が上がるにつれ激しさを増すリチャードと困惑しながらも離れられないジョナサンの描写もさることながら、周りの人物の物語もおもしろい。
それぞれの人物が抱えている問題、ずるさ、葛藤、性格…。それぞれで起こる不幸の発動は二人が発端のようだが、その原因はそれぞれの人物にあるという収まりが良い。
オチまで何とか現実的な原因ではないかと推測していたが結局ソッチかーいっ!となった。むしろ好きな部類なのだが、現実的な原因が欲しかったと思ってしまった。
Posted by ブクログ
面白かった。でもモヤモヤする。読んだ後の後味は良くない。そこも含めて面白いんだけど…
題名の霊応ゲームは、この物語において重要な鍵になっているはずなんだけど、それについての深い言及がなかった。日本語に訳す前はThe wishing gameで、読んだ後はそっちのほうがしっくりくる。
主役がだれか分からなくなるぐらい、登場人物全員が濃いキャラクターやバックグラウンドを持っていた。みんな、心に秘密や後ろめたい気持ちを隠していて、それを暴かれるのを恐れている。最後のあたり読んでてあれっこれってニコラスが主人公?ってなった。
最後にジョナサンが願ったことって何だろう。
私は2人の友情が偽りや勘違いじゃないって信じたい。
私個人的にはリチャードとジョナサンがうまくいって欲しかったよ。実はこの話はニコラスの妄想って言うオチを期待したよ。リチャードやばいやつなのに、スーパーヤンデレマザコンサイコパスなのに、、、
Posted by ブクログ
映画でも見てみたいと思える作品だった。
死んだ者も、辛うじて生きながらえた者も誰一人として幸せにならないバッドエンド。
唯一、ハワード校長と妻エリザベスだけはマシとも言える。
バッドエンドなのにそこまで気持ちが落ち込まなかった。何故なのだろうか。
本書はもちろん物語が進むにつれて破滅へとじりじり読者を誘う。
おそらく、悲しさよりも物語自体の展開の面白さが勝っていたのかもしれない。
600Pを超える久しぶりの長編にも関わらず、中だるみせずに読み終えることができたのは作者の凄さだなと。
書評の大矢さんも書かれていたが、
ジョナサンが教科書を忘れてさえいなければ...。
そもそも二人は交わることが無かったのである。
運命の悪戯とは、こういう小さなきっかけで大事件へと繋がるのである。
リチャードは一見悪の権化のように見えるが、彼のような子は現代に幾らでも存在している。
そして、ジョナサンも同様である。
本書に登場するキャラクター達は全員、傷や罪を負いながらも生きている人たちである。
これは私たち現代にも通ずるところである。
表面的に接している分には見えないが、壁の1枚をぺらりと捲るとそこにはそれぞれの地獄を抱えていたりする。
どこにでもいる少年たちの危うさを極限まで書き切った素晴らしい作品に会えて良かった。
Posted by ブクログ
フォロワーさんが買われていたのを見て、自分もと購入。
(この小説の登場人物、しょっちゅう会話の最中で怒鳴るよね)
「誰しも、脛に傷があるよね」という前提が、悲劇のドミノ倒しを生んだ感がある。
アラン先生の件は、今ではそんなに非難されることではなかったよなー……と思った。
Posted by ブクログ
なんか…思ってたよりあっさり終わった感じ。
リチャードが何かしらの異能を使っていたかどうかは定かではないけれど、子供の器に有り余る憎悪と、それにあてられた心優しく弱いジョナサンという心許してもいい(かもしれない)相手、多感な年頃故に言葉に・形にすることで信じてしまう力が相まって、本当は偶然で済むことを、大人達の秘密を巻き込んでの大事になった、という感じかなぁ。
大人たちはまぁ自業自得なんだけど、死んだ少年たちはリチャードの、ジョナサンへ対する力の誇示であっただけのような気がして、美しく賢い少年というのは残虐性を持ち得て絵になるというか、ん~…。
「霊応ゲーム」という子供特有のお遊びを題材にした、一人の孤独で頭のいい子供の大量殺人、という流れでもいいんだけど。
もし、本当に、ジョナサンとリチャードがたかがゲーム、されど信じる力で「何か」を生み出し、または呼び出し、その力をもって嗜虐の限りを尽くしていたとしたら。など、リチャードの不可解な死に様に納得いく説明がなかったので。もしかしたら契約違反をしたのかなーとちょっと思いました。
例えば、力を貸す代わりに、ジョナサンには「ゲームのことを口外せぬこと」、リチャードには「ジョナサンを手放さぬこと」…ニコラスにはなんだろうな、彼は契約を破っていないのかも。
彼らだけに見えた、仮に悪魔と呼ぶとして、それはリチャードの母親の形をしていたのかもしれないし、ジョナサンにはリチャードの憎悪の象徴に見えていたかもしれないし。恐れや信仰故の正常でない人間心理のデパートのような一冊でした。
全くの余談ですが、片仮名の名前が全く覚えられないので、なんとなく肩書きみたいなものと紐づけして覚えつつ読み進めるのですが、リチャードは王様の名前(イングランド王?)、ジョナサンはカモメの子だなーと思ってたら、かもめのジョナサンの作者てリチャードさんて言うんですね。へー。勉強になった。読む前に知っておきたかった…