【感想・ネタバレ】回想のシャーロック・ホームズ【深町眞理子訳】のレビュー

あらすじ

レースの本命と目されていた名馬が失踪し、調教師の死体が発見された。犯人は事件当夜に厩舎情報をさぐりにきた男なのか?錯綜した情報のなかから絶対的な事実のみを取りだし、推理を重ねていくシャーロック・ホームズの手法が光る「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」。ホームズが最初に手がけ、探偵業のきっかけとなった「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」、発表時イギリスに一大センセーションを巻き起こした、宿敵モリアーティー教授登場の「最後の事件」など、11の逸品を収録するシリーズ第2短編集。/収録作=「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」「黄色い顔」「株式仲買店員」「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」「マズグレーヴ家の儀式書」「ライゲートの大地主」「背の曲がった男」「寄留患者」「ギリシア語通訳」「海軍条約事件」「最後の事件」「解題=戸川安宣」「解説=小池滋」

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

『〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪』
近く開催される予定の〈ウェセックス・カップ〉の本命馬である〈シルヴァー・ブレーズ〉号の不可解な失踪と、同馬の調教師ジョン・ストレーカーの惨死という事件です。馬が無事でよかった、調教師ストレーカーは卑劣だ、と思いました。

『黄色い顔』
ノーベリーに別荘を借り、しあわせに暮らしてきた夫婦ですが、あるときから夫は妻の秘密に悩まされることになります。夫の話を聞いていると、途方に暮れて苦しくもなりましたが、最終的にはやさしい、しあわせな物語でした。
また、ホームズの“見込みは結果的にまちがっていたものの、事の真相だけははからずも明らかになる(p56)”、ホームズにとって“ノーベリー”という言葉が意味を持つようになった事件でした。

『株式仲買店員』
パイクロフトは、コクスン・アンド・ウッドハウス商会を解雇されてしまいますが、ロンドンでも最高に資金の潤沢なモースン・アンド・ウィリアムズで採用されることになります。しかし採用の手紙をもらったまさにその晩、ピナーという男がやって来て多額の給料で雇うと言い、パイクロフトは幸運に舞いあがります。
この話にはやはり、裏がありました。犯人は同情できない、悪党でした。

『〈グロリア・スコット〉号の悲劇』
ホームランが大学時代に手がけた最初の事件の話です。“帆船〈グロリア・スコット〉号で起きた凄惨な事件の記録”と、“トレヴァー治安判事がこれを一読して、恐怖のあまりその場でショック死してしまったという、いわくつきのメッセージ”(p127)にはどんな関係があるのでしょう。トレヴァー氏はどうして船乗りハドスンに頭があがらないのでしょう。
ホームズが“手がけた”と言えるのかはわかりませんが、今の仕事をするきっかけを知ることができてよかったです。

『マズグレーヴ家の儀式書』
奇妙な〈マズグレーヴ家の儀式書〉にまつわる物語です。歴代のマズグレーヴたちが見のがしてきたなにかを、利口者の執事ブランドンと、ホームズが見つけました。

『ライゲートの大地主』
ホームズが二ヵ月以上にわたる捜査の重圧から病床に臥してしまったため、ワトスンとともにヘイター大佐の住む田舎で療養することになります。しかし、侵入盗と、殺人事件が起きてしまい、ホームズも捜査に関わります。その結果、ホームズは以前と変わらない元気のよさになり、田舎で静かに静養するという計画は、ホームズにとって大成功でした。

『背の曲がった男』
バークリー夫婦が口論をした後、夫は息絶え、妻は気を失って倒れていました。とてつもなく奇怪で、わけのわからない事件でした。そして、“卒中の発作による死”という“まるきり単純な事件”(p271)でした。

『寄留患者』
ブレッシントンは、あるときから、何事か、何者かを極度に恐れているような、奇妙にそわそわした興奮状態がつづきます。そしてその後、ブレッシントンは自殺してしまいます。
ブレッシントンが、医師パーシー・トレヴェリアンに投資し、ブルック街で開業させたという話もおもしろいですが、本筋とは関係ないのが意外でした。

『ギリシア語通訳』
まずシャーロックに兄マイクロフトがいるということ、そして彼がシャーロック以上に資質をそなえていることに驚きました。今回はそのマイクロフトから聞かされた一件の物語です。
語学の達人であるギリシア人メラス氏は、月曜の夜にあらわれたラティマーに通訳がいると言われ、辻馬車に乗せられます。その後目隠しされ連れて行かれた先には、顔に絆創膏を貼られた男が脅迫されており、また謎の女性がいました。ワトスンの推理が的中していたのが意外で、自分にわからなかったのが少し悔しくなりました。

『海軍条約事件』
外務省にいるパーシーのもとから、イギリスとイタリアで結ばれたきわめて重要な秘密条約が書かれている灰色の巻き物が盗まれてしまいます。そのため彼は、脳炎をわずらい九週間も寝こみ、衰弱してしまいます。
あまりにも証拠がありすぎたため、肝心な点が隠されてしまっていた事件でした。

『最後の事件』
犯罪界のナポレオンであるモリアーティー教授と、ホームズとのあいだにあった出来事です。彼らはつかみあいの争闘をし、取っ組みあったまま滝壺に転落したと思われます。
モリアーティー教授は急に登場して急に去ってしまっていて、ドイルがホームズものと訣別したかった思いを感じました。でも私はやはりホームズが好きで、こんなにあっさりいなくなるなんて思っておらず、復活するとわかっていても悲しい気持ちになりました。

0
2018年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よくぞまあ、こんなにも短編を創作できるなあ~。
でもドイル先生お疲れだったんだね……
世界のアイドル、ホームズを滝つぼに落としちゃったもんね……

人気が出過ぎると、たとえ著者にもキャラクターは制御しがたいのですな。

馬の失踪の話、面白かった!
カレーかあ。なるほどねえ。
時代的に、インドの描写が多いのも興味深い。

0
2011年09月13日

「小説」ランキング