あらすじ
メーデー、メーデー、こちらセスナ6333A、寂しくてたまらない……謎の疫病により、妻や友人知人のすべてを失った男ヒッグ。一変した世界で暮らす彼の仲間は、愛犬ジャスパーと、ガンマニアの隣人バングリーだけだ。しかしヒッグは、数年前に無線から聞こえてきた声が忘れられない。もしかしてどこかに元の世界が残っているのではないか? ある日ついに思い立った彼は、セスナ機で外の世界に飛び立つが……。人類がほぼ壊滅した後の世界の、絶望と祈りを描く傑作長篇。
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Posted by ブクログ
サバイバルものなのだけれど、詩的な表現で静かな印象
たっぷり時間があって ひまをもてあますような時間に、お茶をいただきながらもう一度繙いてみるのもいいかな
なんて思った
Posted by ブクログ
幻想的な雰囲気の表紙は新潮文庫の宮澤賢治のシリーズのよう。
疫病のため世界は崩壊してしまった。わずかに生き残った者たちはそれぞれの地にアジトを作り生きているが、映画マッドマックスのような自治組織は作れていない。出会った他人はすべて襲撃者とみなし、射殺している。時には子供も。ルールが無い暴力世界では4~5人のグループが限界なのか。
その中でも新たな出会いから新たな家族が誕生する。
世界の再生を感じさせる2機の飛行機が暗示的に書かれるが、著者は世界を描こうとしているのではない。主人公ビッグヒックの個人的な再生の物語だ。ビッグヒックが操縦するセスナの飛べる範囲が彼の世界のすべてで、彼の再生はセスナの飛べる範囲の再生につながる。
終末 暴力 銃撃 出会いと再生 神の存在
文学のためではなく、映画のための物語
Posted by ブクログ
世界中に疫病が蔓延し、ほとんどの人が死に廃墟となった世界。
主人公は、奇跡的に病気に侵されなかった男。
妻は、病気で失った。
乾いた空港に住み、セスナを飛ばすことによって外界と繋がりを持っている。
その、乾いた、空虚な世界が、リアルに迫ってくる。
その空港に暮らす仲間、感染しているが生き延びている家族。そして、男はさらに仲間を探して飛行機を駆る。
ほとんどの人が死に絶えた世界。
その世界に、現実のチェルノブイリ周辺の光景が重なる。
乾いた大地に、津波と放射能の両方にさらされている被災地の風景が重なる。
ほとんどの人が死んでしまった世界。
そこに生き残った、少ない人類が生き続けている世界。
そんな世界が、克明に描写されている。