あらすじ
独立記念日――シグマフォースのグレイ・ピアース隊長のもとに、かつて闘ったギルドの女工作員セイチャンが、重傷を負って助けを求めてくる。その直後、グレイたちはギルドのメンバーに襲撃された。グレイとセイチャンは、巻き込まれたグレイの両親と共に、命からがら逃げ出す。セイチャンは組織のある計画に反発し、抜け出してきたという。その計画とは、マルコ・ポーロと『東方見聞録』の謎にまつわるものらしい。一方、シグマのモンク・コッカリスとリサ・カミングズも、ある島で発生した奇病を調査するため向かった先で謎の集団から襲撃を受けていた。突如発生した人肉を欲するようになる奇病と「東方見聞録」から削除された空白の期間――真実を記した秘密の書――それらが解明される時、人類の内側に潜む大いなる謎が明らかになる……。
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Posted by ブクログ
ジェームズ・ロリンズによるシグマフォースシリーズ第3弾。
マルコ・ポーロの冒険が現代の疫病に大きく関わるという、発想自体がとんでもないスケールで驚く。全2作以上に冒頭からスピーディに物語が展開し、例によってギルドと裏をかいたりかかれたりしながらも謎の行方を追ってグレイほか登場人物が活躍する。
前作「ナチの亡霊」はペインターの物語かと思うほどグレイの印象が薄かったが、本作はセイチャンとともに主人公らしい活躍を見せる。一方、インドネシア沖では例によってモンクがリサとともにギルドに包囲され、片腕をなくしたときと同じようなピンチに陥る。
病気がキーワードになっていたり、モンクがとらわれの身になったりと全2作と同様な展開もあるが、「マギ」の時のような遺物を元に謎を追いかけていく展開はダン・ブラウンのラングドンシリーズやインディ・ジョーンズなどに共通して知的好奇心をくすぐられ、先が気になる。それにしても、なぜ「ユダ」なのか。
例によって、どこまで事実でどこからがフィクションなのか上巻を読んだ時点では全く不明だが、これまでもフィクションかと思ったら現実に存在するものだったりと、その科学技術や歴史的遺物に精通していることでは定評のある作者だけに、これがもし現実だったらと空恐ろしくなってしまう。
物語は佳境に入ったところで下巻へと受け渡されるので、かじりつくように下巻を手に取ってしまった。