あらすじ
【第23回小説すばる新人賞受賞作】佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり……。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ファミレス社員の佐藤はネット批判され、故郷のファミレスに飛ばされた。錆びれている街には活気や賑わいは一切ない。本社に戻るまでの辛抱と考える佐藤だが、いつの間にか店員・地元の人間関係に巻き込まる。地元には親友のシンゴがいてそれなりに楽しいが、シンゴの過去や結婚問題、佐藤の新しい恋人・綾の過去、バイトのストーカ行為など勃発。何故かそこにヤバイ自分の父親が!畑野作品の魅力は過去の自分とのリンクもあり、大いに共感したりする。また登場人物が多様でヤバイ奴やイイ奴も出てくる。そこが畑野作品の重厚さと醍醐味だろう。⑤
Posted by ブクログ
以前、歌手の方が「地方の人間にとって国道は大切」と仰っていた。生活の要なのだろう。その国道にあるファミレス。近くに大きなショッピングモールが出来て、今後の見通しは不明。主人公の境遇と良く似ている。2つの景色が合わさる中、主人公は「ちゃんとした社会人になる」事を目標に淡々と生きる。
仕事して、彼女もいて、ある意味幸せそうな彼が1番好きになった女の子の1番好きになった男が自分の父親で、家族に暴力を振るわなくなった代わりに愛人に暴力をふるっていたという状況はかなり衝撃的だと思うが、それすらすんなり受け入れる主人公の度量の大きさにびっくり(笑)その後の彼女の言動にもびっくり。
シンゴとみちるの結婚の為に、みちるのお父さんを説得するシーンが好き。何だかんだ言って、2人は深い絆を持った友達なのだ。常に塩対応なのだが、人一倍愛嬌のあるシンゴが相手だから、これからも彼らの幸せな友情は続いて行くんだろうな。
Posted by ブクログ
p144「自分が止まっている時ほど、違う速度で動く誰かのことを思い出し、不思議な感覚に襲われる。」
p204「平気で親に心配をかけられるようなら、そっちの方が子供だよ」
p263「お父さんとお母さんの間には、もう愛情はないのかもしれない。ただ、夫婦なんてどこもそんなものよ。情で繋がるの」
p269「彼女がいると、そういう嫌になっちゃうようなことを誤魔化すことができる。自分以外の誰かのためにとがんばっていると、それだけで立派な人になれたような気になる。それが気のせいであっても、それでいいんだと思う。自分自身なんていくら見つめても、何も出てこない。」
p281「嘘偽りなく好きだと思ってくれる人とだけ一緒にいたい。僕の考え方は甘いのかもしれないが、知り合える人なんて限られているのだから、何も知らずに噂するような人と仲良くしようなんて、考える時間がもったいない。」
Posted by ブクログ
畑野作品には女にだらしない男がよくでてくる、ような気がする。女関係や主人公のろくでもなさが遠慮ない。
親友カップルはとても素敵なだけに、主人公の女周りはどれも後味悪く(ハッピーエンドだった相手もあまり好きにはなれない……)、印象としてはあんまり良くはないのだけれど、それでも最後まで読んでしまったのは、やっぱり面白かったからだ。
この作品がデビュー作で、既に独特の毒があり、最近の作品の方がよりこなれていて読みやすい感じはするけれど、青春群像劇が得意な作家さんだな、と感じる。
Posted by ブクログ
佐藤善幸、外食チェーンの正社員。父親がだらしなかった(仕事をせずにふらふら、様々な女の家を回る日々)ため、自分はそうなるまいと努力。しかし女にだらしないことには変わりなかったが、綾ちゃんとの出会いで変化かと思いきやまさかの綾ちゃんが父親の浮気相手だった過去があることを知り別れる。親友のシンゴの結婚が破談になったり、それをやっぱり結びつけたり。同僚の粧子さんと喧嘩したり、ストーカー退治したり、付き合うことになったり。普通にたんたんと読めた。たまににやっとした。セックスはしたくなるけど幸せならしなくていいかなって気分になる気持ちはわかるけどやっぱしちゃう感じの気持ちもすごくよくわかった。