あらすじ
どうすれば私たちは変われるのだろう?
リーダーシップ、組織開発、マネジメント、コーチングなど、多分野で関心が高まるほんとうに有効な「変化の起こし方」とは? 伝説のチェンジ・エージェントからのメッセージ。
だれも一人では何もできない。あらゆる問題のカギは、人と人の「関わり方」にある。――家庭でも、職場でも、社会でも、私たちは、さまざまな問題に直面する。それは一つの正解がある問題ではないし、一人で解決できるものでもない。最善の道を見出したいなら、まず自分自身の「人との関わり方」を問い直そう。本書は、南アフリカの民族和解をはじめ数々の社会変革を導いてきたアダム・カヘン氏が、人と人の関係性を大きく変え、ともに望ましい未来をつくりだす方法を語った一冊。「力」と「愛」のバランスというシンプルかつ奥深い視点から、一人ひとりが実践できる「未来の変え方」が見えてくる。
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Posted by ブクログ
世界のために、世界の人たちといっしょに働くとはどういうことなのかを学びたくて、読んでいる。
カヘンは、南アフリカを始め世界50ヵ国以上で教育、環境、紛争、食糧問題など社会問題の変革を支援する仕事をしてきたプロジェクトデザイナー。この本は華々しい成功物語ではなく、彼がプロジェクトを進める中で発生した葛藤や苦悩について率直に語っている。
◆学んだところ
○プロジェクトを成功させるためには、なにが必要なのか?
愛(統一の衝動)と力(自己実現の衝動)を統合する力を身に着けること。
このテーマによって、本書は貫かれている。
○愛とはなにか? 力とはなにか?
カヘンは、神学者パウル・ティリッヒの定義を紹介する。
力とは、「生けるものすべてが、次第に激しく、次第に広く、自己を実現しようとする衝動」である。言い換えれば、力とは、自分の目的を達成しようとする衝動、仕事をやりとげようとする衝動、成長しようとする衝動である。 (P26)
愛とは、「切り離されているものを統一しようとする衝動」である。言い替えれば、愛とは、ばらばらになってしまったもの、あるいはそう見えるものを再び結びつけ、完全なものにしようとする衝動ということになる。 (P26)
これって華厳のいう「因(自分の中の原因=力)」と「縁(外からの原因=愛)」の関係? 2つの作用は別のエネルギーによって発生し、同時に存在できない。
○「転ぶ」「よろめく」「歩く」の3段階モデル?
やはり同じことを言っているようだ。解決のヒントも教えてくれる。これが「同体」と「異体」の「相入相即」を示した「倶存無礙」ということ?
「対象的な価値観が非常に対立しているように見えるのは、今ある一瞬に両方が提示されるからだ。現実には、時間はこうした対照に折り合いをつけるものなのである」 (P101 ケンブリッジ大学のマネジメント研究者、チャールズ・ハムデン=ターナーのジレンマ研究よりカヘンが引用)
力と愛の両方を発揮するには、二本の脚で歩くことに似ている。
分断すれば転んでしまう。力が愛より強ければ、あるいはその逆であれば、危なっかしくよろめいてしまう。二つの現象が一つになるようにバランスをとり、力と愛の間を行ったり来たりできるようになれば、滑らかに歩ける。 (P102)
○「転ぶ」ケースはどうするか?
カヘンは、インドで行った子どもの栄養不足低減プロジェクトでの失敗を例に説明する。
私たちは、関係者とともに、自分たちの状況を問わなければならない。
・ここでは力はどこにあるのか?
・個々の担い手(自分も含め)は何を実現したがっているのか?
・個々の立場、ニーズ、利害はどのようなものだろうか?
・だれがどんな種類の「する力」と「させる力」を行使しているのか?
・だれの発言が重視され、だれの発言が軽視されているのか?
・ここでは愛はどこにあるのか?
・担い手たちはどのように分断されているか?どのように統合されているか?
・無理に再統合させられているものがないか?
・強制されていないのに結束が保たれているものはないか? (p128 )
○「よろめく」ケースは?
カヘンは、イスラエルのプロジェクトを例に説明している。このプロジェクトは、パレスチナとの和平のために、イスラエル社会の断絶を解決することが近道として進められたもの。
○「歩く」ケースは?
世界食糧システムの持続化を目指す「サスティナブル・フード・ラボ(SFL)」プロジェクトでの創発的なアプローチを例に、C オットー シャーマーのU理論を引用しながら教えてくれる。
ともに現実を知る・・・共センシング
ともに可能性に気づく・・・共プレゼンシング
ともに未来を作る・・・共リアライジング
○よどみなく「歩く」ためには練習が必要?
ある意味で創造的な姿勢とは「中身を少なくして目的は多くする」ことだとジェフ(カヘンのパートナー)は言う。この姿勢は、新しい社会的現実の共創に欠かせない。なぜなら、私たちはこの仕事に参加し、積極的に取り組まなければならないが、行動の結果は予測もコントロールもできないからだ。 (P223)
上記は気になる考えだが、意味がまだよくわからない?
余計なものは捨て去れということか?
少しずつ力と愛の両方を意識し、両方に向き合うようになり、その結果、二つが重なりあい、両者の分裂が修復されていけば、歩き方は身についていく。力と愛は本質的にひとつのものであり、お互いにエネルギーを与え合い、現実しあう。 (P227)
◆次に学びたい人
U理論のC オットー シャーマー
力と愛の定義として引用された神学者のパウル・ティリッヒ
Posted by ブクログ
愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である。
両方ともバランスを持っていることが大切。
翻訳した本であることと、内容の難しさが相まって、私の読解力ではなかなか理解ができなかった。
気になったポイント
「愛の反対派力ではなく、両者を成功させることは大変難しい(が、できたらすごい)」
「これから先の未来はどう何るんだろう。良い、話し合おうじゃないか」
「力のあるものとないものの争いから手をひくということは、力のあるものを味方するということであり、中立ではない」
「プロジェクトの準備
エクササイズの目的をはっきりさせ、共有する。
適任で熱心な主催者を集める。
チームの基本原則と作業方法を慎重に策定し、合意しておく。
ワークショップは静かな民家にする。
プロジェクトのリソースもスタッフも十分に確保する。
チームは人間関係を築くために時間を割く。」
「力と愛のどちらかが弱ければ、弱い方に注意を払い、強化をしていかなければならない」
愛とパワーの例はたくさん載っていたが、具体的に今自分がどうしたら良いのかはわからなかった。